Liella! 1期生が届けた不変の輝きと新たな思い出 声なき“あの日”と今を繋いだ5人のステージを観て
2025年8月9日、10日にかけて、『ラブライブ!シリーズ』4作目にあたる『ラブライブ!スーパースター!!』から生まれたグループ・Liella!の1期生による『ラブライブ!スーパースター!! Liella! First Generation LoveLive! ~Wonderful Starlines~』の東京公演が有明アリーナにて開催された。
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本公演は、2021年に開催された1stライブツアー、そして2022年に開催された2ndライブの内容を再構成したリバイバルライブ。Liella!の1st、2ndライブはコロナ禍の影響から声出しが制限されていたため、1期生5人は声援を聞けないまま2期生が加入した9人体制へと移行した。そのため、本ライブは当時声援のない環境で披露した楽曲の数々を新たに作り上げる、リベンジの意味合いも持っていた。だが、本ライブは単なるリベンジに留まらず、Liella!と『ラブライブ!』というコンテンツの4年分の進化を見せるライブとして、見事に完成していたのだ。
ファンで埋め尽くされた有明アリーナに流れたこの日の開演前アナウンスは、2期生・鬼塚夏美役の絵森彩が担当。本公演は「2、3期生から1期生へのプレゼント」という側面もあり、各公演ごとに日替わりで2、3期生メンバーが会場のアナウンスを行っていた。このアナウンスは、そんな“メンバープロデュースの手作りライブ”としての役割を後押ししてくれる要因のひとつと言えるだろう。
ステージが暗転、オープニングムービーが終わると、Liella! 1期生の5人がステージに現れた。開幕曲はもちろん、アニメ1期オープニング曲「START!! True dreams」。特に度肝を抜かれたのは、メインモニターの映像。アニメ映像を踏襲したキャストを5分割に映すカメラワークに早速4年分の進化を見せつけられ、会場のボルテージは最高潮に達した。開幕の興奮そのままに、2曲目には「だから僕らは鳴らすんだ!」を披露。声のないライブであっても会場を彩ることができるように、クラップパートが多く設けられた本楽曲は、コロナ禍に活動を開始したLiella!を象徴する一曲と言える。そんな楽曲に、観客のコール&レスポンスが加わったことで、あらためて本ライブがLiella! 1期生の5人と“声のある思い出”を作る場なのだと実感させてくれた。
MCを挟み、3曲目には「未来予報ハレルヤ!」、幕間後の4曲目にはクーカーの名曲「Tiny Stars」を披露。これらの曲もアニメの演出を踏襲し、澁谷かのん(伊達さゆり)の「やっぱり私、歌が好きだ!」と平安名すみれ(ペイトン尚未)の「これったらこれ~!」という代表フレーズから、シームレスに歌唱へと繋げていたのが印象的だった。序盤から『ラブライブ!シリーズ』を象徴するシンクロパフォーマンスの急成長を目の当たりにさせられた。
その根幹を支えるキャストによる圧巻のパフォーマンスには、度肝を抜かれるばかり。筆者は、デビューしたばかりのLiella! 1期生があのハードなセットリストを当時10公演にもわたって披露するのを見て、「とんでもない新人が現れた」と驚愕した。それと同じくらい、必死に喉を震わせ、振り付けをこなす姿に、どこか危うさも感じたのだ。だが、あれから4年の月日が経ち、数々のステージを経験した彼女たちは、絶対的な安心感と説得力を備えたパフォーマンスをしている。メンバーが11人となった今、Liella! 1期生の存在はとても大きく見えた。
1stライブを思い起こさせる、アニメ1期の魅力を詰め込んだセットリストは続く。そこには、決して懐かしさだけでなく、4年間の軌跡を踏まえたからこそ生まれる強いメッセージ性も感じられた。たとえば「常夏☆サンシャイン」の〈つまりキミがいなきゃ 夢の続き見れないよ〉という歌詞は、アニメでLiella! 1期生の卒業が描かれ、コンテンツが過渡期を迎える今だからこそ、「この先も走り続けたい」という彼女たちの決意が明実に浮かび上がったのだろう。
また、「ノンフィクション!!」の演出の変化も印象的だった。本楽曲は2ndライブの演出を踏襲し、特殊イントロから嵐千砂都(岬なこ)、葉月恋(青山なぎさ)によるダンスバトルが繰り広げられた後、すみれがふたりのもとへ合流し、楽曲が始まる。だが、2ndライブの頃は「私は注目されない」という思いでふたりのダンスバトルに介入していたすみれが、この日のライブではまるで久々に再会した同級生との時間を楽しむように、笑顔を浮かべてふたりと踊り始める演出に変化していたのだ。まるで、3年の月日が育んだ平安名すみれの成長とメンバー同士の絆が込められているようだった。
同時に、当時から変わらないものを再認識させられた瞬間もあった。特に「Starlight Prologue」で、ファンが5色のペンライトでステージへと伸びる5つのラインを作り上げた場面だ。これはアニメ内の演出を現実のライブでも再現しようと試みたファン主導のペンライト企画がきっかけとなり、1stライブから2ndライブにかけて5人の「Starlight Prologue」の定番の流れとなっていた。あれから3年近く経ったが、いざ「Starlight Prologue」が始まると、ファンは見事に5色のラインを出現させる。その光景は、集まった全員がこの4年間ものあいだLiella!と走ってきた証のように感じられた。
その後、アニメ1期のエンディング曲である「未来は風のように」が披露され、MCを挟み本編最後の楽曲「ユニゾン」が始まる。5人体制における最後のワンマンライブ、そのアンコールのラストを飾った曲が、今回のリバイバルライブでは本編最後に配置されたのは非常に粋だった。かつて5人を見送った区切りの曲。しかし、今回は別れの曲ではない。「ユニゾン」で締めくくられたステージに、再び5人を呼び戻す声が会場にこだまする。そして、メンバーが姿を現した。それは、この空間にいる全員の願いが肯定された瞬間でもあった。
一曲一曲セットリストを進めるごとに、まるで当時抱えていた寂しさや名残惜しさが昇華され、当時の楽曲たちに新たな思い出が与えられていく。MCで唐可可役のLiyuuが「みんなの声があった上でようやく完成しましたよ」と語った通り、声のなかった曲たちが、当時から走り続けたからこそ完成した。過ごした月日の積み重ねから、楽曲に新しい意味を見つけた者も多いだろう。それを代弁するように、伊達は「未来予報ハレルヤ!」に言及し、1stライブツアーから4年の月日を経たことで「かのんの気持ちに気づけたのかな?」と、心が近づいた喜びを語った。曲は変わらずとも、その曲を歌う者、聴く者の心は移り変わっていく。4年の月日は、それを感じさせるのに必要な時間だったのかもしれない。MCを終えて「変わらないね」と笑い合う彼女たちの姿から、時間に流されない普遍性があることも感じさせられた。
この瞬間は決して永遠ではない。声なきステージから4年近い月日が経った。この4年でLiella!だけでなく、ファンも、見える景色も、大きく変化した。会場には声援が戻り、マスクに隠れていた笑顔が会場を埋め尽くすようになった。情勢の影響でライブ会場へ足を運べなかった者とも、今では同じ場所で熱量を共有できる。しかし一方では、別れを経験し、移り変わる景色に寂しさを覚えた者もいるはずだ。だが、どれほど見える景色が変わっても、Liella!と交わり、ともに生きていた時間は決して消えはしない。アンコール最後に披露された「この街でいまキミと」は、それを約束するための時間のようにも感じられた。どれほど景色が移り変わっても、この時間を決して忘れない、と。
もし、ファンとLiella!が出会うライブを交差点とするなら、それは人生において非常に刹那的なものだ。永遠に思える時間も、横断歩道を渡り切るように終わりは必ずやってきて、それぞれの人生に戻らなければいけない。だが、交差点の上ですれ違った瞬間は、その後も永遠に心に残り続ける。もし、これから変わり続ける景色に戸惑うことがあれば、その時は掌の中にあるLiella!とともに写ったあの一枚の写真を思い出してほしい。そこにはきっと、ずっと変わらないLiella!とあなたの笑顔があるはずだ。
(文=北野ダイキ)

