北極圏の冬の氷が2年連続で「過去最少」

2026年の冬、北極圏の氷の面積が、人工衛星による観測が始まった1979年以降でもっとも小さくなっていたことが分かりました。2025年の記録をさらに下回り、2年連続で「過去最少」を更新しています。

特に日本の北にある「オホーツク海」での氷の減少が目立っており、地球の気候全体へ悪い連鎖をもたらすのではないかと懸念されています。

北極圏の氷の面積3万平方キロ少なく 記録的な小ささに

JAXA=宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立極地研究所は、北極の氷についての最新の観測結果を発表しました。

北極の氷は、秋から冬にかけて広がり、春から夏にかけて溶けて小さくなるというサイクルを毎年繰り返しています。

しかし、今年の冬は全体的に氷の広がりが悪く、ピークの面積は、3月13日に記録した1376万平方キロメートルでした。

これは観測開始から48年間で最も小さい数字で、これまでの最少記録だった昨年よりも、さらに約3万平方キロメートルも小さくなっています。3万平方キロは、関東地方1都6県と同じぐらいの広さです。

なぜ?北極圏の氷が広がらなかった理由

JAXAと国立極地研究所は、主に、オホーツク海と、カナダとグリーンランドの間の海域で、気温が高かったことが原因と分析しています。

「北極の海氷域面積」は、北極点周辺の海だけでなく、オホーツク海、ベーリング海、バフィン湾(グリーンランド周辺)など、「周辺の海」の氷もすべて合計した全体の面積を指します。

日本の北のオホーツク海では、1月から2月にかけて平年よりも気温が高く、氷が南へ広がりにくい状態でした。さらに、2月中旬から3月中旬にかけて東や南東から「暖かい風」が吹き続けたため、通常なら氷が張っているはずの海面がどんどん狭まったということです。

カナダとグリーンランドの間に位置するバフィン湾・ラブラドール海でも、1月から2月にかけて気温が高く、南側で氷ができるのが妨げられていました。

地球を見守る「人工衛星」H2Aロケットで打ち上げられた観測衛星

こうした変化が正確に分かるのは、宇宙から地球を観測している人工衛星のおかげです。これまでは、2012年5月にH2Aロケット21号機で鹿児島から打ち上げられた水循環変動観測衛星「しずく」が、13年以上も活躍し、長期データの中心を担ってきました。

現在は、その後継機で、2025年10月から本格運用されている「いぶきGW」へバトンタッチが進んでいます。

いぶきGWは2025年6月にH2Aロケット50号機(最終号機)で、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。

「いぶきGW」は、AMSR3というセンサーで、水と氷が出す微弱な電磁波=マイクロ波の違いを検知して、氷の状態を観測しています。

マイクロ波が散乱する状態を観測して、「雪の降る様子」も把握できるため、北極などの寒い地域の環境をより詳しく調べられます。

南極の氷も後退 気候への「連鎖的な影響」の懸念

北極圏の氷は、地球の気候を安定させる大切な役割を持っています。また、していることがESA=欧州宇宙機関などの研究で分かっています。

氷が減ることで、世界中で異常気象が起きたり、海の環境が変わったりする可能性があります。

国際的な気候変動の専門家組織(IPCC)の報告でも、北極圏の氷の減少は「地球の気候システムに連鎖的な影響を及ぼす」と警告されています。

「2年連続で過去最少を更新した」ということは、気候の仕組みそのものが変化し始めている可能性もあります。

JAXAと国立極地研究所は、今後も地球の環境がどう変化していくのか、継続的な監視と詳しい分析を続けていく方針です。