芳井敬一・大和ハウス工業社長

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「決められた米国のルールの中でやっていく。それに対応できなければ出ていくしかありません」─芳井氏はこう話す。米国で第2次トランプ政権が誕生するが、「トランプ政権で仕事をするのは初めてではない」として、工夫しながら対応する考え。また、国内では人手不足が深刻化している。その中で働く人の健康を守りながら「社員や現場には働きたいという人が多くいる」という現実を示し、柔軟な働き方を模索している。芳井氏が目指すものとは─。


トランプ政権下での仕事は初めてではない

 ─2025年1月には、米国でトランプ大統領が再び就任します。米国内の対立、分断がさらに深刻化することが懸念される他、企業にとっては関税の問題もあります。この問題をどう捉えていますか。

 芳井 我々にとって重要なのは、トランプ大統領の政権の下で仕事をするのは初めてではないということです。確かに当時は金利は今よりも低かったですが、それ以外には何か特別なことはなく、対応できてきたのではないかと思っています。

 その意味では、新政権になっても、我々は決められた米国のルールの中でやっていく。その国が決めたことに対して対応できなければ出ていくしかありませんから、しっかり工夫もしながら仕事をさせてもらおうと考えています。

 幸い、米国のグループ3社(スタンレー・マーチン社、キャッスルロック社、トゥルーマーク社)の社長は米国人で現地の事情に精通しています。新政権でやるべきことに関しては、我々以上に準備をしていると思いますから、そこは彼らに任せて、意見交換をしながら進めていきたいと思います。

 ─ 海外事業は大和ハウス工業全体の売り上げのうち、10%以上を占めるようになってきていますね。

 芳井 ええ。海外事業の売上高約8000億円のうち、7000億円近くを米国事業が占めていますから、非常に重要です。

 ─ 先行き不透明な中でしっかり手を打っていくと。

 芳井 確かに不透明ですが、右か左、赤か黒といった形でどちらかに張って経営をするわけではありません。赤に行こうと思っていたけれども黒に変わらないといけない時もあるでしょう。

 潮目、変わり目、時代をしっかり読むことが大事になります。学ぶことも大事になりますから、基本的な考え方について意見交換をすることが必要になると考えています。

 ─ 大和ハウス工業は事業を進化、変化させ続けてきました。現在は大きく6事業で展開をしていますね。

 芳井 そうです。戸建住宅、賃貸住宅、マンション、商業施設、事業施設、環境エネルギーという6事業、チームで事業展開しています。

 今後も、この6本柱で行くのかというと、すぐには柱にはならないかもしれませんが、例えばベンチャー企業を支援したり、社内で自分たちで独立して会社を立ち上げたい人間を募集して、今はその審査をしています。その意味では、先々が楽しみだなと思います。

 ─ 大和ハウス工業には創業者・石橋信夫氏が掲げ、前会長の樋口武男氏が引き継いだ「創業100周年の2055年に売上高10兆円」という目標がありますね。その達成に向けては?

 芳井 今の事業だけで、創業100周年の売上高10兆円は超えられるとは思っていません。どこでどういうものが出てくるか。海外事業や、環境エネルギーもそうやって新しく出てきて、今育っています。


人手不足問題にどう対応するか?

 ─ 日本全体の課題として人口減、人手不足があります。改めてどう対応しますか。