Mrs.GREEN APPLEの冠番組『テレビ×ミセス』がレギュラー放送スタート(番組公式インスタグラムより)

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 Mrs.GREEN APPLEの冠番組『テレビ×ミセス』のレギュラー放送がスタートする。現在、音楽シーンのトップを快走しているミセスは、テレビ番組でのニーズも高まっている。今回レギュラー化が決定した背景について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

【写真】『テレビ×ミセス』に出演するM!LK・佐野勇人や曽野舜太。他、FRUITS ZIPPERと一緒に踊るMrs.GREEN APPLEの大森元貴やSuperflyとのコラボなども

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 6日(月)20時55分から新番組『テレビ×ミセス』(TBS系)がスタートします。 

 その名の通りMrs. GREEN APPLE(以下ミセスに略)の冠番組であり、そのコンセプトは「日本中を明るくするコラボバラエティ」。昨年6月2日と11月3日の特番放送を経たレギュラー放送1回目の内容は「テレビの王道×ミセス」と題してさまざまな企画に挑む姿が予告されています。 

「テレビが大好き」と語る彼らがバラエティでおなじみの"浮島ジップライン"などの体当たり企画に挑戦。さらにレジェンド歌手・郷ひろみさんとの名曲「GOLDFINGER’99」コラボも披露されます。 

 その『テレビ×ミセス』は単なるTBSの新番組というだけではありません。業界内では「いくつかの意味で注目度が高い」と言われていますが、はたしてそれはどんなことなのか。番組とミセスへの期待といくらかの不安などをあげていきます。 

ミセスなら取れるのか、取れないのか 

 業界内で注目を集める最大の理由は、現在の視聴者に"アーティストバラエティ"がどれだけ受け入れられるか。 

 特に2020年代に入ってからテレビ業界では「ゴールデン帯で視聴率が取れるタレントが少ない」という声があがり続けていました。「スポンサー受けのいいコア層(主に13〜49歳)の個人視聴率が獲得できて配信再生数も期待できるタレントがほしい」が民放各局の本音。2010年代までは複数の人気芸人を組み合わせることで何とか持ちこたえてきましたが、それも難しくなり「打つ手が見つからない」という状態が続いています。 

 その点、ミセスは『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』最優秀アーティスト賞、『日本レコード大賞』3年連続受賞、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)大トリ、現在放送中の朝ドラ『風、薫る』(NHK総合)の主題歌「風と町」など、音楽シーンのトップを快走しています。 

 さらにYouTubeチャンネル登録者数631万人はバンドのトップであり、アイドルグループを含めてもダントツ。民放各局が「今、最もキャスティングしたい」と言われ、オファーが飛び交うSnow Manの440万人、SixTONESの261万人、timeleszの124万人を大きく上回っています。 

 特筆すべきは小学生からティーン、20代にかけての圧倒的な強さであり、さらに園児や高齢層の認知度も高く、ファン層の広さは他の追随を許さないレベル。業界内では「これほどの国民的アーティストは20〜30年ぶりくらいではないか」という声があがっていました。 

 ただ、かつてDREAMS COME TRUE、桑田佳祐さん、福山雅治さん、浜崎あゆみさんらのアーティストバラエティが放送されましたが、いずれも23時台の深夜帯に留まり、19〜22時のゴールデン帯だけでなく22時台のプライム帯もありませんでした。さらに現在、「音楽番組そのものが視聴率を取れない」と言われていることもあって、「ミセスなら取れるのか」「ミセスでも取れないのか」が注目されています。 

レギュラーの音楽番組を持つ強み 

 成功例どころか挑戦すらされなかったゴールデン帯のアーティストバラエティに挑むTBSも勝算があってのレギュラー編成なのでしょう。 

 TBSは唯一の2時間レギュラー音楽番組『CDTVライブ!ライブ!』で繰り返しオファーしてきたほか、3連覇中の『輝く!日本レコード大賞』も放送。また、藤澤涼架さんを看板ドラマ枠・日曜劇場『リブート』の主要キャストに起用したことも記憶に新しいところです。『テレビミセス』も前述したようにパイロット特番を2度にわたって放送しながら最適な構成・演出を探るなど、入念な準備とミセスへの配慮が随所に感じられました。 

 また、そんなTBSと『テレビ×ミセス』の行方を注意深く見ているのがテレビ朝日。ミセスには音楽番組『ミュージックステーション』でのオファーを続けてきたほか、2023年に深夜帯の冠番組『ミセススクールクエスト』を半年間にわたって放送。さらに特番『Cafe GREEN APPLE〜ミセスLOVERが集う店〜』を2週連続放送したほか、ドラマ『日曜の夜ぐらいは…』(ABC制作)にもゲスト出演しました。若井滉斗さんが深夜帯の音楽番組『M:ZINE』のメインを務めていることも含め、最も縁の深いテレビ局だけに『テレビ×ミセス』の成否が気になるのではないでしょうか。 

いずれにしてもTBSとテレビ朝日というゴールデン帯のレギュラー音楽番組を持っている2局がミセスの人気、キャラクター、対応力などを熟知し、良い関係性をキープするためにもオファーを重ねてきた様子がうかがえます。今後もミセスの出演は季節ごとの大型音楽特番を除けばTBSとテレビ朝日が多くを占めていくのでしょう。 

サービス精神とチャレンジ精神の持ち主 

 次に『テレビ×ミセス』はどんな内容が期待されているのか。 

 制作サイドは週替わりアーティストとの名曲コラボに加えて、「芸人との爆笑コント」「体を張った超過酷なバラエティ」「学生たちとふれ合うハートフルなロケ」などの例をあげていました。いずれにしても求められているのは「この番組しか見られないミセスの姿とコラボ楽曲」であり、そのベースさえブレなければ一定の人気を得ていくのではと見られています。 

 特にここ数年間、業界内では音楽以外の点でミセスを評価する声があがっていました。その最たるものは、彼らのサービス精神とチャレンジ精神。実際、歌と演奏に加えて本格的なダンス、演技、トークなどに挑戦してきたミセスの3人ならコントや街ぶらロケも器用にこなしていくのでしょう。 

 さらにアーティストでは稀なテレビ愛の持ち主であることを喜んでいるテレビマンは少なくありません。音楽番組ですらテレビ出演を避ける。あるいは、出ても歌と演奏以外は斜に構えたようなアーティストが多い中、何でも笑顔で楽しもうとするミセスは貴重な存在。もちろん歌と演奏はカッコイイけどそれだけに留まらず、常に笑顔で仲がよく親しみが持てて笑わせてくれる……そんな令和のトップアーティスト像をミセスが切り拓いているようにも見えます。 

 あるテレビマンは「ミセスの仲のよさと親近感は現在ラストツアー中の嵐を彷彿させるレベル」と言っていました。アーティストとアイドルという活動ジャンルこそ異なるものの、「音楽以外のシーンで癒しを感じさせられる」という点で令和の世にフィットしているのでしょう。だからこそ彼らの冠番組は音楽で固めるのではなく、バラエティの笑いを盛り込んだものが妥当であり、それが視聴者の間口を広げることにもつながりそうです。 

鬼門の月曜21時台を救えるか 

 そして見逃せないもう1つのポイントは、TBSの月曜21時台という放送枠。 

 長年放送されてきたドラマ・映画枠が2019年冬で終了して以降、『メイドインジャパン!』、『アイ・アム・冒険少年』、『CDTVライブ!ライブ!』、『クレイジージャーニー』、『ジョンソン』、『THE MC3』、『タミ様のお告げ』が編成されたものの、短期間での打ち切りか時間移動を繰り返してきました。 

 TBSにとっては鬼門と言える放送枠であり、ミセスの人気に頼ることでムードを変えたいところ。また、『CDTVライブ!ライブ!』終了直後の放送だけに「音楽好きな視聴者をそのまま取り込めるか」も成否を左右しそうです。 

 『テレビ×ミセス』に関しては「アーティストバラエティがどうか」だけでなく、「ゴールデン帯の冠番組がどうか」という点も焦点の1つでしょう。主に2010年台から冠番組の大半が芸人のものとなってテレビ欄を埋めてきましたが、徐々に視聴率獲得が難しくなり、ゴールデン帯ではタレントではなく企画を前面に押し出したものが増えていました。 

「時代に合っているのか」「今の視聴者には響かないのではないか」という冠番組への不安が感じられる中、『テレビ×ミセス』はアーティストに限らずタレント全般の可能性を示すことになるのか。それとも時代の流れには逆らえないのか。冠番組の今後を左右しそうなムードが感じられますし、その意味でTBS以外のテレビマンたちは「一定の成功を収めてほしい」と思っている人が少なくないようです。 

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。