ワイドフェンダーがカッコいい!

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これは「令和のコンパクトホットハッチ」だ!

 2025年秋に開催された「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」や、2026年1月の「東京オートサロン2026」などでホンダブースに展示され、来場者から大いに注目を集めたのが、小型BEV(バッテリーEV:電気自動車)の「Super-ONE(スーパーワン)」です。

 5月下旬とされている正式発表・発売を前に、筆者(モータージャーナリスト 工藤貴宏)は、サーキットで新型スーパーワンに試乗することができました。いったいどのような乗り味だったのでしょうか。

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 最初に、今回新たに明らかになったいくつかのスペックからお伝えしましょう。

 まずモーターの最高出力は、「BOOST」モード選択時で70kW(約95PS)。スーパーワンのベースとなっている軽自動車「N-ONE e:」の最高出力は47kW(64PS)なので、出力的には約1.5倍になっています。

 いっぽう車両重量は1090kg。車体サイズ的にライバルとなり得るAセグメントハッチバックのEVは、一般的に1300kgから1400kgほどなので、軽さはけっこう自慢です。

 バッテリー容量が少なめという言い方もできなくもないですが、スポーツカーとして考えれば軽いことは大歓迎ですよね。

 1充電での航続距離は274km(WLTCモード)。ほかの小さなBEVと比べても長くはないですが、シティコミューターとしては十分ともいえます。

 そしてもっとも気になる価格は、現時点では未公表。どうやら400万円を切るようですが……果たして。

 さっそく、ボタン式ドライブセレクターを「Dレンジ」に入れて試乗……のまえに、サッと概要を説明しておきましょう。

 新型スーパーワンの正体は、先ほども触れたように軽BEVのN-ONE e:をスポーティに仕立てた「令和のコンパクトホットハッチ」。

 オーバーフェンダーの装着で軽自動車枠を超えて小型車登録ですが、車体自体は全長3.6mほどの超コンパクトサイズです。

 ちなみにN-ONE e:は、ガソリンエンジンを積む軽自動車「N-ONE」のBEV版ですね。

 それではさっそくコースイン。

 結論からいえば、めちゃめちゃ気持ちイイ。最大の魅力は「軽快で爽快な運転感覚」と筆者は思いました。

「とても加速が速い」というわけではありませんが、軽自動車ターボや軽BEVよりはパワフルでありつつ、容易にアクセル全開ができる「適度なパワー」がイイ感じ。

 そうそう、ホットハッチってこういう気軽にスポーツドライビングを楽しめるのがいいんですよね。そんな“楽しさのツボ”はしっかり押さえています。

 それからハンドルを切ったときの、スッと曲がる感じがとっても気持ちイイ。

 実はベースのN-ONE e:でもそういう感覚がとっても強く、それが楽しさに直結しているのです。

 理由は、フロントにエンジンがないから、前後重量配分に優れる(ノーズが軽い)こと。

 筆者はかつて軽ミッドシップスポーツカー「S660」に乗っていて、そのスッと曲がる感じに酔いしれていましたが、もしかするとスーパーワンの軽快な曲がり方はそれ以上かもしれません。

 なんて話を開発者にしてみたら、「向きの変えやすさはガソリン車のコンパクトスポーティカーを超えるのはもちろん、BEVのなかでもトップクラスで、S660も超えています」とのこと。

 もし新型スーパーワンのハンドルを握ることがあったら、ぜひそこを感じて気持ちよさを実感してほしいところです。

 ちなみにサスペンションは、N-ONE e:に対してバネやダンパーが硬められているだけでなく、フロントはロアアーム(アルミ鍛造)やハブ(剛性アップ)などを変更して、リアやリアアクスルビームが強化品となっています。

 またバッテリーを床下に積んでいるので重心が低く、それもコーナリングの安定感を高めています。

シフトと音の演出が「めちゃ楽しい!」

 ところで、BEVのドライビングといえば往々にして「速いけど無味無臭で面白みがない」なんていわれがちです。

 でもこうして乗ってみると、スーパーワンは「そうではない」ことに気が付きます。いや気が付くなんてものではなく、普通のBEVでは感じられない奥深さは誰にでも感じられるレベルといって良いでしょう。

 それはいったいなぜなのでしょうか。実は新しいギミックとして、大きな理由がふたつあるのです。

普通のBEVでは感じられない「奥深さ」がある!

 まずひとつはシフトの演出にあります。

 BEVなので、トランスミッションは1速固定ですが、BOOSTモードと「SPORT」モードの演出として、疑似的な7段変速をおこないます。電気的な制御で仮想シフトアップ/ダウンを作り、さらにパドルで任意のシフトも可能。これがイイんです。

 もうひとつは、音の演出にあります。

 4気筒エンジンの音を思わせる合成音を発生させ、これがアクセルワークに厚みを感じさせてくれます。

 コックピットにはタコメーター(エンジン回転数のイメージを表示)もあって、パドルをマニュアル操作してエンジン車の様に楽しめちゃうのです。

 そのうえなんと、シフトアップをさぼると、(疑似的に)レブリミットに当たっちゃたりして、メーターの演出と音で「バババババ」とレブに当たるのだから面白い。EVなのに、ですよ。

 どちらも、モーターの特徴をあえてスポイルしつつ「エンジンを懐かしむ」もので、いってしまえば「後ろ向きの演出」と受け取る人がいるかもしれません。

 だけど、それが楽しいんだから仕方ない。詳しい人は「それってヒョンデの『アイオニック5N』に組み込まれているものでは」と思うかもしれません。確かにだいたい同じものと考えればいいでしょう。

 ホンダが先に送り出したアイデアとはいえないのは、ちょっと残念に思えなくもない(真似したというわけではなく考えることが誰もが一緒で、タイミングの問題)ですが、EVドライビングを楽しもうと思うと、そういう方向へ行くのもひとつの手ということなのでしょうね。

 さて、そんなスーパーワンは、どんな人に向くのでしょうか。

 試乗を踏まえて端的にいってしまえば「運転好き」、そして「ホットハッチ好き」の人の“日常の足”にジャストだと感じました。毎日の移動が、BEVで先進的でありつつも、スポーツドライビングになるのですから。

 航続距離から考えて、セカンドカーのシティコミューターと考えるのがいいでしょうね。

 ファーストカーとして、長距離移動ができるエンジン車やハイブリッドカーを所有しつつ、セカンドカーとして街乗り用のBEVが欲しい、だけど普通の小型BEVじゃつまらない。楽しく運転できるクルマがいい……なんていう人に向いていると筆者は考えます。

 日常の足として考えた場合、スライドドアこそないけれど、5ドアで後席が広いことはお伝えしておきましょう。使い勝手は軽自動車のN-ONEと一緒ですから便利ですしね。

 気になる価格は、冒頭でもチラッと紹介しましたが、どうやら400万円は切る模様。

 加えて最大で125万円の補助金を受けられる可能性もあり、もしかするとこのスーパーワンは実質250万円強で手に入る可能性もあります。正式な価格と補助金額が公表されないと正確な金額は出せませんが……。

※ ※ ※

 というわけで新型スーパーワンは、結論として自宅で充電できる環境さえあれば、筆者だって欲しいと思うのは正直なところ。だって運転が楽しんだから。

 運転が楽しくて気軽な電動シティコミューターという方向性は「アバルト500e」と同じ、と考えればわかりやすいでしょうね。