迎えた選手権予選の決勝。水野は何度もビッグセーブを見せた。12分には右FKからの高い打点のヘッドに対し、スムーズなステップで反応してバウンド際をガッチリとキャッチ。弾いていたら、目の前に相手が詰めており、失点のリスクがあったシーンだった。

 3−1で迎えた後半3分には、左からのクロスをファーで折り返され、中央で完全にフリーとなった美濃加茂のMF眞鍋永遠に強烈なハーフボレーを浴びるが、至近距離の弾丸ライナーに完璧に反応。左に飛んで伸ばした右手に当てると、ボールはコースが変わって右ポストを叩いた。同18分にはMF青山武尊に強烈な弾丸ミドルシュートを浴びるが、これも凄まじい反応でしっかりとボールの軌道を見極めてジャンプし、右手一本でゴールバーの上に弾き出した。

 このプレーで両足がつって、無念の交代となったが、水野がこの1年間で身につけたパワーがチームを救った。その後は2年生GK原田修汰が落ち着いたプレーを見せて、試合をクロージング。これで昨年、忘れ物をした全国の舞台に戻ることができた。

「試合中に足をつることは初めてでした。いつも緊張しないタイプなのですが、今日はどこか硬さがあるなかでプレーしているなとは感じていました。貴重な交代枠をこんな形で1つ使ってしまったことや、まだまだひっくり返される可能性もあった展開だったので、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、修汰は安心して任せられる存在なので、ベンチでは最後まで精一杯、声を出しました」
 
 それだけ水野にとって選手権に戻ることは重要で、知らず知らずのうちに力が入ってしまったのだろう。想いの強さが表われていた出来事だった。

「いつでもあのシーンは思い出せるんですけど、そんなのでクヨクヨしていたら、チームとして目標にしている全国ベスト8の壁も越えられないし、日本一にもなれない。忘れるわけではないですが、引きずらずに成長した姿を見せられるように全国でも頑張りたい。今は勝ちたいという気持ちしかありません」

 チームにとって正真正銘の守護神となるべく。水野は忘れ物を取りに行くだけではなく、1年間の想いをすべてぶつけるつもりで、強くなった自分を証明するリベンジの舞台に挑んでいく。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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