「相性も良かったのか、その男性と結婚することになったんだそうです。しかし、やがて性交渉をしようとしたら『入らない』と。自分の指で確認したら、どうも膣の穴がふさがっている……。女性は諦めようとしたらしいのですが、新しいご主人が諦めきれず、インターネットで色々と検索した結果、私のところに辿り着いたそうです」

その女性に対しては、狭くなった膣を手術で広げ、元の形に戻し、さらに再生医療を足して、痛みや壁の硬さをなくす若返り治療も実施したところ、無事に性交渉をすることができた。「まさに、特に旦那様の愛情と執念みたいなものを感じました」と増田院長は微笑む。

「その女性は、『手を繋ぐだけでもワクワクしたし、久しぶりに唇を合わせるだけでもドキドキしたので、それだけでも私は十分でした。でも性交渉ができたときの夫の喜ぶ顔が忘れられません』とお手紙をくださったんです。さらにお二人でも直接お礼を言いに来てくれました。ご主人は嬉しさで号泣されていて……私の中で最も印象に残る患者さんでしたね」

高齢になってから性交渉を望むことに、疑問を抱く人もいるかもしれない。しかし増田院長は「コミュニケーションの最たるものが性交渉である人も多いのです。男女にとってすごく重要な部分なので、できるかできないかで関係性が変わってくることもある」と話す。

「現代ではマッチングアプリのようなツールも登場し、子どもたちが親の再婚を応援するくらい、人々の考え方も変わってきています。体は老化していきますが、そんな環境の進歩に、医療が追いついていない部分があるのです。この夫婦は、無事に結婚式を挙げられました。本当に心から良かったなと思います。人生は一度きりではない、二度目の人生が輝くお手伝いをさせていただき、本当に嬉しく思います」

◆40代で再会した元カレの誘いを“自信を持った状態”で断るため

もう一例、先の女性とは異なる印象的なエピソードも教えてもらった。

「その女性は20〜30代の頃にお付き合いをしていた男性と、1度別れたけれど、40代で再会したのだそうです。お別れした理由は、相手の男性がモテる方で、常に女性の影がチラついていたことに耐えられなかったと。再会した際に身体を求められたといいます」

しかし、当時その女性は萎縮性腟炎により女性器への挿入が不可能な状態。痛みがあり、とても性交渉ができる状態ではなかった。

「彼に対して『加齢による老化・劣化で性交渉は無理』とは言いたくなかったのだそうで……自分ができないことが理由で相手から愛想をつかされるのは嫌だと感じたんでしょうね。その時は、あえて焦らすような言い方をして『クリスマスまで待って』と数か月お預けにしたそうです」

その後、クリニックを受診して性交渉ができるようになったその女性。早速、待たせていた男性と性交渉を行ったのかと思いきや……?

「性交渉ができる状態になったタイミングで、関係を断ったんだそうです。自分に自信がない状態で終わらせるのではなく、“いつでもできるけど、その上であなたとは付き合わない”という状態で別れることが、その方にとってのプライドだったのでしょう。重要だったんですね。そういう過去との決別のために手術を受ける方もいました」

◆時代が進化、年齢を重ねて初めて”性の悩み”に直面することも

クリニックにはさまざまな悩みを抱えた患者が日々訪れる。女性器の形成をはじめ、再生医療や幹細胞治療まで、医療と美容を横断した高度な治療を提供しているのは珍しい。

「私はもともと大学病院の産婦人科にいたこともあり、毎日のように緊急帝王切開などを行っていました。”とにかく命優先”なので、まるで戦場のような現場です。ただ、お産を終えたあと、多くの女性が抱える悩みのケアまではなかなか手が回らず、アフターケアは難しい状況でした。