ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、4月22日の放送に毎日新聞論説委員でノンフィクション作家の小倉孝保が出演。アメリカのトランプ大統領がイランとの無期限の停戦延長を表明する中、両国の仲介を担うパキスタンのキーパーソンといわれるムニール元帥について解説した。

長野智子「パキスタンのムニール元帥、どんな方でしょうか?」

小倉孝保「いろいろなところで最近、名前が出てきて。注目度が上がっています。日本のメディアはほとんど触れていないけど、日本と関係があるんですよ。富士山の近くにある滝ヶ原駐屯地。あそこで長期訓練留学を経験しているんです。だから若くて幹部候補生だったとき、陸自と一緒に訓練を受けている。日本のこともよく知っていると思います」

長野「知り合いもいるでしょうね」

小倉「1968年生まれで、ラーワルピンディーという、首都イスラマバードの近くの街で生まれました。軍の関係者が多いところです。お父さんは学校の教員、そんなに豊かでも、政治家や有力者の子供というわけでもなくて。軍に入って頭角を現してきた、という方です。パキスタンは軍が非常に強い権限を持っている国で。元帥という立場は大将よりも上で、史上2人目らしいんです。そこまで上り詰めている」

長野「そうなんですか」

小倉「出世には多様な要素があって。1つは軍の中で非常に、戦いなどに優秀な成績を残していること。最近言われているのは、たとえばサウジアラビアとの関係。大佐のときに駐在した。そのときアラビア語を勉強して。コーランを初めから最後まで暗唱できるようにと」

長野「ええっ?」

小倉「アラビア語で『ハーフィズ』という、尊敬を集めて呼ばれる人が、彼の家族に多いみたいです。日本でも、日本にいるイスラム教徒たちがよく、コーランの暗唱コンテストみたいなことを行う。彼はとても上手でした。イスラムにも非常に詳しい。もう1つ、トランプ大統領にすごく気に入られた、ということです」

長野「それにきっかけはあったんですか?」

小倉「2022年だったか、彼が陸軍のトップになってから、アメリカに気に入られるようなことをたくさんしているんです。トランプさんの大統領2期目になってからは、アメリカ兵を殺したテロリストの身柄を拘束して引き渡して。パキスタンはアメリカとギクシャクした関係が長く続いていた。アメリカとしては疑心暗鬼、信頼が薄い部分があった。でもムニール元帥が、不信を払拭するようなことをいろいろとして」

長野「ムニール元帥の中で、対米関係を良くしなければ、という思いがあった?」

小倉「この人の基本政策が、いろいろな国と多重な感じで良好な関係をつくりあげる。中国とパキスタンの関係は伝統的に良い。対インドということもあって。中国との関係を良くしながら、アメリカとの関係を改善しようとした人のようです」

長野「そういうことか」

小倉「インドとパキスタンが昨年5月、かなり緊張してカシミールをめぐって衝突した。そのときトランプさんが仲介したかたちになって。『俺が和平を実現したんだよ』と。そのときパキスタンは首相とムニールさんがワシントンまで行って、トランプ大統領に『あなたのおかげです。ありがとうございました。ノーベル平和賞に推薦します』と言ったんです。推薦します、と言った国はたくさんあるけど、パキスタンは最初のほうの国でした」