開始7年目「ETC2.0」は普及した? 国が推進するも「メリット感じづらい?」 購入コストが弊害なのか

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ETC2.0は従来のETCとは何が違うの?

 クルマで高速道路を利用する際にお金を取り出さず料金所で料金を支払う手間や割引などが効くなどのメリットの豊富さからETCの利用率は年々増加しています。
 
 その一方で、国土交通省などは「ETC 2.0」という新しいETCの普及に取り組んでいますが、実際に普及しているのでしょうか。

ETC2.0の普及には車載器の価格がネックとなる?

 2020年9月時点での全国利用率は92.9%となるETC(電子料金収受システム/ノンストップ自動料金支払いシステム)は、高度道路交通システムのひとつとして、高速道路や有料道路を利用する際に料金所で停止することなく通過できるシステムです。

【画像】これは衝撃!ゲートがバッサリ切断されたETC料金所(22枚)

 高速道路利用者には定番化しているETCですが、近年ではETC2.0が登場しました。

 ETC2.0とは、車両と道路側のアンテナである「ITSスポット」との双方向通信をおこなうことによって、見えない先の事故や天候で変化する道路状況、渋滞情報、災害時には緊急メッセージを受信し被災時の通行支援などのサービスをリアルタイムでドライバーに知らせる機能を備えたETCシステムです。

 また、一部路線などでは「ETC2.0割引」というものも実施されており、圏央道の場合には約2割の割引が適用されます。

 そんなメリットの多いETC2.0車載器は、2015年から本格的な発売が開始されました。

 国土交通省が公表する「ETC2.0車載器普及台数の推移」によると、2015年6月から2020年3月末の時点で累約493万台のセットアップ件数(再セットアップ含む)となり、内訳では普通車が375万7326台ともっとも多くなっています。

 また、電子情報技術産業協会(JEITA)が公表するETCとETC2.0の国内出荷台数では、ETCが約263万4000台(前年比79.4%)、ETC2.0が約114万8000台(前年比116.1%)と出荷台数ではETCが上回るものの、前年比ベースではETC2.0が伸びています。

 ETC2.0の普及状況などについて、国土交通省の担当者は以下のように話します。

「現状、ETC2.0の普及台数のデータを見ると毎月右肩上がりで数値が伸びており、SA・PAの利用者へ定期的におこなっているアンケートにもETC2.0についての記載があり、近年認知度も伸びてきていると実感しています。

 ETC2.0は、ドライバーへの運転支援や、道路交通システム全体の効率化を図るために普及を促しています。

 具体的な普及活動としては、ETC2.0のサイトや動画を制作して分かりやすく解説していたり、東京モーターショーやITS世界会議といった場所でチラシやパンフレットを制作し、展示をおこなっています。

 地方では、地方整備局が管轄している道の駅で、サービスエリアやイベントを開いた際にパンフレットや動画を流してもらうようお願いして、多くの地域で普及を促しています。

 また、自動車メーカーや車載器メーカー、高速道路の担当者と連携をしてETC2.0を普及するための会議をおこなっており、自動車メーカーにお願いをしてカーナビの紹介にETC2.0についての解説を混ぜたりと、各民間のメーカー様にご協力をいただいています」

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 また従来のETCでは、場所によってサービエリアや休憩、給油できる場所がなく、やむを得ず高速を降り、再度高速に乗った際は別途初乗り料金がかかっていました。

 しかし、ETC2.0では、一時退出した場合にも3時間以内に再進入した場合には(順方向に向かう場合)高速道路を降りずに利用した料金設定となっています。

ETC2.0はメリット多いも、なぜ従来型より販売台数は上回らない?

 従来型となるETCよりも渋滞・事故の回避や各種割引が適用されるETCですが、なぜメリットがあるETC2.0よりも従来型のETCのほうが前述の出荷台数は多いのでしょうか。

 そもそもETC2.0を普及させる目的として、大きくふたつの目的があります。

 ひとつめは、ITSスポットによる双方向受信をおこなうことで、ユーザー側がどのポイントで事故が起きやすい、渋滞しやすいといった情報を収集することができ、その集計した情報から事故の起きやすいポイントにてユーザーへの注意喚起を促すことができます。

 一方で、道路管理者は交通が集中する箇所をデータにより特定し、賢くピンポイントで対策をおこなうことで、渋滞の緩和を図ることが可能となりました。

 もうひとつの目的は、物流関係の効率化です。

 事故が発生し渋滞が起こることで、物流関係にも負担がかかりますが、ETC2.0を活用することで、物流事業者はリアルタイムな位置情報により正確な到着時刻を予測することで、荷待ち時間の短縮に繋がります。

 こうした交通状況などの情報収集することで、スムーズな交通社会の実現が可能となるのです。

 しかし、一般ドライバーに対してのわかりやすいメリットとしては、一部路線の割引しかありません。

 その一方で、ETC車載器とETC2.0車載器では購入時に1万円から1万5000円ほどの価格差があり、現時点では購入時にその差を埋めるメリットは感じづらいようです。

さまざまな活用方法が考えられるETC2.0

 車載器の販売状況についてメーカー系の販売店スタッフは次のように話します。

「通常、新車購入時にはグレードやオプションの希望をある程度盛り込んだ後に、予算に応じて要らないものを無くしていく形で最終的な見積もりが完成します。

 その際、ETC2.0車載器は良いものとして最初は見積もり項目に入っていることが多いですが、最終的に1円単位で削っていくとメリットに見合わないという理由などで従来型の車載器に変える人は一定数おります。

 ETC2.0を普及させるにはユーザーにわかりやすいメリットをもっと打ち出すか、車載器の価格を従来型と同等にしなければ難しいのではないかと思います。

 ただ、それでも徐々にETC2.0のメリットを理解される人も増えているので、もうひと押しという印象です」

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 今後、ETC2.0が従来型よりも普及するには、一般ユーザーに対する明確なメリットもしくは購入時の負担軽減が重要なポイントとなりそうです。