西武ホールディングス・西山隆一郎社長兼COO(4月1日付でCEO)

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現・中期経営計画は「種まき期」


 ─ 2023年の社長就任から3年目を迎える中での現状認識を聞かせてください。

 西山 確かに社長就任から3年目になりますが、私の意識としては現在進捗中の経営改革を開始して5年が経ったという意識の方が強いですね。21年5月の決算発表と同時に23年度までの中期経営計画も発表したのですが、このときの決算では最終赤字が723億円と過去最悪の決算となっていました。

 コロナ禍の影響が大半ですが、ステークホルダーの皆様には大変なご心配をおかけしたことは事実です。ですから、業績と新しい船出の計画を同時に発表しようということになりました。その中計の趣旨は事業構造転換の最初の宣言になります。

 ─ どのような宣言になっているのでしょうか。

 西山 まずは、不動産事業は総合不動産業に飛躍するという宣言であり、ホテル・レジャー事業はオペレーター専業になり、国内外に拠点を広げていくという宣言になります。このときから経営改革を少しずつ具体化して進めてきました。

 その途中で社長に就任しました。さらに社長就任1年目は経営企画本部長を兼務し、改革の責任者も務めました。ですから私にとっては事業構造転換への出発から既に5年が経過し、6年目に入ったという感覚です。

 さらに今年は24年度から26年度までの中期経営計画の最終年度に当たりますので、将来に向けた青写真を描き、取り組みを加速させていきます。

 ─ 現在進行中の中計はどのような位置づけになりますか。

 西山 24~26年度の中計の発表と同時に「西武グループ長期戦略2035」を発表しており、そこでは現在の中計は10年後を見据えた中の「種まき期」と位置づけています。その次の27~29年度の3年間は「育成期」、そして30年度以降は「開花期」へと進んでいく予定です。

 ですから、この26年度は現在の中計の種まき期の最終年度に当たり、次の育成期に向けた0年度と位置付けています。既に種まき期の土台固めをしっかりと行い、次の育成期に向けた準備をしているのが現状になります。不動産事業もホテル・レジャー事業も、都市交通・沿線事業も、その他事業も含めて種まき期の土台づくりを着実に行い、種まきを完了するというのが26年度になるということです。

 ─ 将来の事業を花咲かせるための種まきを完了すると。

 西山 はい。もちろん、その後も種まきは続けるわけですから土壌づくりとも言えるかもしれません。




事業構造転換を進める上での肝


 ─ 5年間は計画通りに動いているという手応えですか。

 西山 この5年間は、臥薪嘗胆の中に光を見出し、着実に前進してきたと言えます。どん底から這い上がっていく計画でしたからね。それでも社員と役員、約2万1000人の血の滲むような努力と現場力があったからこそ、今のように立ち直ることができたのではないかと思っています。

 21年度からの中計の3年間を無事に終えることができたという意味では計画通りです。

 ─ 社員の意識改革は、どのように進めてきましたか。

 西山 大きな事業構造転換を進める中で、特に大胆に変わったのが不動産事業とホテル・レジャー事業です。それに伴って体制を変える際には、各事業会社の社長と協力して啓発活動に力を入れました。事業構造を大きく変えるわけですから社員の理解を求めて賛同してもらうことが大事でした。

 これをフェイス・トゥー・フェイスの対面や社内媒体も含めてグループ全体に発信して社員を鼓舞していくことに心掛けてきました。西武鉄道や西武・プリンスホテルズワールドワイド、西武不動産などの社長が各社の社員を鼓舞して、まずは回復に向けて事業構造の転換をすることを細目に伝えていきました。私自身もタウンホールミーティングや社員との座談会などを繰り返してきました。これは今でも続けています。