被害総額10億円以上!? 「購入したのにスクラップ済み…」なぜ? 中古車屋「カーネル」トラブル… 被害者1000人超か
株式会社WOOROM.(ウーロン)が運営する「カーネル」「カーオークションJP」の事件とは?
全国に14店舗を展開していた中古車販売店「カーネル」で2024年末あたりから「中古車代金を支払ったのに納車されない!」という被害が広まっています。
7月1日以降、被害者への返金が始まったようですが、それも少額。このカーネルによる中古車トラブルとはどのような内容なのでしょうか。

【画像】買ったのに…「スクラップ済み」のクルマがこれです。(10枚)
このトラブル、筆者が独自入手した資料によると、お金を全額払ったのに納車されない車両は約250台。
これらの中古車は各店の屋外展示場にとめられていましたが、2025年5月末以降、全国のカーネルが「閉業」となると、その多くが出品のためにオークション会場に運ばれたり、他の中古車販売店に移されたりしています。
納車されていないことはもちろんですが、お客さんが全額支払ったクルマも構わず運び出されていて、換金されたお金が購入者に戻ることはありません。
カーネル各店舗では契約の際「納車まで最大で2か月掛かることもある」のが普通でした。
新車ならまだしも、目の前にある中古車が全額支払ったのに納車まで時間がかかるのはなぜでしょうか。
なお、2024年末頃までは数か月掛かっても納車されていたのですが、2025年に入ってからは納車も返金もされない状態となっています。
これにはカーネルの運営会社であるウーロンの「中古車仕入れ方法」に理由があります。
融資会社がカーネルに対して行っていた特別な融資方法「ABL」(アセット・ベースト・レンディング=動産担保融資)という融資方法で中古車を仕入れていたことが大きく関係しています。
筆者も今回の取材で初めて知った「ABL」という言葉ですが近年増加傾向になるとのこと。
中古車業界の団体や大手中古車店の上層部が口をそろえて言うには「ABLは経営が思わしくない中古車店が最後に使う融資方法」とのこと。
もちろんグレーな融資方法ではなくABL自体は銀行をはじめとする金融機関、融資会社から融資を得られる合法な融資方法で経産省もABLについて公式サイトで詳しく説明しています。
中古車(動産)を担保として銀行や金融機関からお金を融資してもらう方法で、融資会社や中古車販売会社によって多少異なる部分はありますが大体以下の仕組みとなっています。
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1. 中古車販売会社(カーネル)がUSSなどの業者オークション(AA)でクルマを仕入れる。
2. AA会場から各地のカーネルにゼロ・東西海運・ロジコ・TCSなどの陸送会社を使って運ばれる。
3. カーネルの展示場に並んでプライスカードなどをつけ販売開始。カーセンサーやグーネットなどにも同時に掲載開始。
4. お客さんがカーネルに来店して店で販売されている中古車を契約。代金を全額支払う。
5. 4.の代金をカーネル→ウーロンから融資会社に融資を受けた分を支払う(これを『買戻し』という)
6. 融資会社からウーロンを経由してカーネルに4.のクルマの車検証などの書類を送る。
7. カーネルで名義変更などの手続きを行い、お客さんに納車する
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筆者が入手した資料の「未納車リスト」は、「車検証待ち」「登録待ち」「キャンセル支払待ち」に分かれており、簡単に説明すると以下のようになります。
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A.「車検証待ち」→お客さんから全額代金を支払われているが、クルマを買い戻せていない
B.「登録待ち」→クルマを融資会社から買い戻して車検証も店に届いている。すぐにでも納車ができる
C.「キャンセル支払い待ち」→納車に時間がかかり購入者がキャンセルを申し出たもののまだその代金が客に渡っていない
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この中で、「B.登録待ち」となっているクルマは本来はすぐにでも納車できるはずなのですが、実際はお店が閉業してしまったために、納車ができない状態となっています。
カーネル従業員も、2025年1、2月以降、給料が支払われていないことも。
中には納車できるクルマに関しては納車だけでもしてあげようと無償で数か月働いてきた従業員もいたようです。
また、「B.登録待ち」となっているクルマでも融資会社の判断で展示場から持ち出されオークションに出品され換金されているクルマも多数あり、中には「知らないうちにスクラップにされていた」というあり得ない処置をされたクルマもあります。
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そんなカーネル事件ですが、実際に被害にあったAさんはカーネル東広島店で2025年4月にトヨタ「マークX」を購入。
全額支払って納車を待っていたのですがなかなか納車されないので調べてみたところ、5月末時点でスクラップ(解体)にされていました。
上記「B.登録待ち」という状態だったのにAさんの許可など一切なくスクラップになっていたのです。
驚いたAさんが、マークXを管理する融資会社に確認したところ「ウーロンがなかなかお金を払わないので換金のために解体しました」と冷たく言われたそうです。
驚くべき実態が次々と明らかに! 被害者はどうなる?
ウーロンは「カーオークションJP」という自動車オークションの代行事業も2008年頃から展開していました。
一時期は国内最大規模だった時期もありましたが2024年11月頃から少しずつおかしくなってきたという情報が入っています。
オークション代行は、資格のある中古車業者しか参加できないオークションにおいて代行で出品&落札をしてもらうこと。これ自体は違法ではありません。流れとしては以下の通りです。
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●出品→自分のクルマを代行出品してもらう。希望価格に達しない場合はキャンセル可能
●落札→別名「入札依頼」。自分が欲しいクルマの仕様やグレード、ボディカラーなどの条件や希望額を伝えて代行で落札してもらう
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出品、落札いずれの場合も保証金(車両価格によって異なるが49000円〜)が必要です。
今回のカーネルでは、保証金が返金されない被害者を含めると被害者は300名近く(5月下旬時点 現在はもっと多いとみられる)となっています。

複数の元社員から中古車の「仕入れ」に関して以下の情報を頂きました。
「ウーロンはオークション利用の際、自社のPOS以外に複数の中古車店のPOSも借りていました(※規約違反です)。
本社の営業担当が毎日平均的にカーネル10〜15台、カーオークションJP用に2〜3台を落札していたと聞いています。
だんだんと関係各社への支払いが滞るようになり、業者オークション(以下AA)で落札したクルマを店舗まで運ぶことができず、AA会場の駐車場に放置されているクルマも多数ありました。
AAは週1回開催で次週の開催日前日までに落札した車を引き上げないと搬出遅延ペナルティ料が発生(1台につき約5,000〜8,000円)します。
陸送会社が使えず会場から引き上げられないにも関わらず、社長の指示でどんどん車を購入していました」
その結果、以下のような状態だったといいます。
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・年末までに落札した車が2月〜3月まで会場に放置約20〜30台(カーネル分)
・会場から引き出せないので数か月放置したことで最終的に1台の車にペナルティで10〜15万追加で支払うはめに。
・各会場へのPOS停止や車検証発送をロックされたのは今年3月頃から。
・支払い能力が無いと判断した各AA会場は、今まで落札し放置してきた車をオークションで出品にまわし支払いを一部相殺。
・カーネル向けだけではなく、カーオークションJPで落札したお客様の車も、引き上げられなくなり納車できず、返金もできず。
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驚くことばかりですが、会場から出せないのをわかっていて落札しまくる、という行為は非常に不思議です。
なお、ウーロンのN社長はテレビ番組など複数のメディアで「6月中には全額返金する。資金調達の予定が複数社からあるから問題ない」と話していましたが、結局7月1日に数名に対してわずかな返金があっただけでした。
N社長の返金予定は現在「7月4日から返金を始める。7月20日までには全額返金できる」に変わっています。
1000名近い被害者(取引業者含む)+被害総額10億円以上に対して、何度も何度も返金や入金の予定が延長されています。
今後、この事件はどのような結末を迎えるのでしょうか。

