クレームは日常茶飯事。しかも慢性的な人手不足…

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私は沢村フミコ(50代後半)。節約して、真面目に働いて、家族のためにコツコツお金を貯めてきました。その結果、私たちは立派な家を手に入れたのです。ところがその直後、夫の会社がまさかの倒産。それでも私は、「もう一度ちゃんと立て直せばいい」と思っていました。私は努力を惜しまない人間です。ここで踏ん張れば、これまでと同じように、きっと報われる……そう信じていたのです

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<2話よりつづく>

しかし夫の再就職は思っていた以上に難航しました。このまま夫が無職のままだったらどうしよう……不安で眠れない日々が続きました。

しばらくして夫から、知人からの紹介でコンビニ経営を始めることにしたと言われ、正直ほっとしました。やっと、「正しい道」に戻れる。

またコツコツやれば、きっと大丈夫。それなのに……。

クレームは日常茶飯事 

クレームは日常茶飯事。しかも慢性的な人手不足。深夜担当に欠員が出るたび、私と夫は交代で店に戻って朝まで勤務する。私たちの寝る時間も、休む時間も削られていきました。

さらに――。

現実は甘くない

私だって娘には、私が過ごしたような――何の不安もない高校時代を送ってほしい。
本当なら、それを叶えてあげられるはずでした。

でも、この家で幸せに暮らしていくために、今は家族で協力して、ここを乗り切るしかないのです。

そう、ほんの少しの間だけ、我慢してもらうだけなのです。

背に腹はかえられない

夫の会社は倒産し、始めたコンビニ経営はまるで〈いばらの道〉でした。

ローンの支払いが遅れれば、この家を手放さなければならない。挙げ句の果てには、娘にまで働いてもらう始末です。

真面目に、地道にやっているのに……どうしてこんなに苦しいのでしょう。前に進んでいるはずなのに、足元だけが、どんどん沈んでいく。

それでも私は、引き返そうとはしませんでした。

いつか必ず抜け出せる。ここを耐えれば、また元に戻れる。正しく生きてきた私が、ここで間違うはずがない。そう信じていたのです。

<第4話につづく>