左から順番に5代目、6代目、7代目の日本航空制服(2015年8月、下山光晴撮影)。

写真拡大

1951年登場の初代から現在の10代目まで、CAの制服が展示されているJAL「スカイミュージアム」。その10種類の制服が並んだ場所には、制服とともに“時代”と“歴史”を見ることができました。

CAにとって“良い制服”とは?

 世の老若男女が憧れる“制服職業”といえば、やはりキャビンアテンダント(CA)さんですね。そんな、いつの時代も注目の的であるCAさんの制服事情を探るべく、日本航空(JAL)の「JAL SKYMUSEUM (スカイミュージアム)」にお邪魔しました。

 まず驚いたのは、1951(昭和26)年誕生の初代制服から何度も改定があり、現在の制服はすでに10代目だということ。10着の制服はそれぞれに時代背景を表していて、その変遷を追うのは予想以上に興味深いものがありました。

 また今回の取材では、1978(昭和53)年に入社して20年間制服を着続けた元CAで、現在は日本航空広報部で活躍されている新井敦子さんにお話をうかがうこともできました。新井さんいわく、良い制服とは「動きやすさやデザイン性の高さだけではなく、着ていて幸せな気持ちになることで良いサービスが生まれるもの」といいます。

 1951(昭和26)年、会社設立と同時に誕生した初代の制服は、淡いグレーのツーピースです。帽子もターバン帽という、上に布地がないおしゃれなもの。1951年といえば、終戦からたったの6年です。日常を取り戻すことに必死だった時代背景を考えれば、これはかなり華やかな装いだったのかもしれません。ただ、スカートが膝下15cmのタイトだったため、CAさんたち(当時は「エアガール」と呼ばれていました)は、タラップの上り下りに苦労したとか。

 1954(昭和29)年登場の2代目は、初の国際線(東京〜サンフランシスコ線)開設を機に、そして1960(昭和35)年登場の3代目は、日本初のジェット旅客機就航を機に登場した制服です。節目となるような出来事に合わせ、制服が変わっていきました。

 4代目も、1967(昭和42)年にJALがの世界一周線を開設したことを機に登場。10年以上続いたネイビー系から、目の覚めるようなスカイブルーに変わりました。真珠をあしらった鶴丸ブローチは「世界一周」を表現。明るい色合いへの大胆なモデルチェンジは、東京オリンピックも開催され、高度経済成長に湧く日本の活気を表しているように感じられます。

ドラマで憧れたCAの制服

 そして1970(昭和45)年、ボーイング747型「ジャンボジェット」機就航を記念して5代目が誕生しました。ハナエモリがデザインを手がけたこの制服は、世界的に大ブームとなっていたミニスカートを採用。ドラマ「アテンションプリーズ(1970年度版)」や「白い滑走路」でも着用していたこの制服、まさに伝説的な一着といえるでしょう。元CAの新井さんも、この制服に憧れて日本航空入社を夢みたひとりだったとか。

 1977(昭和52)年に登場したハナエモリデザインの6代目も、根強い人気を誇っています。堀ちえみ主演のドラマ「スチュワーデス物語」で使われた制服、といえばピンとくる人もいるでしょう。ワンピースの袖からは太めのボーダー柄シャツがのぞき、小粋な雰囲気を漂わせています。

 7代目が登場したのは1988(昭和63)年。初めてデザインが一般公募されました。肩パッドが入ってウエストが絞られたダブルのジャケットからは、バブル全盛期のゴージャスな雰囲気が伝わってきます。

なぜ制服が憧れの的になるのか?

 1996(平成8)年誕生の8代目は、稲葉賀恵さんのデザイン。ここで初めて帽子が廃止されています。格式高いイメージよりも親しみやすさが前面に出されているのは、バブル崩壊後の世相を表しているのかもしれません。2004(平成16)年誕生の9代目は、8代目のマイナーチェンジです。

 そして2013(平成25)年、ケイタマルヤマの手によって現在の10代目が誕生しました。濃紺に配されたコーポレートカラーの赤が、洗練された雰囲気です。実際にそれを着用するCAさんたちの意見を取り入れているのもポイントで、「ワンピースなので、ウエストからシャツが出ることを気にせず動ける」「スカートの後ろにタッグが入っているので足さばきがラク」「生地に伸縮性があるので動きやすい」など、現役CAのあいだでかなり評価が良いとか。

 デザイン性の高さ、ロゴマークやコーポレートカラーを随所に用いた「会社の顔」としての役割、そして動きやすさ。どの側面から見ても完成度の高い10代目は、ひとつの到達点といえるかもしれません。

「制服は会社の顔なので、いつ誰に見られてもいいように、清潔感と統一美を心がけて着ています。また、素晴らしいデザイナーさんがデザインしたものなので、最高の状態で見せられるように、着こなしにも気を配っています」(元CA、日本航空広報部の新井さん)

 制服が憧れの的になるのは、ただデザインが美しいという理由だけでなく、代々のCAさんたちによる、そうした並々ならぬ努力があったからなのでしょう。

 ちなみに、制服は基本的に約10年で改定されるとのこと。11代目はいったいどんな制服になるのか、いまから楽しみです。