送検のため警視庁原宿署を出る安達慎哉容疑者=5月25日午前8時35分(共同通信)

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「今年に入り、友達から『宇都宮でガールズバーをやらないか』と誘いを受けていたようなんです。その関係で、給料の"前借り"もしていました。虫も殺せないような子なんですが…」(安達慎哉容疑者の勤務先オーナー)──親や社長からも"優しい普通の子"と言われていた男はなぜ、トクリュウ犯罪に加担してしまったのか。

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 4月7日に新宿・百人町の酒店の事務所で起きた窃盗未遂事件で逮捕された安達慎哉容疑者(20)。今回の事案では"実行役兼運転役"とされる栃木県の男(19)と"実行役"の少年4人が逮捕されており、安達容疑者は犯行用の道具を手に入れる役割を担ったとみられている。

「襲われた酒店では3月にも窃盗未遂が起きており、犯行に使われた黒の軽ワゴンが、栃木県上三川町の強盗殺人の現場付近で目撃があった"不審車両"と特徴が一致するものだったと確認がとれている。強殺事件との関連はまだ不明で、警察はトクリュウの上位者の間で、百人町の酒店の名前が"強盗先リスト"として出回っていた可能性も視野に捜査している」(全国紙社会部記者)

 一連の事件においては未成年の被疑者も目立つ。栃木の強殺事件後には、トクリュウ捜査を得意とする警視庁も捜査チームに加わり、押収物や、すでに逮捕されている被疑者の供述をもとに、さらなる"上役"の解明を急いでいる。

牛を「あの子」と呼び⋯

 安達容疑者は5月23日朝、栃木県矢板市の実家にいたところを警視庁の職員に逮捕された。すでに報じたとおり、取材班が事件後に話を聞いた両親は"寝耳に水"の様子で、「心当たりがまったくない」と語っている。

 そんな安達容疑者は、県内の牧場でアルバイトをして生計を立てていた。勤務先のオーナーが話す。

「基本は朝夕のシフトで、牛の搾乳を担当しています。朝5時から9時半まで働き、その後は16時から21時まで勤務。仕事を当日休むとか、バックれるようなことはありませんでした。タイムカードを確認したところ、新宿で事件があった日も、遅刻せず朝夕いつもどおり働いていました」

 犯行現場の新宿区とは離れた場所で過ごしていた容疑者だが、最近は都内を訪れる機会もあったようだ。

「今年に入り、友達から『宇都宮でガールズバーをやらないか』と誘いを受けていたようなんです。なにやらバーを運営するのに必要な資格の研修が東京でしか受けられないとのことで、5月に8万円ほど給料の"前借り"をさせました。3月にも同じ"研修"を理由に、交通費として2万円ほど貸しています。貸すと言ってもあくまで給料天引きなので、私からしたら借金という認識はないですけど。入り用なのだなとしか思いませんでした」(同前)

 ガールズバー経営に携わる話については、男の両親も耳にしていたという。

「宇都宮のあたりで今月末にオープンするガールズバーの責任者をやると聞きました。慎哉と仲のいい友達の上役に当たる『会長さん』が、面倒を見てくれることになっていました。よほど会長から気に入られているのか、その友人がうちへ遊びに来たとき『(会長が)一度、ご両親に挨拶したいと言っている』と話していました」(母親)

 新天地で仕事を始める目前に、容疑者は逮捕されてしまった。前出の牧場のオーナーは、容疑者の逮捕を信じられない様子でこう漏らした。

「牧場の牛を"あの子は"と呼べるような子でした。私の母が転びそうになったとき、そっと手を貸しているのを見て、優しい心を持っている子なのだと思ったこともあります。動物好きで、虫も殺せないような人なのに、なぜこのような事件に……」

 牛を大切にする男が、どのようにしてトクリュウ犯罪に飲み込まれたのか。捜査の進展が待たれるところだ。

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