3月29日、8回裏に選手交代を告げた阿部慎之助監督

写真拡大

開幕カード負け越しは14年ぶり

 2026年のプロ野球が開幕した。

 阿部慎之助監督率いる巨人は阪神3連戦(東京ドーム)を1勝2敗と負け越した。開幕カード負け越しは14年ぶりだ。

【写真】納得? プロ野球監督「リーグ優勝回数」ランキング(1990年〜2024年)

 昨季は8勝17敗の難敵だ。ひょっとして3タテされるのではと思っていた。よく一つ勝った。しょうがない。

 巨人はまだ戦う態勢が整っていない。

 1勝1敗で迎えた3戦目、4点差のリードを許したが、新外国人、ボビー・ダルベック、泉口友汰の本塁打などで一時は1点差で逆転した。

 でも魔の8、9回となってしまった。大勢、ライデル・マルティネス不在の影響をもろに受けた格好となった。

3月29日、8回裏に選手交代を告げた阿部慎之助監督

浦田俊輔はよく頑張っている

 8回は船迫大雅が四球から崩れて坂本誠志郎に同点打を浴び、後を受けた中川皓太も2死二、三塁から木浪聖也に二塁内野安打されて2点を追加された。船迫、中川にしてもボールが打者のベルト周辺に集まっていた。

 木浪の一打で勝負あった。この時、二塁の浦田俊輔が一、二塁間のゴロになんとか追いついたが打球の処理にもたついて二塁走者・坂本の生還まで許してしまった。

 これは仕方がない。野球にエラーやミスはつきものだ(記録は2点内野安打)。内野には打球が多く飛んでくるし、難しい打球も多い。

 浦田は出遅れている吉川尚輝の代役として出場している。プロ2年目でまだ新人のような選手だ。身体能力はもちろんあるけど、吉川と比べるとスケールが違う。脇役タイプだ。よく頑張っていると思う。

救援陣は「どうかな…」という顔ぶれ

 9回は石川達也が森下翔太にトドメの1号ソロを浴びるなど4失点だった。

 この試合、ドラフト3位の山城京平(亜大)が先発した。一言で言ってしまえば「荷が重かった」になる。試合後は石川と共に2軍落ちした。しっかり調整してまた1軍に戻ってほしい。

 それにしても巨人の救援陣は大勢、マルティネスが抜けるとウーン、どうかなという顔ぶれになる。二人はWBC帰りということで考慮されて開幕1軍から外れた。どうやら大勢が31日の中日戦(バンテリンドーム ナゴヤ)から1軍に昇格するようだ。

 私に言わせれば「開幕から入っておけよ」だが、昔と違って現在はそうはいかない。選手ファーストだ。

 マルティネスも近く上がってくるだろう。それまではブルペン陣、みんなで頑張っていくしかない。

球団初の新人開幕白星も

 この3連戦、もちろん収穫もあった。開幕戦に先発したドラフト1位の竹丸和幸(鷺宮製作所)が6回を1失点で、球団初の新人開幕白星を挙げた。

 少しアップアップしていたものの落ち着いていた。ボールもよく低めにコントロールされていた。真っすぐが走ってこその変化球だ。どうしてもシンカー、フォーク、チェンジアップなどの変化球に頼りたくなるが、原点は真っすぐだ。忘れないでほしい。

 2戦目に先発したスペンサー・ハワードも大崩れするタイプではない。6回を与四球4だったがボールが速い。要所で変化球をうまく使っていた。

 いまはかつての二枚看板、山崎伊織と戸郷翔征が2軍で調整中だ。しばらくは竹丸、ハワードの二枚で回すことになる。

 投げ合った高橋遥人が良過ぎて、巨人打線は手も足も出なかった。ハワードに白星は付かなかったけど期待していい。

 岡本和真が抜けた穴を埋めるべく4番に座ったダルベックもいまのところは悪くない。大振りせずにコンパクトに振っている。中距離打者タイプだが、この意識で振っているから打球が飛ぶ。甘い球を見逃さない。右方向への意識もいいと思う。

 打線全体を眺めると、やはり一発頼みだ。なかなかうまくつながらない。吉川の復帰、丸の本格復調が待たれるところだ。

「いるメンバーで頑張るしかない」は事実

 それにしても阪神の1番〜5番は相変わらず強力だ。6番以降に出てくる選手たちも力がありしぶとい。下位打線がもっと充実したら、今年も独走の可能性が見えてくる。そうさせないためにも他の5球団は全力で阪神にぶつかっていくしかない。

 守護神から転向した広島の栗林良吏が29日の中日戦(マツダスタジアム)でプロ初先発し、1安打完封勝利を挙げた。球数95の準完全試合だった。新人時代から抑えよりも先発タイプと見ていた。なにより長いイニングを投げることができる。

 巨人で言えば、大勢が先発タイプだ。いまはエイっと投げているけど、これが力を抜いてスイスイとなればいける。

 阿部監督の「いるメンバーで頑張るしかない」と言う通り、いまはチーム全体で一丸となって戦うしかない。31日からの中日3連戦はフォレスト・ウィットリーが先陣を切る。さらに対DeNAと続く6連戦に注目だ。

(成績などは30日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部