量より質を意識! LDLコレステロールを下げる「代表食品」と上昇させる「2つの要因」

脂質を控えようとするあまり、良い脂質まで遠ざけていることはないでしょうか。LDL管理において大切なのは、脂質を減らすことよりも「どの脂質を選ぶか」です。青魚やナッツ、植物油に含まれる不飽和脂肪酸、そして大豆製品や植物ステロールが持つコレステロールへの働きかけについて、食品の選び方とあわせて丁寧に解説します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

LDLコレステロールを下げる食べ物③|大豆イソフラボンと植物ステロール

特定の食品に含まれる機能性成分には、コレステロールの吸収を直接的に阻害したり、代謝を改善したりする働きを持つものがあります。その代表例が、大豆製品に含まれる大豆タンパクやイソフラボン、そして植物に含まれる植物ステロールです。

大豆製品がLDLに与える影響

大豆に含まれるタンパク質そのものに、血中コレステロールの低下作用があることが多くの研究で示されています。さらに、大豆に含まれるポリフェノールの一種であるイソフラボンは、構造が女性ホルモンのエストロゲンに似ており、肝臓での脂質代謝を改善する効果が期待されています。

納豆、豆腐、豆乳、みそ、枝豆、おからなど、日本の食文化に根付いた大豆製品を日常的に取り入れることは、LDLコレステロール管理において理にかなった選択です。例えば、牛乳の代わりに無調整豆乳を飲む、肉料理の一部を豆腐や厚揚げに置き換えるなどの工夫が考えられます。ただし、大豆イソフラボンのサプリメントによる過剰摂取は推奨されていません。あくまで食品からバランス良く摂取することが基本です。

植物ステロールとはどのような成分か

植物ステロール(フィトステロール)は、植物の細胞を構成する成分で、その化学構造が動物のコレステロールと非常によく似ています。この構造の類似性がポイントで、食事から摂取された植物ステロールは、小腸でコレステロールと吸収の座を奪い合います(競合的阻害:コレステロールの代わりに吸収されることでコレステロールを追い出すこと)。その結果、食事由来のコレステロールの吸収が妨げられ、体外へ排出されやすくなります。

植物ステロールは、米ぬか、玄米、ごま、ナッツ類、アボカド、ブロッコリー、カリフラワーなどの植物性食品に自然に含まれています。また、近年では植物ステロールを強化配合した特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品(マーガリン、食用油、乳飲料など)も市販されています。まずは自然の食品から摂取することを基本としつつ、これらの機能性食品を補助的に活用することも有効な選択肢の一つです。

避けるべき食品・控えめにしたい食習慣

「何を食べるか」と同様に、「何を控えるか」を意識することもLDLコレステロール管理に不可欠です。LDLコレステロールを直接的に上昇させる食品や、代謝に悪影響を及ぼす食習慣を把握し、日常的に見直すことがコレステロール値改善への近道となります。

LDLコレステロールを上げやすい食品の特徴

LDLコレステロールを上昇させる二大要因は、「飽和脂肪酸」と「トランス脂肪酸」の過剰摂取です。飽和脂肪酸は、前述の通り牛・豚の脂身、加工肉(ベーコン、ソーセージ)、バター、ラード、鶏皮、生クリームなどに多く含まれます。飽和脂肪酸を完全に断つ必要はありませんが、赤身の肉を選ぶ、鶏肉は皮を取り除く、調理油を植物油に変えるなど、摂取量を意識的に抑える工夫が求められます。

トランス脂肪酸は、液体の植物油に水素を添加して固形化する過程で生成される不飽和脂肪酸の一種です。LDLを増やし、HDL(善玉)を減らすという二重の悪影響があるため、特に注意が必要です。マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどに含まれ、これらを原料とするパン、ケーキ、クッキー、スナック菓子、揚げ物などの加工食品が主な摂取源となります。原材料表示に「ショートニング」「加工油脂」などと記載がある食品は食べ過ぎに注意しましょう。

食べ方・食習慣の改善ポイント

食品の選択だけでなく、食べ方や日々の食習慣も血中LDLに影響を与えます。例えば、以下の点を意識するだけでも大きな改善につながります。

調理法を工夫する:揚げ物や炒め物を減らし、「茹でる」「蒸す」「焼く」といった油を使わない調理法を基本にする。揚げ物は週に1~2回程度に。
バランスの取れた食事を心がける:外食や中食では、丼ものや麺類単品ではなく、主食・主菜・副菜がそろった定食形式を選ぶ。
コレステロールを多く含む食品を意識する:卵黄、レバー、魚卵(いくら、たらこ)などはコレステロールを多く含むため、以前ほど厳しく制限する必要はないとされているものの、1日1個程度を目安にする。
ゆっくりよく噛んで食べる:早食いは過食につながりやすい。ゆっくり食べることで満腹感を得やすくなり、総摂取カロリーの抑制に役立つ。
間食を見直す:おやつの種類と量を工夫する(後の章で詳述)。

食事の改善は、短期間で劇的な変化をもたらすものではありません。しかし、3~6カ月程度地道に継続することで、多くのケースで数値に良い変化が現れます。完璧を目指すのではなく、継続できる範囲で無理なく取り組むことが重要です。

まとめ

LDLコレステロールの改善には、食物繊維・良質な脂質・大豆製品などの食品選択と、飽和脂肪酸・トランス脂肪酸の摂取を控えることが基本となります。薬を使わずに改善できるケースもありますが、自己判断は危険を伴うため、必ず医師との相談を経て判断することが大切です。おやつも工夫次第でLDL管理の味方になります。まずはかかりつけの内科・循環器内科で数値を確認し、自分に合った対策を始めてみてください。

参考文献

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」

厚生労働省 e-ヘルスネット「LDLコレステロール」

厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」

厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」