出でよ!沖縄から世界へ羽ばたく起業家たち EO沖縄・久保以明会長、さくらインターネット田中邦裕社長に聞く
若手起業家の世界的ネットワーク「EO(Entrepreneurs’ Organization=起業家機構)」をご存じだろうか。1987年に設立され、現在76カ国、2万人以上のメンバーによって構成されている。EO沖縄会長の久保以明弁護士とメンバーのさくらインターネット株式会社・田中邦裕社長が内外タイムスの単独インタビューに応じ、会の活動や今後の展望、沖縄で行う意味などを語った。
まずはEOについて簡単に説明しておきたい。年商1億円を超える会社の起業家ネットワークで、日本だけでも北は北海道から南は沖縄まで18の組織があり、EO沖縄は10個目のチャプターとして発足。起業家が定期的に集い、秘密保持の鉄則の下、腹を割った付き合いをしながらお互いを高め合っている。
経営者同士が対等の関係で互いに学び自己成長
――お二人はEOに入って何年目でしょうか?
久保 今5期目ですけど、僕はちょうど沖縄を立ち上げた時に入ったので、4年半くらいですかね。
田中 私は2020年7月にEO東京プラチナムに入ったので、もうすぐ6年です。東京プラチナムに入って、2年後に沖縄ができるということでローンチパーティーに行かせていただき、入会しました。創業は30年前なんですが、7年前に沖縄に移住したんです。
――入ってみていかがですか?
久保 僕自身はEOのパーパスが大好きで、起業家の可能性を最大限に引き出して世界を前進させる。僕の場合は身近に沖縄の社会から、引っ張っていきたいなと思ってやっています。これから沖縄を発展させて、沖縄が良くなればなと思っています。
田中 面白いなと思ったのは対等の関係性なんですね。上下関係があって上から教えるとか、会社の規模とかではなくて、お互いに学び、自己責任という原則があるので、やらされるという感覚ではなく、気付いて自分が行動することが特長です。絶対に人には言えないようなことをお互いに共有して共感して、端的に言うと自己成長の場なんですね。仕事が増えるというよりも、経営者が自己成長することで社長の器が大きくなり、結果として会社が何十倍、何百倍にもなることを体現しているコミュニティーですね。
――実際、会社も発展していってるんですか?
久保 琉球スフィアという弁護士法人の代表をやっているのですが、発展していますね。立ち上げの時は事務所が1カ所しかなかったのですが、4年で沖縄と東京も含めて3倍か4倍になっているので。
田中 沖縄に移住してゆっくりしたいなという気もあったんですが、別に老後やりたいこともないんじゃないかと思い、しっかり事業を伸ばすことに立ち返りました。この3、4年はガバメントクラウドとか、AI向けのGPU基板とかにチャレンジする熱量をEOにいただいてる感じですね。
――EOに入ったおかげで上場したと仰る方もいるみたいですね。
田中 おられますね。上場のやり方を経験シェアということですね。EOでは教えるというより経験を分かち合って、それを自分なりに工夫すると。ただ課題は、上場するって決して目的ではないので、そこから先どうするかと悩んでいる方も多いですね。私もEOに入った時は今の10分の1くらいの時価総額でしたから、その中でどういうふうに成長させていくかみたいな課題もありました。上場って象徴的ではあるけれども、その後も学べるのもEOの面白さかなと。
――どういった会社さんに入ってほしいですか?
久保 別に何でもいいかなと思ってますけどね。弁護士ってあんまり起業家という概念にはなじまない業界だと思うんですけど、それでも僕は今、会長をやってますし。そういう意味ではオッというところが入ってくるのは逆に面白いかなと。
田中 弁護士事務所ってセオリーがあるけども、それでもバッと伸びるところとそうじゃないところがあるじゃないですか。モッチーのところってすごい伸びてるという意味でいうと、どの業界でもアントレプレナーシップ(起業家精神)は必要なんだろうなと思いますよね。会計士の方とか税理士の方もおられるし、本当に多様な方がおられますよね。
田中邦裕氏(撮影・内外タイムス) 守成クラブ、青年会議所など他組織との違い
――やっぱり沖縄の方が多いんですか?
久保 僕自身も生まれ育ちは東京なんです。沖縄に移住して20何年経ってるんで沖縄の人間みたいになってますけど、もっと沖縄の人が欲しいなというのはありますね。
田中 多様性を高めるためには、よそ者が来るってすごい重要なんですよね、でも、やっぱり地元の人たちがそれに感化されて、自分たちもやろうとなっていくと、本当に真のアントレプレナーシップの芽生える地域になるんだろうなと思います。
――沖縄でも守成クラブとか、ライオンズクラブとか、青年会議所とか、いろいろな組織がありますが、違うところはどの辺でしょうか?
田中 JCに比べるとEOの方がドライな感じがしていて、ウェットな飲み会があるというより、学びにフォーカスしているのかなと思います。JCの場合は、各地域にあるので地元との深いつながりを作っていくけど、EOは比較的広域になるし、沖縄以外から入会してる方も半分近くおられますね。
久保 成長にフォーカスしているところは本当に大きいと思います。EOのパーパスは、起業家の可能性を最大限に引き出して世界を前進させること。単に仲良くなって商売して売り上げを増やすことを目的にしていませんし、あくまでも起業家の成長にフォーカスしている点は大きく違います。
――今後のEO沖縄はどうしていきたいかお聞かせください。
久保 EO沖縄の会長として話すと、まだ5期目で、1億円以上の売り上げで沖縄のチャプターに入っている人が32、33人なんですけど、この2年くらいで50人くらいに持っていきたいです。
――沖縄以外の企業も入ってくることは歓迎ですか?
久保 ぜひ来てもらいたいと思っています。刺激を与えられて学びになると思うし、同時に沖縄の人たちも成長していけば、沖縄県自体が変わってくるんじゃないかなと思います。僕の中ではワクワク妄想していますね。
久保以明氏(撮影・内外タイムス) 沖縄はバカンスだけじゃない!起業家同士が切磋琢磨
――沖縄に行きたい人は多いじゃないですか。ビジネスもバカンスもプライベートもとか。
久保 動機はなんであれ、沖縄に来てもらうのは嬉しいです。
田中 沖縄の一つの課題は、遊びに行くと思われちゃうんですね。沖縄イコールバカンスに見られがちだけど、実際にはEOの中でみんな切磋琢磨(せっさたくま)して実業をやって、しっかり成果を出しています。私も沖縄に来てからも売り上げが倍になってますからね。日本は産油国でもないし、エネルギー資源のある国でもない。30年間の停滞がありましたけど、今一度経済的に豊かになっていくためにも、起業家の存在、アントレプレナーシップの存在は必要不可欠だと思います。
沖縄に限って言うと、47都道府県の中で貧困率で最下位争いをしているような場所ですが、アントレプレナーシップによって県民の豊かさを取り戻すことができれば、雇用が変わるかもしれないし、産業も変わるかもしれない。日本全体のアントレプレナーシップを高めて、沖縄で地元の県民の豊かさにつながる。これにEOが貢献することができれば、いつまでも必要とされる団体であり続けられると思います。
――お二人に気軽に声をかけさせていただいても構わないですか?
田中 EOの会に来ていただければ、ゲスト参加でもしていただければいいですし。我々も内地のチャプターに行くこともありますし、逆にEOの東京の方から来ていただくこともありますし、気軽につながりを深められるといいんじゃないかと思いますね。
――お二人に話せるだけでも非常に価値のある団体なんじゃないのかなと思います。本日はお時間いただきありがとうございました。
久保以明氏(右)と田中邦裕氏(撮影・内外タイムス) 《プロフィール》
久保以明(くぼ・もちあき)1998年、一橋大学法学部卒業。2001年に司法修習生として沖縄に移り、そのまま沖縄での弁護士活動を開始。2007年に琉球法律事務所を開設し、2018年に弁護士法人琉球法律事務所、2024年にスフィア法律事務所を設立。東京、沖縄、中国、台湾など7カ所に事業所を構える。企業法務を中心に、不動産取引をめぐる紛争や家事事件など、さまざまな案件に対応。
田中邦裕(たなか・くにひろ)京都・舞鶴高専在学中の1996年に18歳でさくらインターネットを創業し、2005年に当時4番目の若さで東証マザーズ上場。若手起業家やITエンジニアの育成に取り組んでおり、日本データセンター協会理事長、ソフトウェア協会会長、関西経済同友会常任幹事などを歴任。複数の企業の社外取締役やIPA(情報処理推進機構)未踏PMも務める。
