【住宅メーカーが工事放置】「費用持ち逃げされ連絡もなし…」社長の行方わからず全員退職 元従業員が語る内情「工事完成の保証なくても契約取るよう指示」専門家「犯罪としての立証難しい」
「終の棲家を建てようとしたら1400万円持ち逃げ」
「店の改装工事を放置されて1500万円以上の損害」
【写真を見る】作りかけの棚・散乱するゴミ…工事を放置された店内「ほぼ手つかず」
兵庫県西宮市にある住宅メーカーによる被害が相次いでいます。両親他界後に実家を解体してマイホームを建てようとしたAさん。洋菓子店の改装工事を依頼したオーナーのBさん。
いずれの工事も途中で放置され、支払った費用は“持ち逃げ状態”に。その後連絡すれ取れず、社長は雲隠れ。弁護士によると、こうしたケースでは詐欺などの犯罪として立証ハードルが高いと言います。
一体、この業者の内部では何が起きていたのか?私たちが出来る対策はあるのか?被害者や住宅メーカー元従業員らに取材しました。
「最後は自分が育った家で過ごしたい」実家解体し家を建てようとしたのに…
(家の新築を依頼したAさん)「お金返して。それだけです。誠意を見せていただきたいです」
憔悴した様子で話す女性。横浜市に住む会社員・Aさん(51)です。京都市内に住む両親が他界し、実家を解体して将来自分が住む家を建てようと考えていました。
(Aさん)「自分が育った家でもあるので、最後はそこで過ごしたいなと。昔ながらの町家風、モダンに見えるようにオールブラックという形で」
契約金+着工金=1400万円支払い
そこでAさんが依頼したのは、兵庫県西宮市のある住宅メーカーでした。ホームページで施工例を見て、実際に物件を見学しに行き、決めたと言います。
(Aさん)「細かいところを見たときに、きちんと仕事をされている家だった。あとは(施工)事例が多かった。そこが信頼できるかなと」
一昨年8月、Aさんはこのメーカーと工事費3000万円で契約。2階建ての新築の図面も仕上がり、まずは契約金と着工金あわせて1400万円を支払いました。家は今年3月に完成する予定でした。
ところが…
「1400万円持ち逃げ状態」工事始まらず連絡も取れない
Aさんの家が建っているはずの土地へ行ってみると…
雑草が生い茂った空き地が。
(Aさん)「去年の2月に解体したので、そこから手つかずの状態になっています」
Aさんによると、去年2月に実家の解体作業は行われたものの、新築工事は一向に始まらず、去年9月からは連絡すら取れなくなったというのです。
(Aさん)「支払った1400万円は持ち逃げ状態になっているので…路頭に迷っている状態です」
実は、被害を訴えるのはAさんだけではありませんでした。
被害は東京でも 約700万円で洋菓子店の改装を依頼したが…
東京都目黒区にある洋菓子店のオーナー・Bさん。問題の住宅メーカーは東京にも支店を構えていて、Bさんは店の改装工事を依頼しました。
(店の改装工事を依頼 Bさん)「素敵なデザインをされていたので、そのようなお店の1つになりたいと思い相談に行きました」
工事費は約700万円で、工事期間は去年7月初旬からの約1か月間だったといいます。
しかし…
作りかけの棚・散乱するゴミ…工事放置され連絡も取れなくなる
工事が終わっているはずだった去年9月、店内の棚は作りかけで、扉もついていませんでした。また、店内のいたるところに資材やゴミが散乱。
(Bさん)「ほぼ手つかずという状態でした。(Q何割工事は終わっていた?)20%くらいですね」
工事進まず 連絡取れず
Bさんがメーカーの担当者に連絡を取ると「資金繰りの問題で工事が遅延している」などと説明する文書を渡されました。
しかし、その後も工事は進まず、連絡も取れなくなったといいます。
「お店が潰れてしまうんじゃないか」損害額は1500万円以上
結局、Bさんは別の業者に改めて工事を依頼する羽目になり、損害額は1500万円以上にのぼるといいます。
(Bさん)「本当にお店が潰れてしまうんじゃないかなと。自分が(パティシエとして)過ごした20年間をまるまる奪われてしまったような気持ちになりました」
相次ぐ被害の訴え。取材班が西宮市にあるメーカーの事務所を訪ねてみると…
取材班がメーカー事務所へ「貸出中」の張り紙も
平日の日中にも関わらず営業している様子はなく、しんとしています。入口のそばには看板が床に落ちていて、土埃がかぶっていました。
また、東京にある支店もシャッターが閉まり「貸出中」という紙が貼られていました。
内部で一体何が起きていたのか…
元従業員が語る内情「給料の支払いを遅らせてほしいと」半分以上が退職
去年秋ごろまで勤務していたという元従業員が取材に応じました。
元従業員によると、去年4月には経営が傾いていて、全従業員を集めたミーティングが開かれたと言います。
(住宅メーカー元従業員)「給料の支払いを遅らせてほしいというお願いがあって、希望退職者を募りますという話がありました。(従業員の)半分以上は辞めた」
「工事完成の保証なくても際限なく契約取るよう指示」
しかし、その後も社長は、工事が完成する保証がなくても際限なく契約を取ってくるよう指示を出していたと話します。
(住宅メーカー元従業員)
「(社長は)従業員に対してお客様からの入金を急かすような言動や行動は最後までやっていました」
「差し迫っている支払いを遂行するために、今取った仕事の契約金や、まだ仕事していないところの契約金を早くもらうようにという指示ですね」
「入金されたお金どこ行ったんや」契約金も社長も行方不明に
ただ、客から得た契約金などは工事業者などへの支払いには回されず、行方が分からなくなっていたと証言します。
(元従業員)「入金があったはずなのに(工事業者などに)支払われていないということだったので、どういうことなんだと。『入金されたお金どこ行ったんや』というのは従業員みんな言ってましたね」
社長の行方も去年秋ごろから分からなくなり、残っていた従業員も全員が退職したといいます。
社長の自宅を訪ねてみると…
社長はどのようなつもりで契約を取っていたのか。取材班が社長の自宅を訪ねてみると…
インターホンを押しても反応はなく、メールなどでも取材を申し込んだものの、期限までに回答は得られませんでした。
施工不良の対応協議中に“雲隠れ”「責任を負わないで“飛んでいる”状態」
そんな中、何とかお金を取り戻せないかと行動を起こしている被害者がいます。
東京都に住む編集者でデザイナーのコヤナギユウさん。一昨年10月、自宅のフルリノベーションを依頼しました。
しかし、作ってもらった棚が傾いていて、モノを置くと落ちてしまいます。
(自宅のフルリノベーションを依頼 コヤナギユウさん)「かなりの傾斜だと思います。これに気付かないのは住宅メーカーとしておかしいと思う。本が置いてあるのですが、傾斜しているのでフワっとおりてくるので定期的に押す」
他にも机やエアコンなどで複数の施工不良があり、対応を協議していましたが、その途中で連絡が取れなくなったといいます。
「少なくとも21人に約8300万円の被害」
インターネット上の掲示板で他にも被害の声をあげている人がいると知ったコヤナギさん。個別に連絡を取って情報を取りまとめ、「少なくとも21人に約8300万円の被害が出ている」として、警察に詐欺ではないかと相談しています。
(コヤナギユウさん)「責任を負わないで“飛んでいる”状態や、連絡しないでいることに憤りを覚えています」
犯罪としての立証は困難「契約時は工事をちゃんとするつもりだったと言ってくる」
一方で、住宅問題に詳しい弁護士は、今回のようなケースは詐欺などの犯罪として立証することはハードルが高いと言います。
(一級建築士・公房法律事務所 福島敏夫弁護士)
「(業者側は多くの場合)『契約した時は工事をちゃんとするつもりだった』と言ってくる」
「契約時点で騙すつもりだったというところを被害者がある程度立証できないと、警察としては詐欺で立件しづらい」
「結局それは会社の代表者の内心・内面の問題になってくるので、直接的な証拠はほぼ掴めない」
依頼者ができることは2つ
一方、福島弁護士は依頼者ができることとして、次の2つを挙げます。
(1)民事上の責任を問う
→弁護士費用がかかる上、お金を回収できるか分からない
(2)警察に被害届を出す
→未入金の工事業者・給料未払いの元従業員と連携
警察の捜査を踏まえ、裁判に生かすという方法もあるようです。
契約前に確認「業者選び」「支払いタイミングと割合」
こうした被害に遭わないためには、契約前に「業者選び」と「リスク軽減」について考えておく必要があります。
<業者選び>
▼複数社の見積もりと比較して…
→極端に安い場合は要注意
▼設計者と施工者を分けて…
→業界内の評判を調べる
<支払いタイミングと割合>
▼工事前・完成前の支払額が多い場合は要注意
→「着工前」「着工中」「完成後」一般的には「1/3ずつ」
(2026年4月12日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『憤マン!』より)
