次回4月22日(水)よる10時 第3話を放送 日本テレビ系水曜ドラマ「月夜行路 ―答えは名作の中に―」(毎週水曜よる10時放送)。

数々の名作ドラマレビュー記事を手掛ける「テレビ視聴しつ」室長・大石庸平氏は、4月15日(水)放送の第2話をどう見たか?場面写真とともに紹介する。

(※以下、第2話のネタバレを含みます)

波瑠と麻生久美子がW主演を務める新ドラマ『月夜行路 ―答えは名作の中に―』の第2話が15日に放送された。
本作は、家族から蔑ろにされ寂しさを抱える専業主婦・涼子(麻生久美子)が、文学オタクで洞察力に優れたバーのママ・ルナ(波瑠)と出会ったことから始まるロードミステリー。第2話では早速、このドラマの縦軸である涼子の学生時代の恋人・カズト(作間龍斗)探しが動き出した。手掛かりは、彼の苗字である“佐藤”。その“佐藤”をめぐる道中、あれよあれよと事件に巻き込まれ、解決へと向かっていくという、前話同様の唐突さと偶然の連続だったのだが、視聴後感はどこまでも“痛快”であった。

<軽やかで無邪気--ルナというキャラクターの心地よさ>

本作の“嫌味のなさ”は、そう簡単に成立するものではない。
例えば、主人公のルナはトランスジェンダー女性である。創作においてこうした背景を持つ人物は、“達観した存在”として描かれがちだ。もちろん、それ自体は“キャラクター”として成立するのだが、その設定に寄りかかってしまうことこそが安易であり、物語の都合にも見える危うさがある。
しかし今作のルナはどうだろうか。バディである涼子に対して時に導く立場にありながらも、その振る舞いはどこまでも軽やかで、無邪気だ。そのバランスが、二人の関係性を“教える側/教えられる側”に固定させず、対等な“友情”として成立させている。

<文学は難しくない。会話の延長で楽しめるミステリー>

また、本作は文学を手がかりに事件を解決していくという、いわばアカデミックな要素を含んだミステリーでもある。劇中で語られる文学の手引きも、一歩間違えれば“知識の押し付け”になりかねない。しかし本作は、それらをあくまでもカジュアルな会話として昇華させ、物語の流れを止めることがない。だからこそ、登場する文学に馴染みのない視聴者であっても置いていかれることは決してなく、むしろ“少し覗いてみたくなる”ような親しみやすさを感じさせることに成功している。

<“伏線”に頼らない、シームレスな事件解決>

そして何より“嫌味がない”のは、ミステリーの展開そのものだ。今回の第2話は、涼子の元恋人を目的とした“佐藤探し”の過程が、そのまま事件解決へとシームレスにつながっていった。本来であれば、こうした展開には複数の“伏線”が必要となり、それが目立ってしまえば物語の流れを分断しかねない。むしろ視聴者に“伏線”と意識させた瞬間、物語は推理のための“装置”に傾いてしまうと言っていいだろう。

しかし本作は、ミステリーとしての体裁を十分に保ちながらも、同時に“人情”を丁寧に描き込むことで、その違和感を打ち消していく。今回象徴的だった“香水”も、単なる手がかりとしてではなく、涼子の日常に潜んでいた感情と重ね合わせることで、自然に物語へと溶け込ませていた。だからこそ視聴者は、それを“伏線”と認識しながらも構えることがなく、あくまで物語の一部として受け取ることができた。結果として、会話を楽しみ、物語を楽しむという、本来の視聴体験が一切損なわれなかったのだ。

<綺麗すぎないのに引きがある--次回が待ち遠しいラスト>

だからこそ今作は、人情とミステリーを同時に成立させる、一挙両得の“痛快さ”を生み出している。そしてラストでは、ルナの“ダーリン”が涼子の存在を認識している気配を見せ、さらに涼子のウソが家族にバレた!という展開で次回へとつながった。この“引き”もまた実に自然で、続きを見たい!という感情を素直に引き出してくれた。

すでに本作は、“嫌味のなさ”という強みを武器に、安心して身を委ねられる作品へと仕上がりつつある。今後の展開にも期待が高まる一話だった。

<番組情報>

原作:秋吉理香子『月夜行路』(講談社)
脚本:清水友佳子
音楽:Face 2 fAKE
チーフプロデューサー:道坂忠久
プロデューサー:水嶋陽、小田玲奈、松山雅則
トランスジェンダー表現監修:西原さつき、若林佑真、白川大介
演出:丸谷俊平、明石広人
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ

番組公式SNS、ホームページ
・X:@getsuyakouro
・Instagram:@getsuyakouro
・TikTok:@getsuyakouro
・ホームページ:https://www.ntv.co.jp/getsuyakouro/
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<原作情報>

『月夜行路』 
四十五歳の誕生日、孤独な主婦の沢辻涼子は家を出た。偶然出会った美しいバーのママ・野宮ルナは、深い文学知識と洞察力を活かした推理で、かつての恋人への涼子の思いを言い当てる。最愛の彼はなぜ涼子のもとを去ったのか?二人が始めた元彼探しの旅先で、明らかになる秘密とは。涙のサプライズエンディング!
発売中 講談社文庫

『月夜行路 Returns』
元彼探しの旅から戻った涼子が再びルナを訪ねたとき、店に届いた古いノートパソコン。誰が、何のために送ってきたのか。涼子は、パソコンを開くパスワード探しを手伝うことに。行く先々で事件に巻き込まれながら、パスワードを試していく二人。願いを込めた仕掛けに挑めるチャンスは、5回。鍵を握るのは、1冊の本。
4月22日発売予定 講談社

【秋吉理香子 プロフィール】
兵庫県出身。早稲田大学第一文学部卒業。ロヨラ・メリーマウント大学大学院にて映画・TV番組制作修士号取得。2008年、第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞し、2009年に『雪の花』でデビュー。主な著作に『月夜行路』『悪女たちのレシピ』『終活中毒』『無人島ロワイヤル』『暗黒女子』などがある。