敗れたパリ五輪3冠・岡慎之助が笑った 滲んだ人柄「こんなにくるか」…ライバル橋本大輝と演じた激闘
全日本個人総合選手権男子決勝
体操の全日本個人総合選手権(群馬・高崎アリーナ)は19日、男子決勝が行われ、予選2位の2024年パリ五輪金メダリスト・岡慎之助(徳洲会)は169.898点で2位。予選1位の21年東京五輪金メダリスト・橋本大輝(日本生命・セントラルスポーツ)が170.114点で、内村航平以来史上2人目の6連覇を達成した。ともに10月の世界選手権(オランダ)の代表に前進。一騎打ちに敗れた岡は試合後、飾らない人柄を見せた。
また、惜敗だった。岡の0.184点リードで迎えた最終種目の鉄棒。会場はこの日一番の緊張感に包まれた。先に登場した岡は、完成度の高い演技で着地もピタリと決め、プレッシャーをかける。ただ、最終演技者の橋本は動じなかった。落下のリスクもある高難度の離れ技を次々と決めていく。五輪王者同士の頂上決戦に、観客は釘付けになった。
運命の得点発表。スコアが表示されると、0.216点差で敗れた岡はのけぞって絶叫し、頭を抱えて崩れ落ちた。「世界一」より遠い「日本一」の称号。ただ、その表情は体操を愛する少年のようだった。
日本体操協会は、今季から技の難易度を表す「Dスコア」の総合得点に応じて加点される新ルールを採用。予選、決勝の合計得点では岡が上回ったが、内規加点により、橋本に及ばなかった。それでも22歳の五輪王者には、充実感が漂う。
「楽しかったです。刺激的で良かった。(5種目目の)平行棒くらいから得点差が分からなくなって。でも色んな人が僕の方が上と言っていたので『じゃあ、いけるじゃん』みたいな。(橋本の鉄棒は)なんか余裕だなって。演技がすごく余裕のある感じに見えて『これ、くるわ』みたいな。まあでも、楽しかったです」
最強の仲間であり、ライバルだから知っている強さ
24年のパリ五輪では団体、個人総合、鉄棒で3冠。NHK杯も2連覇しているが、この大会は不思議と優勝に縁がない。昨年は最終種目の鉄棒で逆転されて2位。この日も、1種目目の床運動でミスをした橋本に最大0.951点リードする展開だったが、最後の最後に追い抜かれた。
最強の仲間であり、最強のライバル。だからこそ、その強さを知っている。
「本当に強いと思ったっすね。1種目目のミスから『こんなにくるか』っていうくらい後半に伸びてきた。去年よりは前進したかな。もうちょい、もうちょいのところにいる。来年は勝てそうな感じはしますね。(橋本は)自分を奮い立たせてくれる存在。こういう戦いはすごく楽しいし、嬉しい」
今大会は10月の世界選手権2次選考会を兼ねて実施。男子の代表は5枠。今大会の得点を持ち越して行われる5月のNHK杯の成績で代表が決まる。さらに、岡の3連覇もかかる。
「N杯(NHK杯)は連覇します」
1か月後、舞台を東京に移して再び火花を散らす。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)
