単に同居・半同棲していただけでは罪にならないが、薬物の存在を認識していれば「共同所持」と判断され得る。

「薬物の存在や場所を知っているけれども、相手を守りたくて警察に言えない、また、同居人から口止めされている、というケースもあるかもしれません。しかし、自分で麻薬を使用する意思がなかったとしても、薬物の存在や場所を知ってしまった時点で、薬物の間接占有が成立します。速やかに警察に通報しなければ、麻薬の所持を黙認・手助けしていたと評価されてもやむを得ず、麻薬取締法違反で逮捕される可能性は高いでしょう」

今回のケースについては「米倉氏が書類送検された原因として、仮に米倉氏のパートナーが薬物所持の主犯であっても、交際中かつ同居中という関係上、米倉氏自身が『薬物のことをまったく知らなかった』とするのは無理がある、と警察は判断したのでしょう」とのことだ。

◆「知らなかった」はどこまで通る? 薬物事件の分かれ目

薬物事件では、「知らなかった」という説明が通るかどうかが、有罪・無罪を分ける最大の分岐点になる。

「本人が薬物であることを知っていたかどうか、そしてそれを自己のものとして保持する意思があったかどうかが、有罪か無罪かを分ける決定的な要素になります。ここが証明できるかどうかは、起訴か不起訴か、有罪か無罪かの分水嶺といっても過言ではありません」

今回のケースでは、米倉涼子氏がパートナーの薬物使用をどれくらい認識していたのかどうか、また、薬物の保管方法・保管場所をどこまで知っていたのかポイントとなる。

◆起訴される人、されない人──検察が最後に見る“決定打”

最終的に問われるのは、検察が「有罪を立証できる証拠があるかどうか」だ。

「証拠が不十分であったり、本人の関与を直接示す事情が乏しかったりする場合には、不起訴という判断がなされます。今回のケースでは薬物そのものこそ発見されていますが、米倉涼子氏のパートナーが海外に逃亡してしまったことで、薬物使用・保管の実態に関する証拠が集めにくいという事情が、起訴へのハードルを高くしているでしょう」

本人の薬物への認識が乏しく、パートナーに騙されてしまったという実態であれば、不起訴という温情的判断になる可能性もあり得る一方、本人の関与度が高いという事実が明らかとなれば、起訴の可能性もある。今回のケースで、検察は「知らなかった」という説明をどこまで認めるのか。起訴か不起訴かの判断は、薬物事件における“責任の線引き”を示す一例となりそうだ。<取材・文/日刊SPA!取材班>

アディーレ法律事務所 南澤毅吾 弁護士
「パチスロで学費を稼ぎ、弁護士になった男」という異色の経歴を持つ。司法修習時代は、精神医療センターにて、ギャンブルを含む依存症問題について研修を受けた経験があり、一般市民の悩みに寄り添った、庶民派の弁護士を志す。アディーレ法律事務所・北千住支店長として対応した法律相談数は、累計数千件に及び、多様な一般民事分野の処理経験を経て、現在は交通事故部門の責任者となる。

【南澤毅吾】
アディーレ法律事務所。「パチスロで学費を稼ぎ、弁護士になった男」という異色の経歴を持つ。司法修習時代は、精神医療センターにて、ギャンブルを含む依存症問題について研修を受けた経験があり、一般市民の悩みに寄り添った、庶民派の弁護士を志す。アディーレ法律事務所・北千住支店長として対応した法律相談数は、累計数千件に及び、多様な一般民事分野の処理経験を経て、現在は交通事故部門の責任者となる。