中国でうま味調味料は「味精」と訳され、飲食店はもちろん、多くの家庭でも使われている。「味精」を日本が開発した、ということを知らない中国人もいるほど、うま味調味料は中国人の生活に浸透している。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国でうま味調味料は「味精」と訳され、飲食店はもちろん、多くの家庭でも使われている。「味精」を日本が開発した、ということを知らない中国人もいるほど、うま味調味料中国人の生活に浸透している。

 中国メディアの騰訊は2日、うま味調味料を生産する企業でも「日本企業は発展しているのに中国企業は傾いている」と紹介する記事を掲載した。

 記事はまず、日本でうま味調味料を代表する企業として「味の素」を紹介した。「グルタミン酸ナトリウム」は旨味成分として知られるが、これを商品化したのが味の素だ。記事は、味の素は食品とアミノサイエンス事業の2つを柱に発展しており、ただ調味料を販売しているだけではないことを紹介し、アミノ酸の技術を生かしてパソコンやスマホに使われる「ABFフィルム」を開発したことを紹介した。一般の消費者にはあまり馴染みがないかもしれないが、「味の素グループには半導体関連の世界的な企業がある」のだと論じた。

 その一方で、かつては中国市場で40%以上のシェアを獲得し、「うま味調味料の王様」と言われるほどだった「蓮花味精」グループは、2000年代から経営が悪化していることを紹介。2021年7月には、債務超過で商標24件が競売にかけられたと報じられた。

 記事はこの理由を、健康に悪いとのうわさによる買い控えや市場の飽和もあるが、「経営の多角化」に走ったことが問題だったと紹介した。本業はうま味調味料などの食品販売なのに、縫製工場や医療機器製造など、無関係な分野へと事業を拡大し、失敗してしまったと紹介、「うま味調味料という同じ商品を扱っている日本と中国の企業は対照的な状況にある」ことを紹介した。

 中国企業は往々にして、少し儲けが出ると経営を多角化する傾向がある。中国企業の寿命は非常に短いと言われるが、この「多角化」体質を変えなければ企業の平均寿命が延びることはなさそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)