[11.14 キリンチャレンジ杯 日本 2-0 ガーナ 豊田ス]

 奪って、運んで、ラストパス--。日本代表の先制ゴールは、MF佐野海舟(マインツ)の長所と成長がふんだんに詰まった一連のプレーから生まれた。

 0-0で迎えた前半16分、相手の縦パスがFWアントワーヌ・セメニョに収まると、佐野は待ってましたとばかりに素早くアプローチし、ボールを奪取。ただ、奪っただけで終わらないのが近年の佐野だ。堂安律、谷口彰悟、久保建英が絡む間にもう一つ高い位置を取ると、久保からのパスを受けてドリブルで前進。ハイスピードのまま左を走ったMF南野拓実の足元にぴたりと横パスをつけ、そこから先制ゴールが生まれた。

 長年のストロングポイントとしてきたボール奪取力と、近年目覚ましい成長を続けてきた推進力とパスセンスが合わさったアシスト。佐野は「前線にキープできる選手がいるので、サンドするところを意識していたし、奪ってから前にスペースがあったのでうまく運べたと思う。綺世くんがすごくいい動き出しをしてつってくれたので、そこにパスを出すことができた。ゴールにつながって良かった」と謙虚に手応えを語った。

 アシストの場面だけでなく、試合を通じての存在感も絶大だった。普段ブンデスリーガでプレーする佐野は他の欧州トップリーグよりアフリカ勢との対戦経験は少ないはずだが、屈強なフィジカルを前面に押し出してくるガーナの選手を個人で圧倒。イーブンな1対1でもタックル勝利数3/5、地上デュエル勝利数5/12と十分な健闘を見せつつ、インターセプト6回、ボール回収5回と駆け引きでも上回っていた。

 もっとも、佐野自身の自己評価は「ファウルになることが多かったのであそこはもっとファウルに見えないように行かないといけない。ボールに確実に行ければ良かった」と控えめなものだった。正当なタックルに見えるようなシーンでファウルが取られる場面もあったように思われたが、「もっと速く行けたと思う。もっと一つ早いタイミングで奪えたら最高だと思うので意識してやっていきたい」と自らに矢印を向けていた。

 ただ、その向上心こそが欧州挑戦2年目で評価を高め続ける成長の原動力になっているようだ。

 A代表では9月のアメリカ戦以降、4試合連続の先発出場が続くが、「地位が上がったとも思っていないし、自分のやるべきことを続けていくしかない。毎活動課題が出ているので、それを日々自チームに帰って修正するという繰り返しでどんどん成長していくと思うので、これから先もそれは変わらない」と佐野。その課題解決のスピードも目覚ましいものがあるが、「今はうまくできていると思うけど、うまく行かない時にどう持っていくかが大事だと思う」と満足せず、さらなる成長を誓った。

(取材・文 竹内達也)