反対が激しさ増す(C)ロイター/USA TODAY Network

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【トランプ2.0 現地リポート】

“TACO”の新手なのか?トランプ大統領が急ぐ「一方的勝利宣言」で手じまいの成否と戦闘終結後

 巨大テック企業がAI開発競争にしのぎを削る中、今市民の怒りの的になっているのが、AIデータセンターだ。電力消費や水消費、環境への負担が各地で激しい反発を呼んでいる。今やこの建設を支持するか否かが、中間選挙にも影響しかねない争点になりつつある。

 アメリカ人の過半数はAIを使った経験がある一方で、不信感も強い。最大の理由は、「AIが人間の職を奪うのではないか」という不安だ。しかし今、それ以上の脅威として問題視されているのが、データセンターなのである。

 AI競争に勝つには、膨大なデータを高速処理する巨大施設が必要になる。現在アメリカには4000〜5000のデータセンターが存在し、さらに今年だけで1500以上が新たに開発中とされる。

 そのスケールは桁外れだ。例えば今メタが、ルイジアナ州に建設中の最大規模の施設は、敷地面積2250エーカー(約910ヘクタール)でアメリカンフットボール場1700面分に相当する。もはや「データセンター」というより、ひとつの工業都市だ。

 近隣住民が最も懸念するのは、その巨大な電力需要と、機械冷却のための大量の水だ。この施設ひとつで、地元の電力需要を30%押し上げるという。

 また、1日あたりの水使用量は、メタの試算では約1万7000人の住民が1日に使う量に匹敵する。その結果、電力料金の急激な値上がりはもちろん、深刻な水不足への懸念も広がっている。

■推進派のトランプ大統領も動揺

 もちろん雇用創出や税収増というメリットはある。しかしその一方で、生活環境の悪化、環境負荷、そして不透明な企業交渉への不信感が、各地で怒りを燃え上がらせている。

 住民運動も激しさを増している。ミズーリ州やノースカロライナ州では、建設支持にまわった地方議員の落選が報じられた。建設差し止めを求める訴訟も相次ぐ。なかでも今年3月、バージニア州で住民側が勝訴した判決は、流れを変える転換点とみられている。

 トランプ大統領は基本的にデータセンター推進派だ。しかし同時に、AI企業に対し「必要な電力は自前で確保せよ」と求め始めた。拘束力は弱い。それでもこの対応は、問題が政治の争点へ変わった証拠だと専門家はみている。

 AI開発競争、反対する住民、そして政治。三つ巴の戦いは、中間選挙に向け、さらに激しくなりそうだ。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)