会見に臨んだ清原和博氏【写真:編集部】

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ワールドトライアウトの監督に就任、胸中吐露「逮捕された時は野球をしたことさえも後悔しました」

 西武、巨人、オリックスで通算525本塁打を放った清原和博氏が30日、都内で行われた「ワールドトライアウト2019」の開催発表会に出席した。現場監督を務める清原氏は黒のスーツ、ネクタイ姿で登場。時折笑顔を見せながら、「正直、驚きましたが、自分は執行猶予中の身ですし、このような大役を、そして野球に携われることができることを本当に感謝しながら。正直感謝しかないです」と意気込みを語った。

 同トライアウトはNPBが主催するものとは別で、NPB球団を戦力外となった選手だけでなく高校や大学、社会人のアマ選手、日本球界への移籍を志願する大リーグのマイナーリーガーなども対象。海外移籍をサポートする代理人やNPBスカウトを招いた前で、試合形式でのテストを行う。清原氏は予選会での選手の選出、本選での優秀選手を選考する役割を任された。11月7日にサーティーフォー保土ヶ谷球場で予選トライアウト、同30日に神宮球場で本選トライアウトを行う予定だ。

 清原氏は2016年2月、覚せい剤取締法違反で逮捕され、懲役2年6か月、執行猶予4年の判決を受けた。公の場に姿を現すのは、今年3月6日に都内で行われた依存症の理解を深めるための啓発イベントに登場して以来238日ぶりとなった。

――オファーがあった時の気持ちは。

「正直、驚きましたが、自分は執行猶予中の身ですし、このような大役を、そして野球に携われることができることを本当に感謝しながら。正直感謝しかないです」

――代理人が日本球界では確立されていない。

「自分の場合はフリーエージェントでジャイアンツに行って、その後にジャイアンツから戦力外通告を受けた。『どうしようかな』と思った時に仰木(彬)さんからお声をかけてもらったんですけど。自分の場合は本当に幸せで、次の球団はオリックスと決まりましたけど、戦力外通告を受けた選手のほとんどのみなさんが、次のチームも決まらずに、エージェントの交渉もないですし、自分でなんとかしないといけない。そういう状況であるのは事実だと思います。このようなトライアウトがあることによって、もう1度チャンスを掴めるんじゃないかと。そういう中で、自分がどれだけできるのかと自問自答しましたが、今、自分が置かれている状況、そして、その選手の気持ちは少しは理解できると思っています。なので、11月30日、僕はしっかり準備して、選手たちの新しいチャレンジの場を少しでも増やしていけるように努力していきたいと思っています」

――トライアウトを受ける選手たちへメッセージを。

「本当にわずかな差しかないと思うんです。全員に平等にチャンスを与えないといけない。その中で、結果も全てですけど、自分の長所。それを思い切り出してくれれば。そして悔いのないプレーをして欲しいなと思っております」

「やっぱり自分のスイングする姿を少年たちに見てもらいたい」

――プロの選手が関わる現場に行くのは久々。今の生活の中で野球への関わりは。

「正直に言いますと、自分が逮捕された時は野球をしたことさえも後悔しましたが、約3年半、治療を含めて生活してまいりまして、やっぱり自分には野球しかないんだなと再認識しまして。少しずつ体を動かし始めて、自分で少しずつ子供に教える機会があったりとか、少年野球教室のために、自分のスイングをいろんな全国の子供たちに見てもらいたいということで、またスイングを。現役時代のようなスイングはできないんですけど、何よりもやっぱり自分のスイングする姿を少年たちに見てもらいたいと思って日々トレーニングして準備している最中に、このような話をいただいたので。『もう1度原点に返って生活してきてよかったな』と思います」

――今年のプロ野球を見て感じたことは。ヤクルトの村上選手が10代記録で清原さんの記録を抜いた。

「彼が春先で本調子でない時に、たまたま神宮の室内にいた時に早出特打している姿を見たんですけど、その時に、ひと目見て、『この子のスイングいいな』と。それから彼に注目するようになって見ていたんですけど、日々進化しているのを感じていましたし、注目してしまう選手でしたね。それでどんどん本塁打を打つようになって、彼なりに本当に工夫してバッターボックスに入っているのも伝わってきましたし。三振が多いというのもありましたけど、やはり試合の中でどれだけバットを振れるか。そこが勝負になってくる世界で、三振を恐れずに強くスイングする姿を見て、本当に『素晴らしい選手が生まれてきたな』と感じていました」

――事件があってから野球の仕事に関わるのは初めて。

「これは本当に感謝の気持ちしかありません。自分は事件を犯して、野球から遠ざかってきたんですけど、こういうような形で大役をお任せいただいて、本当に身が引き締まる思いですし、本当に野球に携われる。また神宮球場のグラウンドの中に入ることさえ許されないと思っていた。本当に選手たちも必死でグラウンドに立つと思うんですけど、僕も必死に立ちたいと思っています」

――(会見終了後、自ら切り出し)
「今日は甲子園よりも日本シリーズの打席よりも緊張しておりました。みなさん、ありがとうございます。また頑張りますので、よろしくお願いします」(Full-Count編集部)