【海外売上高7割】アイコムの「スマホにない機能で勝負!」 完全国内生産で高付加価値を実現
09年の1ドル=80円台という円高時は利益が大幅に減った。だが、「1954年の創業からの財務的な蓄積があり、無借金経営という強固な財務体質で赤字になることなく乗り切った」(同)。現会長の井上徳造氏が中学生時代にラジオ店で無線通信の面白さを知り、就職した医療機器メーカーで製造業を学んだ後、自宅の庭に建屋を設け、手作りで無線機を開発した。
その後、アマチュア無線機のメーカーから総合無線機器メーカーへの脱皮するきっかけをつくったのが中岡氏。北九州市立大学法学部卒業後、84年にアイコムに入社し、94年から米国に赴任した。「会社を知ってもらうため、全米50州を1年超かけて回った」。無線機の潜在ニーズを探って回ったのだ。
98年、日本企業として初となる米国国防総省から無線機の受注に成功。約50億円の大型プロジェクトだ。同省の厳正で過酷な様々なテストをクリアして採用が決まった。
同省の担当者からは他社からアイコムに切り替えたことによって「価格が5分の1となり、5倍の人数に配備できるようになった」との反応があった。それに対して中岡氏は「高い品質を実現するモノづくりの力に自信があった」と当時を振り返る。
今後はLTE(4G)無線機や無線LANで通信可能な無線機などで、米国での安定的な成長を図る考え。いかに利便性が高く、現場のニーズを満たした「無線機の隣の領域」(同)を開拓できるかが試される。
