背に腹は代えられず、最近は正しさよりも社内の面倒事を避けるようになった。

「もし上司からいじめの対象になっても、同じような境遇の連中と結託しておけば、不思議と居づらさも感じなくなるんですよ。だから割り切って淡々と日々をこなす『静かな退職』を実行しています」

そう語る山口さんの瞳には、寸分の希望も輝きもなかった。

◆人事コンサルが見た落ちぶれ→リストラの予兆とは?

昨今、大量リストラが増えている背景について、人事コンサルタントの平康慶浩氏はこう分析する。

「大量リストラを実行したい一番の原因は、定年の延長です。それに新卒初任給の引き上げが追い打ちをかけて、中年社員に払っている給料分を若い人に置き換えたいという動きが加速しています。終身雇用制度をなくし、年次で上がっていく給与体系を終了させたい。年齢だけでなく、社全体でシステムの転換を図りたいという狙いです」

そこで真っ先にリストラ対象になりやすいのは、専門性の乏しいゼネラリストが多い部署だという。

「一番危険なのは、具体的に言えば総務課などの課長や課長代理にあたる人。理由が不明確な40代以上の頻繁な人事異動が増えたり、聞いたこともない内向きの部署ができ始めたりしたら、それは候補をあぶりだす予兆かもしれません」

◆会社の未来を予測するには…

さらに、会社が落ちぶれていくかどうかも、ある程度は予測がつくと分析する。

「IR資料の事業計画を見て目新しいものがないと感じたら黄色信号です。新規事業部がつぶれたり、携わっていた優秀な社員が辞めていくのも同様。本業で赤字が続き、関係ない不動産収入や水の販売などで糊口をしのぎ始めるのもサインです」

嫌な予感ほど当たるのは世の常だ。

【人事コンサルタント 平康慶浩氏】
セレクションアンドバリエーション代表。アクセンチュア、日本総合研究所などを経て、現職。グロービス経営大学院客員准教授
※週刊SPA!1月27日号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[落ちぶれ企業]で働く地獄]―