「過度に恐れることはない」発がん性が指摘されている有機フッ素化合物=PFAS

発がん性が指摘されている有機フッ素化合物=PFAS。
このPFASをめぐっては、4月から水道事業者に対して水質検査が義務付けられました。
石川県の能美市や白山市の地下水でも検出されたPFASの有害性について考えます。
「こちらに見えているのが原水と言って上流の犀川ダムから流れたきた水です。金沢市の水道水になる水で、犀川ダム周辺も綺麗な環境となっているので大変綺麗な水です」
こう説明するのは、金沢市の末浄水場に勤務する金沢市企業局上水課水質管理係の廣田拓也技師です。
金沢市内の水道水は犀川ダムを水源とする「末浄水場」と内川ダムを水源とする「犀川浄水場」そして白山市の手取川ダムを水源とする県水から供給されています。
浄水場を管理する金沢市企業局では安全な水道水を提供するため水質を日々、検査しています。
廣田技師は、「水質基準項目、52項目の中には大腸菌などの細菌やカドミウム、鉛などの金属といったものがあり、それらを測定しています」と説明してくれました。
PFASが水質基準項目に追加この52項目目として4月から水質基準項目に追加されたのが有機フッ素化合物=PFASです。
PFASが追加されたことについて、水中の汚染物質と環境の修復を研究している金沢大学理工研究域の長谷川浩教授は「これまでは(人体に影響がある)疫学的な調査の結果があって規制項目に入れていたが、PFASは世界的に見ても、がんである疑いが高くなったのでここで規制しましょうと一歩踏み込んだ化学物質の初めての例だと思う」と話します。
その上で、長谷川教授は、「人に何か健康被害が起きた後に規制するとなるとこれは必ず被害者がいるのでそれが起きる前にここで少し歯止めをかけようというのは正しい方向性だと思う」と今回のPFASの追加を評価します。
有機フッ素化合物の総称=PFASは、1万種類以上あり、水や油を弾き、熱にも強いという特性を持っています。
2000年代に入ってPFASによる環境汚染や健康被害が懸念されるようになりました。
特に泡消火剤などの原料となるPFOS、防水スプレーやフライパンのコーティングなどの原料となるPFOAは現在、日本では製造、輸入が禁止となっています。
PFASをめぐり県内でも大きな問題が明るみに合成樹脂を生産している白山市にある大手化学メーカーDIC北陸工場の敷地内の地下水から2月、国の指針値の最大およそ2000倍のPFOS、PFOAが検出されました。
報告を受けた県は、これまでに工場から最大1キロの範囲の井戸134ヶ所の水質調査を実施。
その結果、20日までに白山市内44ヶ所、能美市内10ヶ所の合わせて54ヶ所の井戸から国の指針値を上回るPFASが検出されたと報告しました。
この中にはDICとは別の工場も原因となっている可能性も指摘されました。
「その白いポンプが井戸。(畑の)水かけ用のポンプです。」
工場から程近い畑で野菜や果物を家庭用に栽培している男性です。
この男性は「キャベツ、玉ねぎ、ネギなどを作っていて、それにずっと水をかけてる」「今までずっと畑で野菜やら作って水かけてて、地下水にPFASが含まれてるとしてもどういう影響が体に出てくるのか…」と心配します。
「今はやはりPFASの問い合わせが多い」金沢市内で水質調査などを行なっている会社、ニジイロクリエイトの青木正訓専務は、去年あたりからPFASの検査依頼が増えていると言います。
青木専務は、「井戸は井戸の設置者が自己責任を持って水質の管理をする。定期的な13項目の検査費用は、1回検査をすると6000円から高いところで8000円なんですがPFAS検査は1回で4万円から高いところで6万円かかるので、問い合わせは来るが(PFAS検査は)手が出ない状況」だと説明します。
井戸水を飲料水に使っている家庭は少ないものの、工場の周辺では畑の野菜に地下水をまいている人は多くいます。
高まるPFASへの関心と不安。
その一方で金沢大学の長谷川教授は、PFASに関しては過度に恐れる必要はないと強調します。
PFASに関しては過度に恐れる必要はない長谷川教授は、「100ナノグラム、200ナノグラムくらいのPFASが入った地下水で栽培した米とかじゃがいもに関しては我々が心配するようなレベルではない。蓄積はなかったというデータがあります。」
このように話す長谷川教授が見せてくれたのが、農林水産省が公開しているは200ナノグラム程度のPFASを含む地下水をまいて育てたキャベツのPFAS残留濃度は5ナノグラム未満だったという報告書です。
さらに世代をまたいでPFASによる健康被害が人体に影響を与えるかについて長谷川教授は「科学的にどれだけPFASが体の中に残るのかという研究例がある。それによるとPFASは一定期間、2、3年程度は体内にとどまることはあるが、どんどん濃縮はされない。またどんどん排出もされます。なので水俣病であった水銀とかイタイイタイ病のカドミウムとは全く異なる生体内の蓄積性がある」と説明します。
PFASと公害病の原因となった物質との最大の違いは長谷川教授はPFASは体内には蓄積されにくく、体の外に排出される点だと強調し、世代をまたいでの影響は考えにくと話します。
しかし、健康への不安を訴える市民もいるため白山市は5月、希望者を対象に血液検査を実施することにしました。
検査データは健康への被害実態を調査する手掛かりとなるだけに今後、PFASと健康との因果関係の解明がさらに進むことが期待されます。
