「抜け毛や肌荒れがひどい」なら要注意…“亜鉛不足”の「原因」と改善の「効果」

亜鉛が不足すると、免疫機能の低下や肌荒れ、味覚の変化などが起こりやすくなる可能性があります。逆に、亜鉛を適切に補うことで、これらの不調が改善される場合があることが知られています。日常の小さな不調の背景に、亜鉛不足が関係していることもあるかもしれません。ここでは、亜鉛の補給によって期待できる代表的な効果について、具体的に解説します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

亜鉛不足を解消することで期待できる主な効果

亜鉛は身体のさまざまな機能を維持するために欠かせないミネラルです。このセクションでは、亜鉛を十分に摂取することで期待できる代表的な効果について、具体的に解説します。

免疫機能の維持・向上への効果

亜鉛は免疫システムの正常な働きを支えるミネラルとして知られています。免疫細胞のひとつであるT細胞やナチュラルキラー細胞の産生・活性化には亜鉛が不可欠とされており、亜鉛が不足するとこれらの細胞の働きが低下する可能性があります。その結果、感染症にかかりやすくなったり、回復に時間がかかったりすることがあります。

亜鉛は炎症を調整する働きにも関与しています。亜鉛が十分に確保されることで、身体の過剰な炎症反応が抑えられ、免疫バランスが整う方向に働くとされています。これは、風邪などの一般的な感染症の予防という観点においても重要とされています。

また、亜鉛は胸腺(きょうせん)というリンパ器官の機能を維持するために必要なホルモン様物質の合成にも関わっています。胸腺は免疫細胞の成熟を促す役割を担っており、亜鉛の補充によって免疫機能の維持が期待されます。免疫機能が気になる方にとって、亜鉛の適切な補給は重要な対策のひとつといえます。

皮膚・髪・爪の健康維持への効果

亜鉛は皮膚・髪・爪などの細胞の生成や修復に深く関わっています。皮膚の細胞は新陳代謝によって常に入れ替わっており、その過程で亜鉛が必要とされます。亜鉛が不足すると皮膚の再生がうまく行われなくなり、乾燥肌や肌荒れ、皮膚炎などが起こりやすくなることがあります。

髪の毛の成長にも亜鉛は重要な役割を果たしています。髪の主成分であるケラチンというタンパク質の合成には亜鉛が関与しており、亜鉛が不足すると髪が抜けやすくなる、または成長が遅くなるといった変化が生じる場合があります。抜け毛や髪の状態が気になる方の中には、亜鉛不足が背景にあるケースも報告されています。

亜鉛を適切に摂取することで、皮膚・髪・爪の状態が改善されることが期待されますが、症状が続く場合は皮膚科や内科などで相談することが望ましいでしょう。

味覚・嗅覚の正常化への効果

亜鉛は味覚を正常に保つために欠かせないミネラルです。舌の表面にある味蕾(みらい)という味を感じる細胞の生成には亜鉛が必要とされており、亜鉛が不足すると味覚障害が起こりやすくなります。具体的には、食べ物の味がわかりにくくなる、何を食べても同じような味に感じる、特定の味(塩味・甘味など)が感じにくくなるといった症状が現れることがあります。

味覚障害は食欲の低下や栄養摂取の偏りにつながるため、生活の質に影響を及ぼします。亜鉛を補給することで味覚が改善されたケースが報告されており、味覚の変化が気になる方にとって亜鉛の確認は重要なポイントです。特に高齢の方や服薬中のvは、薬の影響で亜鉛の吸収が低下している場合があるため、注意が必要です。

嗅覚についても亜鉛との関連が示唆されています。味覚・嗅覚の変化は亜鉛不足以外の原因によることもあるため、症状が続く場合は医療機関での検査を受けることが大切です。

まとめ

亜鉛は免疫機能・皮膚・味覚・成長・認知機能など、身体の多岐にわたる機能を支える重要なミネラルです。現代の食生活や生活習慣によって不足しやすい環境にあることを踏まえ、亜鉛を多く含む食品を意識的に取り入れ、吸収を助ける食べ合わせを工夫することが大切です。サプリメントを活用する場合は、推奨摂取量の範囲内で適切に利用してください。味覚の変化や肌荒れ、疲れやすさなど気になる症状がある場合は、早めに内科などで相談されることをおすすめします。

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

厚生労働省eJIM「亜鉛」

厚生労働省 e-ヘルスネット「ミネラル」

国立がん研究センター「亜鉛・ヘム鉄摂取と大腸がんとの関連について」