サムスン電子側代表交渉委員であるヨ・ミョングDSピープルチーム長(前列左)とサムスングループ超企業労働組合サムスン電子支部のチェ・スンホ委員長が20日、労組ストを1時間後に控え暫定合意案に署名した。前列中央は雇用労働部の金栄訓長官.キム・ソンリョン記者

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「被害100兆ウォン台のスト」の懸念はひとまず回避された。サムスン電子労組のスト予定時間である21日0時を1時間後に控え労使が劇的に暫定合意案を導出した。今年から10年間、事業成果の10.5%を財源として自社株形態の特別経営成果級を支給するという内容だ。ただ公開された合意書には赤字事業部にも事実上大規模成果給支給の道を開く内容が盛り込まれており今後の後遺症も少なくない見通しだ。

20日午後10時45分ごろ、雇用労働部の金栄訓(キム・ヨンフン)長官は「最後まで対話のひもを放さず労使自律交渉で暫定合意に至ることになった点でサムスン電子労使に政府に代わり深く感謝する」と明らかにした。サムスン電子労使はこの日午後4時20分から京畿道水原(キョンギド・スウォン)の京畿雇用労働庁で6時間ほど追加交渉を進めた。18日から3日間続いた中央労働委員会の事後調停が決裂してからわずか数時間で再び対座したのだ。

土壇場の交渉では金長官が事実上の仲裁役を務めた。金長官は「政府は今回の問題を必ず対話で解決しなくてはならないという原則の下、労使間公式調停であれ自律交渉であれ形式にこだわらず対話を促進するという立場を持っていた。事後調停が決裂してからも対話の火種を生かさなければならないと判断した」と話した。

◇「成果主義」の原則崩れる…労組の要求通り赤字事業部も成果給

続けて「メモリーとファウンドリーいずれもサムスン電子の未来競争力に向けた投資領域である点を考慮する必要がある」と付け加えた。超企業労組サムスン電子支部のチェ・スンホ委員長は「暫定合意導出と同時に共闘本部は闘争指針3号を発令しストを留保することにした」と話した。

今回の交渉の最大の争点は成果給配分方式だった。これまで労組はDS(半導体)部門全社員が成果給財源の相当部分を共通配分される構造を要求してきた。これに対し会社側は「成果のある所に報賞がある」という原則の下、事業部別に業績の違いを反映すべきとしてきた。特に赤字を出しているファウンドリーとシステムLSI事業部の社員にまで数億ウォン台の成果給を支給するのが正しいのかをめぐり双方の立場は鋭く分かれた。

この日公開された「2026年成果給労使暫定合意書」によると、DS部門の特別経営成果級の財源は「労使が合意して選定した事業成果の10.5%」に決まった。成果給は自社株で支給する。支給率の限度は設けないことにした。

成果給配分の割合は部門40%、事業部60%の構造だ。こうした特別成果給は今後10年間適用され、今年から2028年まではDS部門が毎年200兆ウォン以上の営業利益を達成する場合、2029〜2035年は毎年営業利益100兆ウォン以上達成の時に支給する。年俸の最大50%である既存の超過利益成果給はそのまま維持する。

赤字事業部の配分方式と関連しては「当該会計年度赤字事業部は部門財源を活用して算出された共通支給率の60%を支給率とする」と明示した。ただ適用は2027年分からだ。事実上今年の支給分に対しては赤字状態であるファウンドリー・システムLSI事業部にも相当規模の成果給支給が可能になった形だ。結局会社側が一定部分譲歩して交渉の糸口をつかんだとの評価が出ている。

李在明(イ・ジェミョン)大統領はこの日の閣議で「労組が利益を貫徹するために努力するのは良いがそれも適正なラインがある」として圧迫に出たりもした。青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)は20日、サムスン電子労使の暫定合意に「国と国民に向けた大乗的決断に感謝する」と明らかにした。サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長は16日に国民向けの謝罪を発表しながら労組に対話を通じた解決を促していた。

労働組合は今回の暫定合意案を組合員の投票に任せることにした。サムスン電子労組共闘本部は「5月21日〜6月7日のストは今後別途の指針を出すまで留保する」と明らかにした。続けて「全組合員は22日午後2時から27日午前10時まで進められる暫定合意案投票に参加する」と公示した。

財界では今回の合意が産業界全般の成果主義原則を揺さぶりかねないとの懸念が出ている。赤字事業部にも大規模成果給支給が可能になり他の企業労組も営業利益連動型成果給を要求する可能性が大きいということだ。韓国経営者総協会は「今回の合意はサムスン電子の特殊な状況を反映した結果であるだけに、これを一般化して過度な成果給要求を産業全般に拡散してはならない」と評価した。