茨城県庁

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 外国人の不法就労を防ぐため、茨城県は11日から、雇用する事業者の摘発につながる通報に対し、報奨金を支払う制度を導入する。

 自治体独自で設けるのは異例で、不法就労者が4年連続で全国最多となる中、悪質な事業者の取り締まりを強化する狙いだ。(水戸支局 植村信介、伊能新之介)

 通報の対象は、在留期限を過ぎて滞在したり、在留資格で認められた範囲外で働いたりする外国人らを雇う事業者やブローカー。「勤務先に不法就労者がいる」「不法就労者を雇わないかと持ちかけられた」といった通報を想定する。

 出入国在留管理庁が運用する同様の通報制度は外国人個人を対象としている。

 県は11日からホームページで通報を受け付ける。通報者の聞き取りや事業者への戸別訪問などを踏まえ、入管難民法違反(不法就労助長)が疑われれば県警に伝える。摘発につながった場合は1万円を支払う。

 昨年に摘発されるなどした不法就労の外国人は1万3435人に上り、このうち茨城県は3518人と4年連続で全国最多だった。県は不法就労が治安悪化の温床との不安の声もあるとして制度導入を決めた。

 一方、県弁護士会は「(外国人への)疑いの目を持たせ、不当な偏見や差別を生じさせることになる」との会長声明を発表した。中傷や偏見による通報を防ぐため、県は通報者に住所、氏名、連絡先の入力と本人確認書類の添付を求める。

 大井川和彦知事は「人口減の中で外国人材の活用は地域社会の未来を左右する。現場の課題に実効性のある対応を取っていかなければならない」と意義を強調する。

農業従事が7割 収穫期人手足りず

 茨城県で目立つのが農業分野の不法就労だ。昨年は不法就労の外国人のうち農業従事者が2463人と7割を占めた。

 県東部の鉾田市でサツマイモなどを育てる農園では技能実習生ら外国人6人が働くが、収穫期は人手が足りない。運営する40歳代の男性は知人の外国人に連絡し、期間限定で収穫を手伝ってもらう。不法滞在と知った上で依頼するという。男性は「技能実習生は通年で雇う必要があり、多い時は月30万円程度かかる。足りない時だけ頼める外国人は貴重な存在」と明かす。

 イチゴを育てる高齢男性は「中国、フィリピンと、たくさんの外国人が『雇ってくれないか』と直接訪ねてきたことがある」と話す。

 外国人の労働問題に詳しい東京都立大の丹野清人教授は「事業者側の責任を重視する姿勢は間違っていないと思うが、事業者と外国人とのマッチング支援など人材確保対策も強化する必要がある」と指摘する。