北海道「まちなか小屋」に人はなぜ集まる? 「生産的でも合理的でもない」文化の拠点

北海道旭川市の商店街にある「まちなかぶんか小屋」は、市民の身近な文化発信の拠点であり、居場所だ。路上からのぞけるガラス張りのスペースは40人ほどでいっぱいに。演劇や落語、歌声喫茶など多様なイベントが年間400回以上開かれる一方、空き時間にもふらっと人が訪れる。事務局の竹田郁さん(42)は「生産的でも合理的でもない場所。だからいろんな人が集まれるのかな」と話す。(共同通信=渡部紗生)
3月上旬、ぶんか小屋で「Keito場」というイベントが開かれた。糸が置かれた二つの大きな机の前で、参加した5人ほどが思い思いに編み物をしたり、切ってより合わせて糸にするため古着を分類したり。その間も「今日は何をやってますか」とドアが開く。
主催のナカジマヨシカさん(51)は、2020年にこの場所に出合った。「大きなテーブルにぽつぽつ人が集まってくる。人前で話すのは好きじゃないが、ここでなら私もやってみたい」と、物作りのワークショップを始めた。参加した人が新しくイベントを企画したこともある。
ぶんか小屋は日中のイベントがない時間も出入り自由。老若男女が立ち寄り、机を囲んで雑談することもあれば、「実はうつ病で」と、弱さとされがちな部分を共有することも。あるときは「食べるものがない」と来た人にご飯を作り、障害者手帳を取るのを手伝った。「困ったときに駆け込める場所でありたい」と竹田さんは話す。
オープンは2013年。街のにぎわい創出を目的とした市の事業だった。その後任意団体に引き継がれ、現在は竹田さんら3人が運営に携わる。市の補助金や、支えてくれる市民らの会費が頼りだが、経営は苦しい。
それでも続けたいと竹田さんは言う。街には、お金があって初めて参加できる場所がほとんど。「そうでなくてもいられて、誰かと出会えて話せる」。こんな場所はいくつもないと思うからだ。




