韓国統一地方選 李氏の現実路線が評価された
就任から4日で1年を迎えた韓国の李在明大統領の政権運営が、有権者におおむね肯定的に評価されていることの表れと言えるだろう。
韓国で3日、4年に1度の統一地方選が行われた。首都ソウルなど16の主要市・道の首長選のうち、李政権与党で左派系の「共に民主党」の候補が、12自治体を制した。
共に民主党は2024年の総選挙で国会の多数派を得ている。今回の統一地方選では、人口の約5分の1が集中するソウルの市長選で敗北したものの、多数の自治体で勝利した。李氏の政権基盤がより安定するのは間違いない。
李氏は学生運動の出身者ではなく、党内では非主流派だが、「実用主義」を掲げ、理念よりも実益を重視してきた。
外交では、高市首相との間でシャトル外交を推進し、日本との関係改善を進めている。韓国経済もこのところ株価が過去最高を記録するなど好調だ。
李政権の政策は保守層にも浸透している。就任1年時点の支持率は、民主化以降の大統領で歴代2位の6割超を維持している。
安定した支持基盤を生かし、引き続き日本や米国、オーストラリアなどとの連携を深め、地域の安定に貢献してほしい。
気がかりなのは、李政権が数の力を頼みに司法改革などを強引に進めていることだ。李氏は公職選挙法違反などの刑事裁判を抱えており、起訴取り下げが狙いではないかとの臆測を呼んでいる。
また、党内には「反日・反米」の志向を持つ党員や議員が多く、李氏が進める対日政策への不満があるとされる。先祖返りの反日機運が与党内で高まらないか、状況の注視が必要だ。
一方、保守系野党の「国民の力」は苦戦した。与党だった24年12月に当時の尹錫悦大統領が唐突に非常戒厳を宣布し、国内を大混乱に陥れたことに対する批判がなお根強いのだろう。
非常戒厳は、民主主義国家の大統領が突然、軍を動員して野党の動きを封じようとしたものだ。韓国国民の多くが、1980年代以降の民主化を否定する暴挙だったと受け止めている。
だが、国民の力では今も、尹氏に近かった「親尹派」と、距離を置く「非尹派」の対立が続く。ソウル市長選では、尹氏を批判してきた現職候補が勝利した。
非常戒厳の総括を先送りし、内部対立を抱えたままでは、党の再建は難しいのではないか。
