日本は質の高い作品が大量にスピーディーに出てくるのが強みであり世界でも存在感を放っているが、一方でこの成果は、漫画家やアニメーターの長時間労働、低賃金に支えられているという現実がある。

 アニメ市場全体の需要は拡大しているものの、その売上の9割以上は出資したテレビ局や出版社、広告代理店などの流通業者へ行き、制作会社の取り分は1割に満たない。アニメ制作会社は資金力に乏しく、日本はリスクヘッジ型の制作委員会方式で映画がつくられるため、制作会社はアニメの著作権を所有できないという問題点がある。裏を返せば、制作会社はもし映画が売れなくても大きな損害はなく、配給会社がリスクを取るというシステムで成り立ってきた。

 これは日本特有の産業構造の問題でもある。

 しかし、日本が今後コンテンツ産業を「基幹産業」に押し上げ、国としての経済成長の要としていくのであれば、労働環境を改善していかなければ、やがて人不足に陥り、猛追する他国に追い抜かれる可能性もある。 「海外市場を見据えた前提で制作する場合、企画、物販の連動、マーケティングなど、総合的な指揮監督ができる人材が必要だが、現状アニメ産業にはそういった人材は少ない」と郷原氏。

 この課題感から、現在、世界で活躍するプロデューサ―を育成する「グローバル・アニメ・チャレンジ」というプロジェクトが進んでいる。同社もパートナーとして運営を支援している。

 いま日本に必要なのは、コンテンツ産業全体を牽引するグローバル人材。海外において日本のコンテンツ産業をさらに強くしていくリーダーの育成が急がれる。