「世界で愛される名車」ってどんなクルマ?

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皆さんは「世界で愛される車」と聞いて、どんな車を思い浮かべますか?

自分の好きな車、身近な車、見たことのある車がまず出てくると思いますが、それを環境も文化も異なる、世界中さまざまな国や地域で「愛される車」となると選ぶのがとても難しく、少人数ですら意見がまとまらないかもしれません。

今回は、世界中で販売された車の中でも、長く愛されてリメイク版も出たような車、伝説のように語り継がれ、再来を望まれるようなストーリー性のある車、世界中でないと困るような車などから、日本でも馴染み深いものを10台選んでみました。

皆さんが愛する車、これは確かに愛されているなと納得するような車が、1台でも含まれていれば幸いです。

10位:日産 スカイラインGT-R(BNR32以降・日本)

■車好きをひきつける万国共通の魅力

日産BNR32 スカイラインGT-R(1989-1994)
日産BNNR33 スカイラインGT-R(1995-1998)
日産BNR34 スカイラインGT-R(1999-2002)

1960年代の日本グランプリで生まれた「スカイライン伝説」が今も息づく日本ほどではありませんが、1989年から3世代13年にわたり販売された第2世代スカイラインGT-R(BNR32/BCNR33/BNR34)も、伝説に彩られた世界的名車の1台です。

レースで勝つための「RB26DETT」エンジンを搭載、「大衆向けセダンベースの4WDスポーツ」がチューニング次第でスーパーカー並のポテンシャルを叩き出す魅力は、世界共通かもしれません。

ただし、最高で3,000万円オーバー、海外オークションならそれ以上の中古車価格は少々過熱気味で、スピンオフで独立した「GT-R」(R35)の方が安くなっています。

9位:ポルシェ 911(ドイツ)

■昔も今も変わらぬ「最新の911は最良の911」

初代ポルシェ911(901型・1964-1974)
8代目ポルシェ911(992型・2018-)

1964年に登場した初代ポルシェ 911は、リアエンジンという特殊なレイアウトにより幾度となく廃止の分岐に立たされたスポーツカー。しかし、独特な挙動と走行性能に魅了された世界中のファンが廃止を許さず、いまやポルシェブランドの牽引役として8代目992型まで進化しています。

992型の外観はワイドボディが標準となり、70年代のビッグバンパーモデルに近いスタイリングに改められました。5眼メーター中央のタコメーターだけは旧来の物理針を残しており、空冷エンジン時代から続く911らしい雰囲気は健在です。

しかし、その中身は別物。カレラSに搭載された3.0L水平対向エンジンの出力は450PSに達し、パフォーマンスや細かなドライビングフィールはl代を重ねるたび確実に改善されています。「最新の911は最良の911」と言われるように、最新の992型がもっとも愛されるべきポルシェといえるでしょう。

8位:スズキ ジムニー(日本)

■世界に誇るオフローダー界の小さな巨人

スズキJB64 ジムニー(4代目・2018-)

世界中で愛されるためには、小型軽量にして安価で頑丈といった要素も重要ですが、それを満たしつつただの実用車にとどまらず、本格オフローダーとしての能力も高い「小さな巨人」がジムニーです。

今はなきホープ自動車が1960年代に開発、同社の自動車事業撤退でスズキが引き継いだ軽オフローダーですが、排気量を上げた海外仕様(現在のジムニーシエラ)は道路インフラが弱い新興国だけでなく、イギリスなど小型車を愛する先進国でも人気。

基本は4世代50年以上変わらない保守的な車ですが、だからこそレジャー、スポーツ、日常に欠かせない足から軍用まで世界中で手広く使われる日本の世界的名車です。

7位:メルセデス・ベンツ W201(190Eなど・ドイツ)

■「最善か無か」のコンセプトが活きた傑作

メルセデス・ベンツW201 190E(1985-1993)

日本でも「ベンツ」といえば、この型のカタチを思い浮かべる人が多いかも知れません。

まだ現在のようにCクラスやEクラスといった車名になる以前、メルセデス・ベンツのスローガン「最善か無か」の通りに徹底した高品質にこだわった小型セダンで、日本の5ナンバーサイズに収まるほどコンパクトながら重厚感がある、典型的な「小さな高級車」です。

その後のメルセデス・ベンツは、斬新なデザインや最新装備の搭載、Aクラスなどスペース効率に優れるFF車も加えたラインナップを売りにしていきますが、初代Eクラス(W124型)とともに旧時代の最終傑作と言えるW201型は、現在も未だ色褪せない魅力を放っています。

6位:シトロエン 2CV(フランス)

■伝説的なフランス人の意地と合理性の結晶

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第2次世界大戦前に開発されたものの本格量産前に戦争が勃発、フランスがドイツに占領されていた時代は農家の壁や屋根裏に隠され、戦後改めて発表された際には酷評されつつ、発売されるや大ヒット作という、デビューから波乱のエピソードを持つ2CV。

まさにフランス人の誇りと意地を見せつけるような車ですが、「4つのタイヤがついたこうもり傘」というほど簡素にして最低限のコンセプトながら、乗り心地や実用性には何の問題もなく、サハラ砂漠で故障した際には分解して1台のバイクに組み直して脱出した、など逸話も多数ある面白い車です。

多数のユニークな派生車を加えつつ1990年まで販売されましたが、リメイク版の登場が待たれます。

5位:トヨタ ランドクルーザー(日本)

■全世界で愛される我らがランクル

トヨタGRJ76K ランドクルーザー70バン(70誕生30周年日本国内復刻仕様・2014-2015)

1951年に登場したトヨタ製ジープの系譜を受け継ぐのが、ランクルの愛称で親しまれるトヨタ ランドクルーザーです。本格オフローダーの直系となる70系とは袂を分かったものの、高い悪路走破性能を備えつつワゴンやSUVとしての要素を盛り込んだ80系の流れを組むランドクルーザーは、100系・200系と続き、2021年8月には300系に進化しました。

300系では、TNGAに基づく新ラダーフレームの採用に加え、トルクフルなディーゼルエンジンモデルも復活。変速機の多段化や電子制御化により、高い走破性と快適性を高次元で両立しています。

外観は、より力強くスタイリッシュに改められ、スポーティなGR SPORTモデルもラインナップ。故障しづらいトヨタのオフローダーは世界中で大人気であり、300系に指紋認証スタートスイッチが付けられたのは盗難率万年No.1のランクルゆえです。

4位:フィアット500(イタリア)

■イタリアはモチロン世界の愛され車

初代フィアット500″トポリーノ”(1936-1955)
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2代目フィアット500(NUOVA500) “チンクェチェント”(1957-1977)
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3代目フィアット500 “ニューチンク” (2007-)
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フィアット 500はイタリアの国民車となる小型車。映画「ローマの休日」に登場した初代はトポリーノの愛称で呼ばれ、ヌォーバと呼ばれる2代目は「ルパン三世」の愛車としても有名です。とくに古い500は、イタリアで文化遺産扱いとなっています。

2007年にはヌォーバをモチーフにしたリメイク版が登場。さらに2022年には電気自動車の500eとなってリニューアルしました。

「エレットリカ」の愛称で呼ばれる500eは、満充電で最大335kmを走行可能。先代よりもわずかに大型化したものの、キュートなスタイリングはそのままです。内装は先進的でありながらもクラシカルなデザインが豊富に取り入れられ、初代から続く伝統のキャンパストップモデルも揃っています。

500eがリースのみで供給される事情はあるものの、EVの新型が登場してもガソリンモデルの先代が併売されるのは、世代を問わず500が世界中で愛されている証拠と言えるでしょう。

3位:BMC ミニ(イギリス)

■安くてよく走るだけで愛されたとお思いですかな?

BMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション) ADO15 “ミニ” (旧ミニ・イギリス・1959-2000)
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BMW “ニューミニ” (ドイツ・第3世代・2013-)

1959年、第2次世界大戦での荒廃と、中東戦争によるガソリン高騰に苦しむイギリスで、「低燃費で安価な実用車」としてBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)が開発、傘下の各ブランドでさまざまな派生車も作られた、偉大なる「ミニ」。

2000年までの長きにわたり販売されましたが、ユニークなメカニズムや、ラリーではポルシェ911すら抜き去った事もある走りで世界中に愛好家が多く、日本でも1990年代レトロカーブームの時期に人気でした。

最後までイギリスで「ミニ」ブランドを保持、次期モデルを開発していたローバーを買収したBMWがブランドを引き継ぎ、2001年にニュー「ミニ」を発売して今に至ります。

2位:フォルクスワーゲン ビートル(ドイツ)

■フェルディナント・ポルシェ博士の素敵なお仕事

フィオルクスワーゲン タイプ1 “ビートル” (1941-2003)
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フォルクスワーゲン ザ・ビートル(2011-2020)

第2次世界大戦前に開発、戦争勃発で量産は見送られたものの、戦後ドイツ占領軍に加わったイギリスの軍人が先進性に目をつけ、ドイツ復興のためただちに生産再開するやヒットしたのがフォルクスワーゲンタイプ1、通称「ビートル」。

小さくとも頑丈でよく走り、チューニングやカスタマイズも自在なビートルは世界中で愛され、2003年までに2,100万台以上と、「世界でもっとも多く作られた四輪自動車」です。

日本でも若き日の秋篠宮皇嗣殿下が愛車にするなど人気で、バブル期には古臭いと敬遠されたものの、1998年にリメイク版ニュービートルで復活するや人気が再燃。しかし、2020年まで販売された3代目ザ・ビートルを最後に生産終了となりました。

フェルディナント・ポルシェ博士が生み出し、「カブト虫」の愛称で親しまれ続けたビートルは登場から約80年を経て、その長く偉大な歴史に幕をおろしました。

1位:マツダ MX-5ミアータ(ユーノス ロードスター・日本)

■車と走りへの永遠の愛

“ユーノス” マツダ ロードスター (初代NA系・1989-1998)
歴代マツダ ロードスターによるパレードラン
“マツダ ロードスター”
初代NA系(左上) / 3代目NC系(右上)
4代目ND系(左下) / 2代目NB系(右下)

1989年にこの小型軽量FRオープンスポーツが発売された時、「1960年代に流行ったスポーツカーの焼き直しじゃないか」と、あまり重視されていませんでした。

しかし思わぬ大ヒットで、実はこれこそユーザーが待ち望んだ、「手頃な価格と性能、美しいデザイン、運転がとても楽しいスポーツカー」と思い知らされ、世界中のメーカーが同種の車の開発に乗り出す「革命」を起こしたのです。

その多くは長続きしませんでしたが、ロードスターは世界中でもっとも愛されるスポーツカーとして現在も大きく変わらぬ4代目が販売されており、名車として愛好家も多い初代モデルのメーカーによる修復や、純正部品再販も行われています。

これからも「愛される車」は作れるか

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現在、世界の主要自動車メーカー各社とスーパーカーメーカーでさえ、遠くない将来に可能ならEV(電気自動車)、最低でも電動化でよほど燃費のいいハイブリッドに新車販売を限定し、ICE(純エンジン車)は廃止する流れになっています。

時代の大きな転換期にあって、かつての名車のリメイクや後継車、あるいは現在もモデルチェンジで生き残っている名車は、いずれも時代に合わせた存続が可能なのか、不安視されているのが現状です。

まずは名車のEVリメイクに挑戦しているメーカーもありますが、そもそも新世代の車で、これまでのように「世界中で愛される名車」が作れるのか、各メーカーの手腕が問われる時代がやってきました。