Image: Yang et. al, 2026

NASAのアルテミスIIミッションが無事成功、クルーメンバー4人が地球に帰還しました。

が、NASAは大きな問題なしとしていますけれど、着陸用カプセルの一部が剥がれ落ちるという問題も発生し、これについては調査を行うとのこと。カプセルには耐熱シールドが施されているのですが、大気圏再突入がいかに過酷か、その熱対策がいかに重要かが改めて浮き彫りになりました。

熱から守るべきは人間だけではありません。今後、宇宙でのテクノロジー活用が発展することになれば、当然データを収めるメモリも守る必要があります。

3つの耐熱素材の組み合わせ

南カリフォルニア大学の工学教授などが参加する研究チームは、熱に強いメモリチップを考案。このチップは700度という超高温環境にも耐えられる素材を使った、小さなサンドイッチ構造になっています。

耐熱メモリは、メモリスタと呼ばれる装置で、情報の保存と演算の両方が可能。サンドイッチ構造は3つの層からできていて、1番上に熱にめちゃくちゃ強いタングステン、真ん中にこれまた耐熱に優れたハフニウム酸化セラミクス、1番下には熱伝導率の高いグラフェンを採用。

これらの素材が持つ特性を活かして開発されたチップは、温度700度という過酷環境でも、1.5ボルトの力で50時間のデータ処理を行うことができるといいます。

Image: Yang et. al, 2026

従来のチップが熱によってショートしてしまうのは、上の層が下の層にくっついちゃうから。それを回避するために、グラフェンとタングステンという水と油のような素材を採用し、物理的にくっつけない=ショートできない構造にしたのが、高耐熱チップの特徴です。

ちなみにチップの耐熱温度は、研究に使われている機材の都合による最高値であり、もっと熱くてもいける可能性があるとのこと。

南カリフォルニア大学の工学教授Joshua Yang氏は、この高耐熱チップの性能は革新的と呼んでもいいほどだ、とプレスリリースで自信を見せています。

熱に強いメモリ活躍の場

現時点ではあくまでも研究の段階で、実用化はまだまだ先。そもそも、超耐熱チップとタッグを組む他の電子部品もこれから開発が必要になってきますから。

とはいえ、耐熱チップの存在は今後の人類の宇宙探査や科学技術の進展に大きく影響するかもしれません。なにしろ平均気温500度といわれる金星の環境でも使えるわけですし、地球深部探索や核融合エネルギーシステムでも活用できるかもしれないのですから。

研究チームによると、耐熱チップのサンドイッチ構造に使用されたそれぞれの素材は、半導体業界でも馴染みの薄いものではないため、今後大きな飛躍が期待できるとのことです。

論文はScienceに掲載されています。

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