アメリカ人男性のジョン・コリンズさんは、約70メートルもの距離を飛ぶ紙飛行機や、ブーメランのように手元に戻ってくる紙飛行機を作り出した人物。子どものことから夢中になってきたという紙飛行機の魅力や、よく飛ぶ紙飛行機の作り方を語るムービーが公開されています。

How This Guy Folds and Flies World Record Paper Airplanes | WIRED - YouTube

「The Paper Airplane Guy」ことジョン・コリンズさんは、子どもの頃から「飛ぶもの」に強く引きつけられてきたとのこと。



羽を羽ばたかせて飛ぶチョウや鳥のほか……



プロペラを回して飛ぶ飛行機など、さまざまな仕組みで空を飛ぶ様子に魅了されていたそうです。



そんな「飛ぶもの」を、たった1枚の紙から作り上げる紙飛行機に魅せられるのは自然の流れだったとのこと。



やがて紙飛行機作りを極めたコリンズさんは、「折り紙」の手法を取り入れてさらなる紙飛行機作りにのめり込みます。



そんなコリンズさんの代表作の1つが、この「ブーメラン」。ポイッと投げた紙飛行機はまずグインと高く上がり……



上空でクルンと向きを変え、なんとコリンズさんが投げたところに返ってきます。



それを指で受け止めるコリンズさん。普通、紙飛行機といえば投げた方向にとんでいくだけのものですが、元の場所に戻ってくるというのは実に驚きです。



実はコリンズさんは、紙飛行機の飛行距離世界記録の持ち主。2012年に実施されたチャレンジで、コリンズさんが作った紙飛行機は、飛距離なんと226フィート10インチ(約69.14m)という世界記録を樹立しました。

紙飛行機の飛行距離世界記録が9年ぶりに更新されたムービー - GIGAZINE



紙飛行機のスローイングは、アメリカンフットボールの選手が担当。クォーターバックを担当する選手で、スローイングの専門家といえるポジションを担当。



投げた直後、紙飛行機は一気に高度を上げ……



スピードを上げて降下しますが、十分な揚力があるので落下には至りません。



その後、水平飛行を続けて距離を稼いだ後に、それまでの記録ラインを超えて着地。見事世界記録を更新しました。



この飛行機は、普通の紙飛行機よりも翼の幅が広い形状をしており、投げた直後に45度の角度で上昇し、放物線を描いて滑空するように作られているとのこと。とはいえこの投げ方はセオリーどおりなのですが、肝となるのは飛行時間の長さ。コリンズさんの紙飛行機は、なんと滞空時間9秒という長さで記録を打ち立てたとのこと。



そんな紙飛行機の作り方についてコリンズさんは、「よく『秘密のすごい紙を使っているのでは?』ときかれますが、使っているのはごく普通の紙です」と答えます。



ただし重要なのは、「正確に折る」ということだそうです。また、「左右対称に作る」ということも大切と語っています。



折り方も基本的にはオーソドックスな方法。紙の頂点を反対側の辺に合わせてピシッと折る、などの方法にトリッキーな所はまったくありません。



途中で「プロの折り方をお教えしましょう」というコリンズさんが教えてくれたのは、翼の面積を大きくするための方法。紙を折って翼を作る時には、翼と本体のところにこのような三角形を作らずに……



完全に本体が隠れるように折るのがポイントの1つ。



こうすることで、折り目から翼端までをより長くすることができ、翼の面積を大きくすることができるというわけです。



また、よく飛ぶ紙被告を作る時に大事なのは、「正確に折る」だけではなく「よく飛ぶように調整する」ところにあるとのこと。



ただ紙飛行機を折っただけでは、このように左右の翼はダラリと垂れ下がっている状態です。



しかしここで大事なのが、翼に「正の二面角」、またの名を上反角を与えること。



この角度があるおかげで、飛行機は左右どちらかに傾いても「振り子」のように自然にセンターに戻ろうとする動きがうまれます。



もうひとつ大事なのが、翼の後端をわずかに曲げること。この時、折り目は付けずに翼の端を「曲げる」という感覚で上側に起こします。



この角度のおかげで、紙飛行機は重心と空力のバランスを取りながら長く遠くまで飛べるようになります。



コリンズさんの紙飛行機の代表作の1つが、「ブーメラン」です。この紙飛行機は、投げたところに勝手に戻ってくるという特徴があります。



その秘密は、翼の角度の付け方。先述のとおり、普通の紙飛行機の翼には上反角を付けるのがセオリーですが……



ブーメラン機の翼はダラリと垂れ下がったままの状態に作られています。



そのため一度傾いた機体には自己バランス機能が働かず、傾いたままの状態となります。



しかし、この傾いた状態で、機体の翼が上昇する力を生み出すと……



機体が旋回しようとする動きがうまれます。



これにより、機体が投げた場所に勝手に戻ってくることが可能になるというわけです。



さらに「ブーメラン2」は、横方向の旋回ではなく、縦方向に「宙返り」して戻ってくるという、アクロバット性がアップした機動を行うのが特徴。



ブーメラン2をポイッと投げると……



ある程度まで飛んだところで、揚力を失う「失速」の状態になります。



失速したブーメラン2は木の葉のようにハラリと落ちますが、落下のスピードで再び翼の揚力が復活。そして、機体が裏返ったまま滑空して、コリンズさんの元へと舞い戻ってきます。



このブーメラン2は、試行錯誤の際に生じた失敗から生み出されたものだとのこと。普通の紙飛行機は基本的に前重心で作られますが、このブーメラン2は極端な後ろ寄りの重心を持っているとのことで、おそらく失速しやすい構造になっている模様。そして、機体が裏返っても上反角がつくように作られた翼のおかげなどで、アクロバット機のような動きでブーメランのように戻ってくるようになっています。



また、このコウモリのような紙飛行機も、失敗作から生まれたものだとのこと。



投げてみると、まるでコウモリが羽ばたくように翼がバタバタと動きます。これは、重心と空力のバランスにより失速と回復が繰り返されることで生じる動きだそうです。



コリンズさんはこの他にも、ランディングギア(降着機構)を持つ紙飛行機や、戦闘機のように小型の翼「カナード翼」がプラスされた紙飛行機なども作っているとのこと。



たった1枚の紙を折ることで空を飛ばせることが可能になり、しかも見えないほど遠くまで飛んだ時に喜びを感じている時は、4〜5歳の子どもと同じような気持ちだと語っています。