この記事をまとめると

■インドネシアの首都であるジャカルタの街を散策した

■2025年夏はBEVバスが目立っていたが今回は街なかでほとんど見かけることがなかった

■車庫から遠いジャカルタの街なかはバスの回送だけでかなりの電力を消費してしまうらしい

ジャカルタのBRTは内燃機関車に逆戻りしていた

 インドネシアの首都ジャカルタへIIMS2026(インドネシア国際モーターショー2026)の取材のため訪れ、取材が終わった段階でジャカルタ市内を散策した。

 まず、宿泊先からジャカルタ・コタ駅へ行き、日本からかつて埼京線や南武線、あるいは東京メトロで活躍していた車両に乗り、3つぐらい先の駅まで行き、その周辺を散策してから再びコタ駅に戻ってくる。ジャカルタでは、中国製とされる新型車両が物凄い勢いで導入されており、日本からの中古車両が走る姿が見られなくなるのも時間の問題ともいわれている。

 コタ駅に戻ってきたらブロックMバスターミナルへ向かうBRT(バス高速輸送システム/電車のように改札を通りプラットフォームからバスに乗降し、バスは専用道路を走るシステム/ジャカルタでは一部一般車と同じ道路を走るし専用プラットフォームもない普通のバス停が郊外にあるので「なんちゃってBRT」とも呼ばれている)に乗って、沿線風景を眺めながら終点のブロックMバスターミナルを目指す。この路線の沿線は日本大使館や5つ星ホテル、高級ショッピングモールなどもある、ジャカルタのまさに目抜き通りとなっている。

 2025年夏にジャカルタを訪れたときには、このBRT路線を新たに導入された複数の中国系ブランドのBEV(バッテリー電気自動車)バスが走っていたのだが、今回訪れてみると、旧態依然とした長く使われているICE(内燃機関)車両ばかりが走っていた。

「あれっどうしたのかな?」と思いながら、その日のホテルへ帰るためにタクシーに乗っていると、パサール・バルという市場近くの大通りにたくさんのBEVバスが停車している光景が目に飛び込んできた。仮に筆者がいつも乗っている、コタ駅とブロックMを結ぶ路線を「幹線」とすると、どうも「支線」を走る路線がBEVばかりになっていることがわかった。

BEVバスが街なかを走ってないのは車庫からの距離が理由だった

 以前紹介したBRTタイプではない、一般路線バスタイプのBEV車両の車庫を訪れたことがある。そのとき応対してくれたバス会社の関係者によると、筆者のいうところの幹線は車庫からそこへ回送して向かうだけでかなりの距離となり(BRTに沿って一般路線バスも運行されている)、その回送だけで電力消費も目立ってしまうので、車庫から近い路線にBEVバスを優先的に振りわけるようにしていると話してくれたことがある。

 確かにジャカルタ中心部からかなり離れた場所が終点の路線を走るBRTタイプ車両はBEVばかりであった。ジャカルタを代表するような目抜き通りを走るBRT車両が古ぼけたICEバスばかりというのも「なんだかなあ」と思ったのだが、電力を無駄に消耗するという現実的問題があるのではやむを得ないのかもしれない(導入当初はあえて目立つ場所で運行させていたようだ)。

 また、幹線なので利用客も多いのでICE車両では連節タイプ(車体がつながっている)が多いのだが、BEV車両では連節車両は見たことがないので、その辺のテクニカルな問題もあるのかもしれない。ちなみに運行するトランスジャカルタでは、2030年までにすべてのバス車両をBEV化するといっているが、そのときは「車庫から遠いから〜」は通用しないので、どのような運行オペレーションを行うのか興味深いところである。

 話は逸れるが、日本で路線バス運転士といえば「運転士=高齢」というイメージがマストだが、ジャカルタのバス運転士はベテラン(日本ほど高齢ではない)に交じって見た目は20代のような若者もかなり目立っている。混みあう路線では客室(電車のように運転室と客室は仕切られている)に車掌のような、おもに女性が乗り込み、スムースな乗降ができるような手助けをしているのだが、こちらも若い女性が大半であった。

 同行者が終点車庫で休憩するバス運転士や車掌にカメラを向けると大喜びしてポーズを決める若い運転士や車掌(インドネシアのひとは相手が他人だろうが写真を撮られるのが大好きである)の様子は日本とのあまりに違う光景であり驚かされた。