「トランプ大統領閣下」とすり寄るも…米中首脳会談でトランプ政権が習近平に”塩対応”だったワケ
中国はゴマをすったが…
「中国とアメリカはライバルではなくパートナーとなるべきだ」
米中会談冒頭で、中国の習近平国家主席はトランプ米大統領にそう告げた。
5月13日から15日にかけてのトランプ氏の訪問に、中国側は最大限の「おもてなし」で対応した。盛大な歓迎式典から豪華な晩餐会、そして中南海(習近平国家主席の執務・居住区)へのプライベートツアーに至るまで、華やかな演出に満ちており、トランプ氏は繰り返し称賛を惜しまなかった。
ただ、米国側のスタッフは「塩対応」だった。
トランプ氏が滞在中に中国側から受け取った物品を、大統領専用機エアフォース・ワン搭乗前にすべて回収し廃棄したのだ。セキュリティの観点からの措置だろうが、これほど現在の米中関係を象徴する出来事はないと言っても過言ではない。両国は表向き友好ムードを保ちつつも、水面下では相手に対する不信感が募る一方だ。
中国の米国に対する「贈り物」も物足りなかった。
想定以下の手土産
トランプ氏は「中国はボーイングから航空機200機を購入することに合意した」と述べると、同社の株価は下落した。事前の想定(300機以上)を下回ったからだ。
中国がかつてのような大盤振る舞いはできなくなった背景には、経済の低迷がある。
昨今の中東紛争も中国経済にとって頭の痛い問題だ。
中国の4月の原油輸入量は前年比20%減の日量803万バレルとなり、新型コロナウイルス対策のロックダウンが実施されていた2022年7月以来の低水準だった。輸入の5割を頼ってきた中東産原油の供給が大幅に減少したことが要因だ。
そのせいで中国の4月のガソリン価格は前年に比べて19%以上も上昇した。
燃料高は自動車の販売に大きなマイナスとなる。
製造業は厳しい
中国の4月の乗用車販売台数は前年比22%減の140万台と、同月としては2022年以来の少なさだった。ガソリン自動車などの販売が約3割、電気自動車(EV)を始めとする新エネルギー車が7%減少した。海外では中国製EVが原油高を追い風に売り上げを伸ばしているが、国内では内需の弱さが足を引っ張った形だ。
エネルギー価格の高騰により、生産者物価指数(PPI)の上昇が消費者物価指数(CPI)の上昇を上回ったことも気がかりだ。
4月のPPIは前年比2.8%上昇し、45カ月ぶりの伸び率となったのに対し、CPIは前年比1.2%の上昇にとどまった。国内の過当競争に加えて資材コストなどが上昇すれば、中国の製造業がさらなる窮地に追い込まれることは間違いない。
中国側の歓迎ムードとは裏腹な結果に終わった米中首脳会談。後編記事『ブルームバーグもニューヨークタイムズも…海外大手紙が相次いで「低迷」を報じた中国経済の厳しすぎる現状』で見ていくように、そんな中国の足元の経済事情は相変わらず悪く、米誌からも手厳しく書かれる事態になっている。
