11日、独マクデブルクで開催されたAfD党大会で参加者は政策綱領への投票を行った/Christian Mang/Reuters via CNN Newsource

ベルリン(CNN)週末にハンガリーで欧州のナショナリスト政党の一つが政権を突然失った一方で、別の政党は人気を博し、ドイツ政治における影響力を強めている。

極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は週末、旧東ドイツ地域のザクセン・アンハルト州の支部で党大会を開催した。かつては政界の異端児だったAfDだが、9月に行われる州議会選挙では、創立13年の歴史の中で初めて絶対多数を獲得する可能性がある。

約250人の代表者を前に熱のこもった演説を行った同州の有力候補、ウルリッヒ・ジークムント氏は、AfDが実権を握った州がどのような姿になるのかを明確に示した。

党大会は州都マクデブルクで11日に開催された。ソーシャルメディアで絶大な人気を誇るジークムント氏は「我々は、一貫した強制送還に賛成する」と明言。その後、党員たちは150ページに及ぶ州のマニフェスト(政策綱領)を採択したが、多くの人がこれを「過激」と評している。

CNNが入手したマニフェスト草案によると、AfDは移民、教育、福祉、エネルギー政策の大幅な変更を求めている。移民政策については「180度の完全な転換」を提唱し、強制送還と「再移住」を盛り込むべきだと主張する。「再移住」とはナチスを連想させる言葉であり、戦争から逃れてきたウクライナ難民もその対象になるとみられる。

たとえ9月の州議会選挙で党が単独過半数を獲得したとしても、AfDはこうした改革を実施することはできない。改革は連邦政府の管轄事項だからだ。しかしマニフェストには党の考え方が如実に示されている。かつては非主流派と目されていたAfDだが、現在は政界の既成勢力にとっての脅威となっている。

こうした変化の一因は移民問題にある。2015年、ドイツはシリア出身者を中心に約100万人の難民に門戸を開き、それから24年までの10年間で約300万人を受け入れた。

ドイツは今もなお、この負の遺産と向き合っている。近年は反移民感情の高まりが、全国的なAfDの台頭を後押ししてきた。とりわけ24年と25年に発生した移民による一連の襲撃事件以降、そうした傾向が著しい。これらの中には、今回の党大会の開催地となったマクデブルクのクリスマスマーケットでの事件も含まれる。

党員に向けて演説したジークムント氏は、欧州全体が「この歴史的な選挙」を注視していると強調した。

もし同氏の党が勝利すれば、ザクセン・アンハルト州は隣接するテューリンゲン州に次ぎ、旧東ドイツ地域でAfDを最大政党に選出する2番目の州となる。最近の世論調査では、AfDの支持率は40%前後で推移しており、ライバル政党を10ポイント以上上回っている。

ドイツ国内における東西間の経済格差を背景に旧東ドイツ地域で確固たる地位を築いてきたAfDだが、今年は西部地域でも勢力拡大の兆候が見られる。メルツ首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)や連立政権を構成する社会民主党(SPD)といった既存政党にとって、これは憂慮すべき事態だ。

一方でAfDにはロシアとのつながりに関する疑惑があり、今回のマニフェストにもそれを払拭する効果はほとんどないとみられる。

AfDはマニフェストの中で「既存政党による現行の反ロシア政策はドイツの国益に反する。それらは欧州を分断している」と主張。ロシアへの制裁解除と無料のロシア語講座の導入を求めている。

こうした姿勢は、ドイツ連邦政府の方針と極めて対照的だ。連邦政府はロシアとの戦争において常にウクライナを強く支持してきた。

​​「ビジョン2026」と名付けられたAfDのキャンペーンは、長年保たれてきた欧州の価値観に挑戦することを明確に意図している。3月のフランス地方選、そして先週末のハンガリー総選挙で民族主義政党が苦戦を強いられた後、ドイツのザクセン・アンハルト州での選挙結果はもう一つの大きな試金石になるだろう。AfDは移民やアイデンティティー、生活水準といった国民の懸念を投票行動での勝利に結びつけられるのかどうか、そこで試されることになる。