最終回でも謎が解けない…話題作『リブート』に始まり”豊作だらけ”だった2026年冬「謎考察ドラマ」総決算

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「整形で別人」が流行り?

(1月期ドラマの多くをしっかりネタバレしていますので留意してお読みください)

考察できるドラマがけっこう流行りである。

とくにこの1月から3月ドラマでは「謎考察ドラマ」が目立っていた。

もっとも目立って考察が盛んだったのは『リブート』(TBS日曜9時)だろう。

最終話が終わったあとも考察が続いていた。

無実の罪を着せられた主人公(鈴木亮平/ドラマ開始時は松山ケンイチ)が顔を変えて警察組織と悪の組織に潜入し、自分の無実を証明する、という物語であった。いっぱい人が死んだが、彼の家族だけは最後まで全員無事であった。そういうお話だ。

このドラマ独自の謎は「リブートできる」、つまり人の顔を自在に他人に変える整形が可能というところにあった。

整形で別人、というのは最近のドラマで少し流行っている。

『レプリカ 元妻の復讐』や『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』でも、整形して別人になりかわっていた。

『リブート』は「実在の」別人になりかわれるというところがポイントだった。

登場人物がみな、顔整形しているんじゃないかと疑わしくなって、考察が盛んであった。

でも結句、整形(リブート)は、主人公(松山ケンイチ→鈴木亮平)と、その妻(山口紗弥加→戸田恵梨香)の2人だけであった。(最後の最後に永瀬廉→北村匠海のリブートがあったが、いわば後日談的なエピソードリブートである)

もう1つの謎は、「警察組織内にいる裏切り者が誰か」であった。

最終話で明らかになった。かなり小物であった。ま、小物というのは個人的な印象だけど、明らかになっても、あまりびっくりしなかった。そんなに大きな謎だったとはいえない。(主人公の警察の部下の二番手)

終わってみると、「謎」はあったのだが「謎解き」で引っ張っていたドラマではなかったことがわかる。

スリリングだからおもしろかった。

「なりかわり」ドラマとしてすぐれていたのだ。

ずっとどきどきして「主人公たちはどうやって窮地を脱するのか」で惹きつけられていた。

「なぜ自首したのか」謎が残る

『夫に間違いありません』(フジテレビ系月曜10時)は松下奈緒主演のドラマ。

ある水死体を「夫に間違いありません」と確認したが、じつは夫ではなかった、という物語である。夫(安田顕)は生きていて、誤認された水死体男性の妻(桜井ユキ)は夫が行方不明のままで困っている、という展開を見せた。

その桜井ユキ演じる妻の言動がかなり謎であったが、最後に明かされる。彼女は夫から激しくDVを受けており、子供を守るために、夫を川に突き落としていたのだ。

主人公の夫(死んだことになっていたが生きていた夫/安田顕)は、自分が死ぬとすべてまるくおさまると気づいて、自分から川に飛び込んで自殺する。

「死んだ夫」を取り替え、それぞれ保険金を受け取る話でおさまった。

しかしどちらの妻も自首する。(主人公の自首は18年後であったが)

なぜ自首したのか、という謎は残った。

犯罪者が逃げ切る物語にしたくなかった、という意図だったのだろう。

べつに犯罪者が逃げ切るドラマでもいいのに、とおもったが、いまどきそれは難しいというのもわかる。

「意外な犯人」のむずかしさ

『再会〜Silent Truth〜』(テレ朝火曜9時)は小学校時代の記憶にとらわれた4人の物語。

幼馴染み4人(竹内涼真、井上真央、瀬戸康史、渡辺大知)は小学6年のとき警察官が射殺された事件に遭遇する。そのとき主人公(竹内涼真)は犯人を射殺し(たとおもいこみ)その拳銃を四人で地中に隠した。

23年経ってその隠した拳銃でまた殺人事件が起こる。

23年後の事件は万季子(井上真央)が犯人であった。いろいろ情状酌量される余地はあるものの追い詰められて彼女が撃った。事件ものとして、ここが大きな謎であったが、予想された範囲の犯人であり、驚く展開ではなかった。

驚きだったのは23年前の事件のほうである。

強盗犯による事件ではなく、警察官、それもいま警察署長になっている男(段田安則)の犯行だった。驚きの展開であったが、驚いたのは警察署長がそこまではいわば端役だったからでもある。

「意外な犯人」のむずかしさでもある。

そもそも23年前の事件の真相について、当事者たちは謎にはおもっておらず、途中から闖入してきた刑事(江口のりこ)が謎としてとらえなおして、それを解決したばかりである。

主人公サイドの謎ではなかった。

江口のりこのドラマだった、という感想を見かけたが、謎解きものとしてはその見立てが正しいだろう。

ドラマの最後は、小学校時代の「キスしたことある?」という甘酸っぱい問いかけを回収する形で終わっていた。

謎解きドラマではなかったのだな、というのが正直な感想である。

ぼんやりしていた謎が味わいに

『ラムネモンキー』(フジ水曜10時)は「中学時代の記憶にとらわれた3人のおじさん」の物語であった。

謎は多かったが、おじさんたちが「きちんと憶えていない」のが謎の原因であり、そのあたりはゆるゆるであった。

基本は、38年前の「教師失踪事件」を探る謎解きであった。

3人のおじさん(反町隆史、大森南朋、津田健次郎)と、中学時代の臨時教師マチルダ(木竜麻生)の気配とキャラが良くて、その力で、最後まで引っ張ったドラマであった。

今クールの秀作ドラマだった。

最後にいろいろみんなの記憶が戻って、たしかにマチルダ先生は危ない目にあったのだが、なんとか切り抜けて、いまもきちんと生き延びている、という結末であった。どうやら漫画家になって活躍していた、ようなのだが確かなことはわからない。

謎がぼんやりしていたところが、かえってドラマの味わいになっていた。

『未来のムスコ』も当たりだった

『未来のムスコ』(TBS火曜10時)は2031年生まれの未来の「自分の子」がママ(志田未来)のもとにやってきて、また帰っていったドラマである。「誰の子なのか」というのが前半の謎であった。

最終話前になって、物語が未来へと進んで「2031年1月になってもムスコは現れない」という驚きの展開を見せた。

最終話はどきどきして見た。

「ムスコ」は主人公夫妻の実の子ではなかったということがわかり、でもかつての「ムスコ」にはきちんと出会う。

タイムパラドックス的にはごちゃごちゃすぎる展開ではあったけど、でもすごくいい最終話だった。このドラマも当たりだった。最終話をさっき見返してまたぼろぼろ泣いてしまった。ええ話やわあ。

謎解きの要素はあったけれど、母子ものとして、よかった。

謎解きドラマではない

『パンチドランク・ウーマン』(日テレ日曜10時30分)

無実の罪で捕まっている日下(ジェシー)を助けるために、女看守長(篠原涼子)が脱獄を手助けする。二人は一緒に逃げる。二人が逃げ込んだ教会で愛を誓っているところへ警官に踏み込まれ、愛を誓っていた彼女がその相手を制圧する。自分は人質だったというテイを守り、逮捕した。その手柄で彼女は出世する。

女性看守の身の破滅物語、と見せかけておいて、最後は、彼女は出世して、看守として彼のそばにいる、という形で終わった。

ざっくり説明すると、すごい雑駁な感じがしてしまうが、まあ、しかたがない。

謎解きドラマではなかったが、終わり方がけっこう謎である

「理屈の勝ったドラマ」

『身代金は誘拐です』は深夜ドラマ。(日テレ木曜23時59分)。

子供が誘拐され「身代金の代わりに他の子供を誘拐しろ」という指令がきて、ほんとうに誘拐した夫婦の物語。被害者が加害者になるお話である。

もともとの誘拐犯が誰かわからず、ずっと謎のままであった。

最終話の前話で犯人はわかるが、主人公(勝地涼)の親友(浅香航大)であった。まさに意外な犯人であった。

ただ、身近な人間がなぜ、というのには込み入った説明が必要で、最後のほうはかなり「理屈の勝ったドラマ」になってしまっていた。

主人公夫妻は自首して、執行猶予つきの判決、離婚したはずだが復縁したのか、最後は家族みんなで楽しそうにキャンプに来ていた。幸せそうにしているシーンで終わるが、よくわからなかった。犯罪が入りくんでいたため、誰は何の罪によってどうなったのか、説明はしてくれたが、飲み込む前に終わってしまっていた。そういう印象である。

蒼空くんは幸せになれたのだろうか。

意外な真犯人の先にどんでん返し

『ぜんぶ、あなたのためだから』(テレ朝土曜23時)は、結婚披露宴で血を吐いて倒れた花嫁に毒を持ったのは誰か、という謎で引っ張ったドラマであった。

血を吐いて倒れた花嫁(井桁弘恵)がどうなったのか、前半ではまったく触れず、ちょっと「謎を謎らしくするためのあざとさ」が気になった。

毒を盛った犯人は参列者ではなかった。式場のスタッフが、花嫁の中学時代の友人で、恨みを含んで犯行であった。

意外な犯人である。

犯行動機はの説明は犯人判明してからになるので、どうしても「とってつけたようなあとからの説明」になってしまう。そこが「意外な犯人」ミステリーの難しさだろう。

ええええっ、と「え」の文字の何文字ぶん驚いたかによってその「とってつけ感」をどれぐらい許せるかになってくる。

『ぜんぶ、あなたのためだから』は意外な真犯人の先にもうひとつどんでん返しがあった。

主人公(藤井流星)は、妻のことを考えて活動していた正義の人物のように描かれていたのだが、最終話、ただの身勝手な男でしかなかったことが妻によって暴かれる。痛快でもあるが、でも信頼して見ていた前提がひっくり返された気分でもある。

彼の「妻のための行動」はすべて無意味だったことにされた。驚いたが、心地いい終わりではない。いろいろむずかしい。

謎がメインにあって、その謎解きを最後まで引っ張るドラマは、やはり理に落ちて、おもしろさが少し色褪せるようにおもう。

謎を保ちつつ、ほかのぶぶんのドキドキのほうが大事なようだ。

あらためてそうおもう。

4月クールドラマは、「謎解き」ものが減って、恋愛モード高めである。

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