本誌が送った質問状に対し、自ら答えた「プリンセス姫スイートTV」のパパ

 2021年12月15日、東京地方裁判所で、ある裁判の第一回口頭弁論が開かれた。YouTuber事情に詳しい芸能関係者が語る。

「親子・キッズ系YouTuberとして、日本で人気トップを争うチャンネル『プリンセス姫スイートTV』に出演する “家族” たちが今、じつは法廷で闘争を繰り広げているんです」

 2013年3月に開設された「プリンセス姫スイートTV Princess Hime Suite TV」(以下、プリ姫)は登録者数174万人を誇るYouTuberだ。

 1本あたり20分以上という長尺の動画が多いにもかかわらず、再生回数1000万回超の人気動画が100本以上もある。

 再生回数の多い動画の多くは、声だけで出演している「ママ」が「今日は〇〇をします!」といった呼びかけで動画のテーマを発表し、娘の「ひめちゃん」、息子の「おうくん」、そして「パパ」の3人が実際に遊んだり、体験をするというものだ。

 そのほか、寸劇動画などでも幸せそうな親子の関係性が垣間見え、同じ子育て世代から圧倒的な支持を得ているのだ。

 動画に出演している「パパ」「ひめちゃん」「おうくん」の3人は芸能事務所にも所属し、活躍の場はYouTubeにとどまらない。

 2021年1月に放送された『逃走中』(フジテレビ系)や2021年2月の『世界のド肝を抜いた!衝撃 “神” 映像2021』(TBS系)といったテレビ番組にも出演し、コラボした知育玩具も発売されている。

 そんな彼らだが、東京地裁ではパパが原告となり「ママ」ともう一人の男性を相手に、名誉毀損を理由に550万円の損害賠償を求めて提訴しているのだ。この被告となった男性は、やはり「プリ姫」に出演していたことのある大河内基樹氏。古くからの視聴者には周知の存在だ。

●裁判内で「夫婦関係は完全に破綻していた」

 前出の関係者はこう話す。

「さらに驚くべきは、今回の訴訟はパパとママが2018年に離婚している前提で裁判は進められています。そして、ママ側が提出した “反論” には『ひめちゃんの出産時にパパが出産費用を使い込んだことで、夫婦関係は完全に破綻していた』ということが主張されているのです」

 プリ姫が離婚しているということは、これまで一切公表されていない。

 それどころか、ひめちゃんの誕生は2006年。つまり、YouTubeを始める以前に、すでに夫婦関係は破綻し、動画内で見せていたのは “偽りの姿” だったということだ。

 ママは動画運営にも携わっていただけでなく、2010年に自身で起ち上げた「株式会社Princess Hime Suite」の代表取締役を務めている。パパも同社の役員に名を連ねていたが、2018年6月30日をもって解任されている。

 この約1週間前に2人は離婚していたという。たしかに、視聴者からは、明らかにママの登場頻度が減ったことなどに対して、疑問の声は上がっていた。

 本誌はこの訴訟の内容について事実確認をすべく、訴訟記録に記載されていた千葉県内のママの自宅へと向かった。

 千葉県内の住宅街に建つ “豪邸” は、たびたびプリ姫の撮影場所としても登場してきた。訪ねると、ママの母親であるAさんが応答した。

「ママは不在なんです」と答えるAさんに事情を伝えると、パパについては、Aさん自身にも打ち明けたい思いがあるという。

本誌が千葉県内の自宅を訪ねると取材に応じたママの母親であるAさん

――訴訟記録にママとパパが離婚されているとありました。

「そうです」

――ママはパパが出産費用を使い込んだことで夫婦関係が破綻した、と主張しているそうですね。

「使い込みは事実です。孫娘のひめちゃんが生まれるとき、ママとパパは香川に住んでいたんですが、ママが必死に貯めた40〜50万円をパパがギャンブルに使ってしまったんです。私自身が香川まで行って、代わりに出産費用を支払ったので、間違いありません。

 パパはその当時、働かず、収入がなかったと聞いています。『出産費用は確保しておきたい』と思い、ママが一人で貯めたものでした。夫婦関係はこれで決定的に悪くなったと聞きました」

●誓約書を見せて「私も『殺す』と言われました」

 さらにAさんは「こんなものもあるんです」と、記者に1枚の文書を見せた。それは手書きの「誓約書」だ。

《物を叩いたり、壊したりしません。》
《パチンコ・スロットは月2回5000円づつにします》 ※原文ママ
《ゲームの課金は月1万円までにします。》
《盗みません。》
《暴言をはきません。》

 など、書き連ねられたあと、「平成25年6月30日」という日付、住所、そして一番最後にパパの本名が書かれている。

 手書きの文書からは、夫婦関係が破綻した生々しい経緯が伝わってくる。

――この誓約書はどういったものですか?

「パパの浪費や暴言、気性の荒さがあまりに酷く、書いてもらったものだと、ママに最近見せてもらい預かりました。その場限りの誓約書だと思いますよ。

 2012年にも一度、ママから電話があって『離婚したいから印鑑を持ってきてほしい』と言われたんです。そのときにパパが暴れて、ひめちゃんが警察に連絡してくれたそうなんですが『民事不介入』ということで注意で終わってしまった。

 それでママが離婚届の証人を私にお願いしようとしたんです。でも、結局、パパの実家から『ママさえ我慢すれば……』と、とめられ、出せなかったそうです。私自身も何度もパパから『殺す』と言われましたから。

 それだけじゃないですよ。私がひめちゃんの育児の手伝いで香川に行ったとき『いらっしゃい』と迎えてくれたこともないし、食事に連れて行っても『ありがとう』というのもないんです」

 Aさんは厳しくパパの行動を非難した。記者がAさんを通じて、ママへの取材を申し込むと「私からママに電話させます」と言う。

 後日、記者のもとにママから電話があった。

――パパから提訴されていると聞いています。

「提訴されたのは事実です」

――訴訟の中で離婚が明らかにされていますね。

「私からはお答えできません」

――「誓約書」も見ました。パパさんから暴言などがあったのでしょうか?

「ごめんなさい。そのことも私からはお答えできません」

 夫婦関係の破綻については「お答えできません」と繰り返すが、否定はしなかった。

 事情を知る関係者はこう話す。

「パパとママは離婚から2年後に調停をおこない、財産分与などを決めたと聞いています。その際に親権も、ママからパパに渡っています。

 調停で『合意書』を交わしたそうです。それは『離婚について公表しない』『ママは離婚後も自分の姓を結婚時のまま変更しない』と、プリ姫のイメージを優先した内容をママに強いていたそうです」

 視聴者が信じてきた幸せそうな「プリ姫」の姿はいったいなんだったのか――。

 プリ姫の所属事務所に事前に質問状を送ると、パパが取材に答えるという。

 本人を直撃した。

自分で書いたと認めた誓約書を凝視するプリ姫のパパ

 6月某日、所属事務所を訪ねると、パパと代理人弁護士が対応した。

――離婚されたことをYouTube内で公表するつもりはなかったのですか?

「プライベートをすべて出しているわけじゃないので、公表する必要がないと思っています。『なんでママは最近、出ないの?』というコメントにも特にお答えするつもりもありませんでした」

――「ご家族でやられている」とプリ姫を認識している視聴者に偽っているという気持ちはなかったですか?

「偽っている気持ちはないです。あくまでチャンネルのメインはひめちゃん、おうくんだと思っていますので。言ってしまったら、視聴者もビックリするだろうな、というのはありました」

●「自分のお金です」「記憶にないです」

――義母だったAさんからパパが書いた誓約書を見せてもらいました。

「はい、書きました。ただ、『盗みません』というのは誤解です。結論から言うと私自身が祖父から相続したお金を使っただけなんです」

――ものを叩いたり、壊したりというのは?

「言い合いのときに、そういうことはあったと思います」

――Aさんはパパがひめちゃんが生まれるときの出産費用を使い込んだと。

「結婚してから稼いだお金は、夫婦共有の財産になるわけじゃないですか。それ以外にそれぞれが贈与されたお金は100%贈与された人の所有物ですよね。私はそれを使っただけです。

 出産費用を貯めていたという認識もないです。私のお金はママにすべて管理されていたので、自由に使えませんでした」

――では、出産して退院する際の40〜50万円ほどの出産費用のお支払いはAさんでなく、パパがされたということですか?

「そうですね。……どうだったかな。記憶にないです。いや、どうだろうな。お金を全部掴まれていた(管理されていた)ので、そこから払ったのでは? 自分の使えるお金はまったくなかったです」

――そうすると、最初に「使ったのは自分のお金です」というのは、どうやって使ったのでしょうか?

「まあ、置いていたからかなぁ。自分の財布の中にはないです。どこに置いてあったのかは記憶にないですね」

――Aさんは出産費用として貯めていたのをパパがギャンブルで使い切ったと主張しています。誓約書にも「パチンコ・スロット」という項目があります。

「ギャンブルで使った? 使ったという認識がないので……。昔は趣味でパチンコ、スロットに行ってましたけど、出産費用を使い込んだという認識はないです」

――それでは誓約書が作られた経緯はどういったものだったのでしょう。

「ママが僕のお金を『私のものだ』と言うので、意見が食い違って僕が怒って『おかしいだろ』と暴言を吐いたときに、ママが警察を呼んだわけです。それで僕が交番に連れて行かれたときに、警察官から『通報があったから誓約書を残さないとダメなんだ』と言われて書いたわけです」

量販店に陳列されていた「プリ姫」コラボの知育玩具など

――2012年に、ひめちゃんが通報した騒動があったと聞いています。そのときに書いたという認識ですか?

「そうです。ひめちゃんが通報したかどうかはわからないです。喧嘩というかママを取り押さえるしかなかったんですね」

(取材後に代理人弁護士が、ひめちゃんに聞いたとして「ママが包丁を振り回して、パパがママを取り押さえた際に、ママから警察に電話をするように言われて電話をした」と回答があった)

――しかし、誓約書の日付は2012年ではなく「平成25年(2013年)6月30日」となっています。何度も誓約書を書いたということでしょうか?

「わからないです。取り押さえることは頻繁にしておりました。警察を呼ばれたのは1回です」

●義母・Aさんとは「喋ることも基本なかった」

――Aさんへの「殺す」という暴言については?

「(笑いながら)ないです。まったくない。私が家に帰ったときに、知らぬ間にママがAさんを呼んでいたことがあって『どういうこと?』というのはあります。ママには『ひと言ぐらい言っておいてくれてもいいじゃん』と。

 暴言がないどころか、ひめちゃんも、おうくんも『パパとばあば(Aさん)が喋ってる姿は見たことない』と言ってました。

 喋ることも基本なかったですし、Aさんとは挨拶ぐらい。世間話や、しっかり腰を据えて喋ったことはないです」

――パパがひめちゃん、おうくん、ママを連れて、Aさんのいる実家に帰省したことはありますか?

「ないかなあ」

――調停時に「離婚後も姓を変えない」といった合意書を結んだのは事実ですか?

「離婚を公表するな、とは言ってないです。ただ、ママが『私、離婚しました』という動画を出したら、視聴者がびっくりするんじゃないか、とは話をしました。姓の変更についての内容はないです。なんなら、変えてほしいくらいです(苦笑)」

 代理人弁護士は「合意書の内容はいまははっきりと記述を覚えていない」と話したうえで「いまもママとは連絡が取れるし、仲が悪くはないんです」と付け加えた。

――パパにとって10年以上の結婚生活はどういったものだったのでしょう。

「ひめちゃん、おうくんは大事だし、可愛いですし。ママも結婚時は大事に思っていましたけど、性格の不一致が大きいと思います。

 離婚もお互いに落ち度があると思います。皆さんそうだと思いますけど、お互いに何かあると思います。基本的には性格の不一致じゃないかなと思いますね」

 何度尋ねても、ママとの関係は「そこまで悪くない」と主張するパパ。

 だが、毎日、親子YouTuberとして動画投稿を続けている裏で、「性格の不一致」だけとは思えない法廷での泥沼の争いを続けている事実は、はっきりと記録に残っている。

 多くの視聴者を惹きつけるYouTubeの世界。

 だが、そこに映し出されるきらびやかな世界はいったいどこまでが真実なのか――。