「最高の思い出もノイズに汚される」マリニンが心境吐露 見えたアスリートが抱える負の側面「憎悪が心を蝕む」【冬季五輪】

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コーチで父親でもあるロマン・スコルニアコフ氏から言葉をかけられ、悲壮感に満ちた表情を浮かべたマリニン(C)Getty Images

 世界的な衝撃を生んだ“世紀の失速”から約3日。金メダル獲得の有力候補だったミラノ・コルティナ五輪(オリンピック)のフィギュアスケート男子米代表のイリア・マリニンが自身のSNSを更新。「邪悪なオンライン上の憎悪が心を蝕む」と自身の心境を打ち明けた。

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 23年12月から約2年2か月も負け知らずだった絶対王者が沈んだ。今月12日(現地時間)に行われたショートプログラムで首位に立ち、個人戦好発進を切ったマリニンだったが、13日に行われたフリーでは2度にわたって転倒するなど大乱調。予期せぬ大失速で、8位となり、金メダルはおろか、表彰台にすら立てなかった。

 演技中から苦しげな表情を見せたマリニン。フリー終了後にはひどく落胆し、「僕は失敗したんだ……。正直、真っ先に頭に思い浮かんだ言葉はそれだけだった。まさかこんなことが起こるなんて……」と真っ青な顔で言葉を絞り出していた。

 相当な疲弊が心配された21歳は、自身のインスタグラムで“声明”を発表。勝利を祝う姿と、頭を抱えて落胆する姿が映った両極端な動画を添付した上で「世界最大の舞台で、最強に見える者たちが内面では見えない戦いを繰り広げているかもしれない」と書き出し、自らが抱える複雑な想いを記した。

「最高に幸せな思い出でさえ、時にノイズに汚されることがある。邪悪なオンライン上の憎悪が心を蝕み、恐怖が闇へと誘い込み、果てしなく押し寄せる。とてつもないプレッシャーの中で正気を保とうとしても、だ。すべてが目の前でフラッシュバックする中で積み重なり、避けられない崩壊につながる。これがその物語の一面なんだ」

 自己最高記録となる333.81点から69.32点も下回る“惨敗”を喫したマリニン。そんな王者には「勝って当たり前」という重圧がのしかかっていたのは想像に難くない。今回の発信は、トップアスリートの持つ負の側面が明らかになった形と言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]