「ミヤネ屋」後継MC、有力候補6人の実力 読テレが模索する「日テレ系列アナ」の素顔
情報番組を継続
日本テレビ系列は9月末で終わる情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」(平日午後1時55分)の後続番組の基本内容について確認し合った。やはり情報番組になり、トーク番組などへの路線変更はない。宮根誠司氏(62)の後任MCは制作する読売テレビ(大阪)や日テレなど同系列内のアナから選ぶ。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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「ミヤネ屋」を制作中で、10月から始まる後続番組も引き続きつくるのは読テレ。同社の松田陽三社長(67)は2月12日の定例会見で後続番組の内容について「個人的には(今後も)情報番組をやりたいと考えている」と語っていた。このほど正式に情報番組になることが決まった。トーク番組や生活情報番組などにはならない。

ライバル番組でCBC(名古屋)が制作するTBS系「ゴゴスマ −GO GO! Smile!」(平日午後1時55分)は情報番組。やはり放送枠が重なる関西テレビ(大阪)制作のフジテレビ系「旬感LIVE とれたてっ!」(同1時50分)も情報番組。ライバルとの兼ね合いと「ミヤネ屋」が20年間に渡って高い視聴率を獲得してきた自信から、路線変更の必要はないと判断されたようだ。
TBSは2021年、午前帯の情報番組「グッとラック!」(平日午前8時)を、低視聴率などを理由に終了させた。代わりに始めた「ラヴィット!」(同)は他局との区別化を図り、バラエティ路線を敷いた。だが、視聴率は低迷したまま。
コアなファンを獲得し、話題づくりもうまいが、支持の拡大には至っていない。収益を左右する個人視聴率は1%台に留まっている。この放送枠でトップのテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(同)は同5%以上だから、大きく水をあけられている。「ミヤネ屋」がハイレベルの視聴率を得てきた読テレが、情報番組を続けるのは自然である。
後続番組が情報番組に決まったため、新MCは日テレ系列のアナの中から選ぶ。午後帯の情報番組は政治から事件まで幅広く扱い、しかも発生したニュースの生中継が入ることも多いからだ。アナ未経験者にはハードルがかなり高い。おまけに外部の著名人はギャラが高く、スタッフと打ち解けるまでに時間がかかる。
日テレ系列のアナが新MCになることから、これまでに名前が挙がっていた著名人たちの線は完全に消滅した。NHKを退職する和久田麻由子アナ(37)、タレントの加藤浩次(56)、俳優の小泉孝太郎(47)たちである。日テレ関係者は「3人の名前は最初から挙がっていない」と語っている。
新MCは日テレ系列内から
日テレ系列のアナの中で新MCに有力と目される人たちの名前を挙げたい。まず読テレの野村明大アナ(53)。関西の人気番組「そこまで言って委員会NP」(関東未放送、日曜午後1時30分)で秘書室長という名称の司会者を務めている。報道記者を兼務した時期にはスクープを連発した。芸能、スポーツにも通じている。東大卒。1996年入社。
さらに平松翔馬アナ(33)。朝の情報番組「ZIP!」(平日午前5時50分)の関西ローカル部分である「ZIP!かんさい」の火曜のMCを担当している。ニュース番組、バラエティ、スポーツ中継のいずれも出来るユーティリティプレイヤー。同志社大卒。2015年入社。
女性アナにも有力な人がいる。諸國沙代子アナ(33)。阪神ファンにはよく知られた人だ。岡山県生まれで、熱烈な虎党。阪神戦中継の際にはベンチリポートなどを担当している。
出演中の番組は人気情報バラエティ「大阪ほんわかテレビ」(関西ローカル、金曜午後7時)やニュース番組。2018年から21年までは情報番組「ウェークアップ!ぷらす」(同年終了)の女性MCを務めた。愛称は「関西の水卜ちゃん(日テレ・水卜麻美アナ)」。飾らない人柄や笑顔が売り物であるところなどが共通する。東大卒。2015年入社。
さらに同じく読テレの黒木千晶アナ(32)。早くから期待され、入社1年目から夕方の大型情報番組「かんさい情報ネットten.」(関西ローカル、平日午後3時50分)のサブキャスターに抜擢された。2021年には月曜と火曜のMCに昇格した。
同年からは社会派バラエティ「そこまで言って委員会NP」(関東未放送、日曜午後1時30分)の議長という肩書きの総合司会を務めている。同局大物OB・辛坊治郎氏(69)の後任ということからも読テレがいかに彼女を買っているのかが分かる。同番組は政治から宇宙問題まで幅広いテーマをパネリストが討論するが、どんなテーマも完璧にリードすると評判が高い。青山学院大卒。2016年入社。
ほかに「news every.サタデー」(土曜・午後5時)のMCを担当する日テレのホープ・梅澤廉アナ(32)=慶應大卒、2016年入社=、新人時に日テレ系列のアナウンス大賞において最優秀新人賞に輝いた中京テレビ(名古屋)の佐野祐子アナ(35)=静岡大卒、2013年入社=らが有力と見られている。
ただし、決定権を持つのはあくまで読テレ。同局の制作番組だから当然である。日テレは情報を共有し、求められたときには助言するが、介入は一切しない。番組の編集権は読テレが持つのだから、仮に介入したら越権行為となり、両局の関係に亀裂が入りかねない。両局は株主の一部が重なるものの、全くの別法人なのである。
系列局との関係
読テレが後続番組も引き続き制作することについて、日テレや同局系列の各社から異論が出たことはないという。だが、なぜか「後続番組の制作は日テレが行う」「この放送枠を日テレが奪う」という説が流れた。これには日テレ関係者たちが色をなした。
経営が独立した全国の放送局が、業務上の都合で連携している民放ネットワークの仕組みを考えると、あり得ない話だ。本当に「ミヤネ屋」の放送枠を日テレが奪ったら、読テレは経営規模の縮小を迫られてしまう。日テレと読テレの紛争は避けられない。
日テレ系列の他局も黙ってはいない。系列局内の信義違反となり、日テレが激しく突き上げられるのは確実だ。売上高に直結する制作局の変更は極めてデリケートな問題なのだ。
「ミヤネ屋」を高い視聴率のまま長らく続けてきた読テレ側が放送枠を奪われる理由はない。日テレも考えていなかった。万一、制作局を変更する場合、日テレが同等の利益が見込める代わりの放送枠を用意し、読テレと系列局を納得させなくてはならない。難作業になる。
好例は読テレが制作していた情報番組「ウェークアップ」(土曜午前8時)が昨年3月に終わり、直後にやはり読テレ制作の同「サタデーLIVE ニュース ジグザグ」(同11時55分)が始まったケース。放送時間は85分と95分。ほぼ変わらない。日テレは代わりの放送枠をつくったのである。
「ミヤネ屋」は帯番組だから代わりの放送枠を見つけるのが至難。仮に「ミヤネ屋」の制作局を日テレに移す場合、同局は読テレに「DayDay.」(平日午前9時)、あるいは「ヒルナンデス!」(平日午前11時55分)など帯番組の放送枠を渡すことになるだろう。日テレにメリットがない。
日テレが後続番組の制作を担当したら、社員と非正規スタッフを50人程度集めなくてはならない。MCと同じく、情報番組未経験者では困難なので厄介だ。話は制作陣の問題に留まらない。広告代理店と一緒にスポンサーを集める作業も読テレから日テレに移る。おいしいところだけ日テレが取るというわけにはいかないのだ。
他局系列も放送枠に対する考え方は同じ。たとえば2010年に始まり、宮根氏がMCを務めるフジの報道・情報番組「Mr.サンデー」(日曜午後8時45分)の場合、フジのスタジオから放送し、スタッフルームもフジにある。それでもフジと関テレの共同制作だ。日曜午後10時台の放送枠を関テレが持っているからである。だからプロデューサーにも関テレの社員が加わっている。
関テレが日曜午後10時台の放送枠を持ち始めたのは、人気トーク番組「たけしのここだけの話」(1988年)より前のこと。歴史が長い。1990年代、2000年代の日曜午後10時台は全て関テレが制作した番組か関テレとフジの共同制作番組である。
東京発の全国放送ばかりになっても味気ないのではないか。さて、引き続き読テレが制作する後続番組の命運やいかに。
高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。
デイリー新潮編集部
