五月病を味方に付ける方法とは(写真/イメージマート)

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 多くのビジネスパーソンにとって生きる希望だった「ゴールデンウィーク」も、この土日でついに終わりを迎えようとしています。どんなにあがいても時の流れは待ってくれません。週明けの月曜日からは、またいつもの毎日が始まります。今から憂鬱な気持ちになっている人も多いことでしょう。

【写真】スマホを持ち、笑顔で仕事に向かう女性のイメージ写真

 毎年、この時期に話題になるのが「五月病」です。とくによく聞くのが、4月から新しい環境に飛び込んだ新入生や新社会人が、長い休みで緊張の糸が切れるなどして、やる気が出ないなど心身に不調が現われるというパターン。

「五月病」は特定の病名ではなく、ストレスによる適応障害や軽いうつ状態の総称です。すでに昭和40年代後半には広く使われていた言葉なので、「今どきの若いモンはひ弱だ」という指摘は、まったく当たりません。上司世代が若い頃にも、それどころか上司世代の上司世代の頃にも、おそらくはもっと昔から、同様の症状や傾向はありました。

「連休明けって、やる気でないよな。すっかり五月病だよ。ハッハッハ」なんて同僚と言い合っているうちは、たぶん心配はいりません。しかし、こじらせてしまうと厄介です。ある調査では、正社員の2割近くが五月病の経験があると回答し、そのうち4割が転職を検討して、2割が実際に転職を実行したとか。

信じる者は救われる……かも。「五月病を味方に付ける3つの方法」

 五月病で悩む人を少しでも減らそうと、というか、企業や組織の側が五月病によるマイナスの影響をなるべく抑えようと、この時期はセルフチェックやら克服法やらの情報も盛んに飛び交います。ただ、結局は「上手に自分をごまかして、前向きな気持ちでバリバリ働きましょう」という叱咤激励になりがち。本当に疲れている人にしてみたら、さらに追い詰められているように感じるかもしれません。

 環境が大きく変わったら強いストレスを感じるのは当たり前だし、長い休みのあとは仕事に行く気がしなくなるのは人間のサガです。まずは、五月病を「なってはいけないもの」と捉えるのをやめてみるのはどうでしょう。さらに、打ち勝とうとか克服しようといった無謀な戦いに挑むのはやめて、なるべく平和に共存していきたいものです。

 長年の「大人力研究」に基づいて、「五月病を味方に付ける3つの方法」を考えてみました。もし役に立ちそうと思える部分があったら、ご活用いただけたら幸いです。

【五月病を味方に付ける3つの方法】

 その1「『五月だからやる気が出ないのは仕方ない』と開き直って、必要最低限のことしかやらない。新しいチャレンジなんてもってのほか」

 その2「『元気ないなあ』とか『シャキッとしろ』などと言われたら、『いやあ、なんせ五月なんで』とか何とか言って適当にやり過ごす」

 その3「朝、会社に着いたら『五月なのに出社できてエライ!』と自分をホメる。会社に行けなかったら、目を開けて起きた自分をホメる」

 真面目な人や完璧主義な人ほど、五月病になりやすいと言われています。絶好調のときの自分こそが「本当の自分」だと過大評価して、いまいち調子が出ない自分を強く責めがちな人もいます。ちょっとダメな自分こそが「本当の自分」で、たまに調子がいいときもあるぐらいに思っておけば、調子が出なくても落ち込む必要はありません。

 言わずもがなですが、こうした小手先の対処法が有効なのは、症状が軽い人だけです。ほとんど症状がない人のほうが、むしろ便利に活用できるかもしれません。背負う必要のない荷物やプレッシャーを捨て去るために、よかったらお役立てください。深刻な状態の人は、早めに専門家に相談しましょう。無理は禁物だし、無理は誰も幸せにしません。

オジサンがオジサンなりに五月をたくましく乗り切る方法

 若者の専売特許というイメージが強い五月病ですが、中高年も負けちゃいられません。オジサンにも、さまざまな活用法があります。

 いちばんお手軽で汎用性が高いのが、仕事をサボる口実にすること。「五月病でさあ。ぜんぜんやる気が出ないよ」と言えば、少なくとも自分自身は「ま、仕方ないよね」と思うことができます。周囲がどう思うかはさておき。

「五月だから財布が寂しい」も、連休でお金を使い過ぎた人は多いはずなので、それなりに説得力があります。いつも寂しめだったとしても、五月のせいにしてしまえば、財布が寂しいことの寂しさが少しは軽減するでしょう。

「五月は酒が飲みたくなるよね」といった使い方もできます。四月から環境が変わった人は「やっと慣れてきたから酒がうまい」とか何とか言いつつ、何も変わってない人は「いい季節になってきたから酒がうまい」とか何とか言いつつ……。「五月は腹が減るなあ」と言って食べ過ぎを正当化してみるのも一興です。

 そんな感じで、ちょっとつらい人もとくにつらくない人も、五月をなるべくノンキに穏やかに過ごしましょう。ちょっとつらくて「もしかして五月病かな」と感じている人も、思い詰める必要はありません。あと3週間ぐらいをどうにかやり過ごせば、もう大丈夫。全国的に一斉に六月になるので、五月病は消えてなくなります。(コラムニスト・石原壮一郎)