検察側の冒頭陳述によると、犯行当日、斉藤被告とAさんは新宿区内でテレビ番組の撮影に参加しており、二人は初対面だった。番組の収録は複数の場所で行われることから、ロケバスが2台用意されていた。

 その内訳は出演者用とスタッフのみが乗車する、計2台。検察側は、前者の車中で事件が起きたとしている。

 検察側は裁判で犯行当時の状況について、二人の具体的な発言内容を踏まえながら説明。その内容は耳を疑うものだらけだった……。

◆斉藤被告が問われている「第1の犯行」

 ロケバスの車内では、斉藤被告の一つ前の座席にAさんは腰をかけていた。ロケ中、会話を重ねるごとに、次第に仲睦まじくなっていったとのこと。ロケバスからスタッフが全員降りたのを確認すると、斉藤被告はAさんにこう言ったという。

「ホントかわいいね。肌きれいだね」

 この発言のあと、斉藤被告はAさんにキスをしたり、服の上から胸を触ったのち、さらに服の中に手を入れて右胸を揉んだとされる。Aさんは、斉藤被告の行為を咎めた。

「やめてください。大丈夫ですけど、仕事がまわらなくなるのでやめてください」

 この行為を裏付けるように、検察側はAさんは被害直後に、母親などにLINEで被害を申告する旨のメッセージを送っており、書証としてスクリーンショット写真を提出している。

◆口腔性交に至るまでの生々しいやりとり

 第1の犯行から40分ほどが経過し、ロケバスの車内で再び二人きりになったとき。斉藤被告はAさんに向かって発言した。

「彼氏いるの?かわいいね」

 そう言い残すと、斉藤被告は座席から身を乗り出して、Aさんの両肩を手でつかみキスをしたとされる。Aさんは両手で斉藤被告を押し返すなどして抵抗。その際、「やめてください」と斉藤被告に伝えている。

 二人は撮影のために、ロケバスを降車した。

◆弁護側も口腔性交をしたことは認めている

 第3の犯行は、斉藤被告が問われている罪名の中で、法定刑が最も重い「不同意性交」の罪で起訴されている。

 第2の犯行から1時間20分ほどが経過してからのこと。斉藤被告が着替えをしようとロケバスの車内にいたとき、ピンマイクを服から外すためにAさんが乗車してきた。それを見ると、斉藤被告はAさんに卑猥な言葉とともに、こう言い放った。

「今日は会えてうれしかったよ。(筆者注:過度に卑猥な言動のため省略)ごめんね。ついかわいくてさ」

 直後、斉藤被告とAさんは口腔性交をした。この点、弁護側も口腔性交をしたこと自体は認めている。

 検察側の冒頭陳述が終わると、弁護側もAさんの具体的な発言内容を引用しながら、斉藤被告の身の潔白を主張しはじめた。だが、そのAさんの発言内容は、検察側のものと著しくかけ離れているものだった。

 ロケバスの車内で実際に何が起きていたのか--。後編では、弁護側が提示したAさんの発言や当日の状況、さらに示談の行方や今後の審理の見通しについて詳しく見ていく。

文/学生傍聴人

【学生傍聴人】
傍聴歴7年、傍聴総数1000件超。 都内某私立大の大学院に在籍中の現役大学院生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴をはじめ、有名事件から万引き事件など幅広く傍聴している。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行なっている。