60代バツなしおひとりさま漫画家が考える「結婚=幸せ」は本当か

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毎年4月22日は「アースデイ(地球の日)」。地球環境について考え、環境保護への意識や行動を促すことを目的とした国際的な記念日に制定されています。このアースデイをきっかけに、「もったいない」という言葉について改めて考えてみませんか?

現在62歳の小説家・漫画家の折原みとさんは、「人生楽しまなきゃもったいない!」をまさに体現したアクティブな日々を送っています。

100万部のベストセラー小説『時の輝き』『アナトゥール星伝』で知られる折原さんは、20代の頃は中目黒で昼夜を問わず仕事に追われる毎日。30代で長年の夢だった犬との暮らしを求め逗子へ移住しました。現在は仕事のかたわら、防災士の資格を取得し、地域活性化を目的とした横須賀市のアーティスト村事業にも参加しています。さらに60代に入ってからInstagramやVoicyもスタートするなど、新しいことにチャレンジし続けています。

「60代おひとりさまの本音」を綴る連載も人気ですが、中でも「なぜ結婚しないの?」「ずっと独身な理由は?」といった問いに率直に答えた2025年3月公開の記事は大きな反響を呼び、今も多くの方に読まれています。

その記事を、一部修正のうえ再掲載します。

「60代バツなし。おひとりさま」

最近、思うところあって、新しいインスタアカウントを立ち上げた。

アカウント名は、ズバリ「 mito/60代バツなしおひとりさま 」!!

大人の女性の、癒しと応援のためのアカウントだ。

私は今、61歳。(2025年3月時点)

そして、バツなし未婚の、生粋のおひとりさま!

21歳で漫画家デビューし、少女漫画や10代の女の子向けの小説を多く書いてきた私が、気がつけば還暦を迎えていた。

しかも、恋愛小説家と呼ばれることもあるというのに、いまだに独身ってどーゆーこと!?

と、疑問に思われる方もいるだろう。

いや、別に深い理由や主義主張があるわけではない。

仕事に夢中で忙しく、私生活も充実していて楽しくて、何度かタイミングを逃しているうちに、あれよあれよと今に至ってしまっただけ なのだ。

50代や60代のおひとりさまの中には、私と同じようなパターンの方も多いのではないだろうか。

男性の3人に1人、女性の5人に1人が「生涯未婚」

男女の未婚状況を示す指標の1つに、「生涯未婚率」というものがある。

50歳時点で、結婚したことのない人の割合を示す言葉だ。

2020年時点で、日本の男性の生涯未婚率は28.25%、女性は17.81% だという( 国立社会保障、人口問題研究所の統計 )。

50代以上で未婚の人の割合は、男性が、約3人に1人。女性は、約5人に1人 なのだから、そう珍しいわけでもない。

実際、私の周りには、50代以上で未婚の女性がたくさんいるし、皆さん、仕事もバリバリで人生を楽しんでいる。

それでも、この年齢で「1度も結婚したことがない」と言うと、やはり驚かれることが多いのも事実だ。

「どうして結婚しないんですか?」と聞かれるのもよくあること。

昭和脳の高齢者の言葉なら「さもありなん」と思えるが、20代や30代の若い世代までもが、同じ質問を投げかけてくることに、ちょっと驚く。

「多様性の時代」だなんだと言われていても、「結婚するのが普通」という価値観は、いまだに多くの人の心に根強く残っているらしい

結婚は「とりあえず」するものだろうか

そういう私自身も、若い頃は、そんな価値観に囚われていた。

ある程度の年齢になってからは、「未婚」に対する世間の反応が鬱陶しくて、「とりあえず結婚したほうが良いのでは?」と思っていた時期もある。

しかし、 「結婚」は、世間体のために「とりあえず」するようなものではない だろう。

ましてや、作品の中で「愛」や「恋」を描いてきた作家として、そんな気持ちで結婚することは、読者の方たちに対して不誠実というものだ。

今では、もうすっかり腰を据えて、自然に任せようと思っている。

もしもこの先、お互いに人生を共にしたいと思えるような相手が現れたなら、遅ればせながらでも、新しいチャレンジをすればいい。

「おひとりさま」でも「おふたりさま」でも、どっちでもいいのだ。

自分の心に正直に、自分らしく生きることが、「幸せ」 なのではないだろうか。

私が60を過ぎて、新しいインスタアカウントを立ち上げたのは、そんな気持ちを堂々と発信したくなったからだ。

「既婚」>「未婚」? 無意識の優劣

様々な物事に対して、人は無意識に、優劣をつけてしまうことがある。これを「アンコンシャスバイアス」というらしい。

たとえば、「既婚」>「未婚」。

おひとりさまでも、「バツあり」>「バツなし」。

結婚していても、「子供あり」>「子供なし」。

子供がいても、「子供2人以上」>「子供1人」。

未婚だと「どうして結婚しないの?」と言われるし、子供がいないと「お子さんはまだ?」と言われる。

さらには、子供が1人だと「2人目は作らないの?」と言われることもあるかもしれない。

そんな 世間のバイアスのなかで、コンプレックスを抱いたり、生きづらさを感じている方も多いのではないだろうか?

しかし、女性としてのライフイベントをコンプリートしていないからといって、他人と比べて引け目を感じる必要はないはずだ。

結婚して出産し、子育てをしてらっしゃる方たちのことは、心から尊敬しているが、それをしていない人間にも、また別の生き方や幸せがあるに違いない。

出産や子育てをしない代わりに、その分の時間やエネルギーを他のことに使って、何らかの形で、社会に貢献することもできるだろう。

60代おひとりさまで子供もいない私が、思いっきり楽しく生きていると発信することで、世間の固定観念が、ほんの1ミリでも変わってくれたらいい

周りの目を気にして、生きづらさを感じている人たちが、少しでも楽な気持ちになってくれるとしたら、おひとりさま冥利に尽きる というものだ。

人生いろいろ。

生き方は人それぞれで、何でもあり!

金子みすゞの詩のように、 「みんなちがって、みんないい」 のだ。

結婚すれば幸せになれる?

ところで、そんなふうに、すべての人の心に寄り添い、肯定してくれるような詩を書いた金子みすゞが、26歳という若さで自ら命を絶ってしまったことを、皆さんはご存知だろうか?

原因は、夫からの非情な仕打ちだったという。

遊郭に出入りしていた夫から「病気」をうつされ、詩人としての活動もやめろと迫られ。さすがにみすゞが離婚を申し出ると、娘の親権は渡さないと言われ……。

絶望した彼女は、命を絶ってしまったのだ。

「結婚」の先にあるものが、必ずしも「幸せ」とは限らない

もちろん、愛する人と結ばれて、子供にも恵まれ、大勢の家族に囲まれて一生を送ることができたなら、それほど幸せなことはないだろう。

が、場合によっては、夢見たような結婚生活とは違ってしまうこともあるかもしれない。

結婚する大きな理由として、「老後の孤独や経済的なことが心配だから」と言う方も多いが、残念ながら、結婚すれば一生安心というわけではない。

子供を授かるかどうかはわからないし、パートナーと離婚や死別をする場合もある。

誰もが必ず、豊かで、平穏な老後を補償されているわけではない のだ。

だとしたら、 結婚をしていようとしていまいと、大事なのは、何があっても1人で生きていける力を身に付けること だと思う。

経済的に自立するための仕事や知識、生活力。

友人やご近所付き合いなど、いざという時に頼れる人間関係の構築。

心身ともどもの健康。

どんな生活の中にも楽しみを見つけ、幸せを感じることのできる心が、何よりも大切なのではないだろうか?

「僕、60になったらのんびり暮らしたいですよ」

60代おひとりさまのインスタ発信。

この、私の新たなチャレンジに対して、知り合いの20代男子が、ちょっと引き気味にこう言った。

「60代で新しいことを始めるなんて、すごいっすね。僕、60になったら何もしないでのんびり暮らしたいですよ」

は…!? いやいや、何言ってるの?

今時、60で隠居生活なんて、どんな昭和の価値観なんだ?

人生100年時代、残りの40年、何もしないなんてつまらないし。そもそも、 60で呑気に隠居して生きていけるほど、今の世の中は甘くない!

私は、一昨年、59歳で弓道を始めた。

昨年、60歳で防災士の資格を取り、さらに、今注目されている音声プラットフォーム「Voicy」で、「 折原みとの人生なんとかなるでしょ! 」というチャンネルを始めた。

61歳の今(2025年3月時点)は、新しい小説のシリーズに取り掛かっているし、その上、今度はインスタだ。

漫画も小説も、いまだに手書きなくらいのアナログ人間だが、動画編集も見よう見まねで頑張っている。

いくつになっても、新しいことを学び、チャレンジすることは楽しい

「結婚しなければならない呪い」よ、さようなら

最近のシニアは、アクティブだ。

SNSでは、60代どころか、70代〜80代の方たちが、生き生きと元気な暮らしを発信していたりする。

しかし、その一方で、30代〜40代の方たちが、「結婚できないのは自分が悪いの?」「将来が不安」などと、ネガティブな投稿しているのを見かけることもある。

大丈夫、心配する事はない!

「結婚しなくちゃいけない」という「呪い」に縛られることはない。

逆に、 「結婚なんてしなくていい」と、決めつけることもない

自由に、軽やかに、自信を持って。

自分らしく、自分の足で歩いていこう。

漫画家デビューして、今年で40周年。

ずっと作品に込めてきたポジティブなメッセージを、私自身の生き方からも、伝えていきたいと思っている。

解けない昭和の呪い…『じゃあ、あんたが作ってみろよ』が60代バツなしおひとりさま漫画家に刺さった理由