アラフォー婚活女性に一番人気の高橋一生

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 現代社会を生きる女性が避けては通れない「婚活」「結婚」「妊活」「子育て」。これらのライフイベントに伴う様々な困難にぶつかりつつも、彼女たちは最終的には自分なりに編み出した「ライフハック」で壁を乗り越えていきます。読めば勇気が湧いてくるノンフィクション連載「女のライフハック」、待望の第6回です。

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元結婚相談所代表が明かす令和の婚活事情

 お付き合いしている相手はいないけれども、結婚をしたいと望んでいる男女の最後の砦といえば、結婚相談所ではないだろうか。もちろん婚活サイトや恋活アプリでも、結婚願望のある異性と出会うことはできるが、多少なりとも己の恋愛能力が問われることになる。

アラフォー婚活女性に一番人気の高橋一生

 結婚相談所を通して出会った相手と関係を進展させる場合でも、恋愛能力はあるに越したことはないが、他の婚活方法に比べれば、結婚相談所に登録している男女は、恋愛感情よりも条件を重視する傾向にあるし、専門的な経験と知識を持つ相談所のカウンセラーからのバックアップも期待できるのも、結婚相談所のメリットだ。

 しかし、そうはいっても、結婚相談所に登録さえすれば、誰もが結婚を出来るわけでもない。実際にわたしの周りにも5年以上も前に結婚相談所に登録したものの、いまだ婚活を続けているアラフィフの男性がいるし、アラサーの女友達は、出会いを求めて登録してみたものの、結婚相談所経由では、どうしても気に入る男性と出会うことが出来ずに、結局は仕事を通じて知り合った男性と恋愛結婚に至った。

 そういった両者に思惑を尋ねると、それぞれが結婚の相手の異性に求める条件がまるですれ違っていることが往々にしてよくある。

 先出のアラフィフ男性は、子どもを作ることを視野に入れて、自分よりも一回りほど年下、具体的には35歳以下の女性を希望していたし、後者の女性は、誰もが名を知る一部上場企業に勤めている自分と同等以上の収入のある、上下5歳差までの男性を望んでいた。

 自分が送りたい人生のビジョンがある以上、一緒に歩むパートナーは、それを叶えられる相手がいい。そう願うのは当然のことだ。けれども、婚活に励む男女が相手に抱く理想は、どうにもすれ違っているのも事実だ。

 そのままでは重なりようのない平行線をクロスさせる役割を担う結婚相談所のカウンセラーは、どういった方法で成婚に導くのか。

 それを知ることは、結婚相談所を利用する/しないはさておき、婚活を成功させるヒントになるのではないか――そこで、今回は、今年の6月まで、都内にある某結婚相談所の代表を務めていた佐藤可奈子さん(仮名・30歳 家族構成:夫36歳)に、結婚相談所をたたんだ後の、今だからこそできる、率直なお話を聞いた。

 艶やかな栗色のロングヘアに、華やかだけれども上品なフレアワンピース。取材当日、佐藤さんは、婚活中の女性が、マッチングした男性と会う時に着る、お手本のような服装で現れた。フレンドリーな笑顔と気さくなしゃべり方、しかし、その口から出る言葉はいささか辛辣だ。

「女性に関していうと、入って最初の3カ月は、大体みなさん、希望の方とはお見合いできないんです。女性が男性側に希望する条件って、まずは『年収1000万』なんですよ。それで、次に来る条件が、『30代』。

 でも、30代で1000万円稼ぐってなると、普通の仕事じゃないか、かなりハードな仕事をしてる人になるんですけど、そういうことまでは考えない。世間知らずなのか、『1000万円』って数字だけで見ちゃうんですよね。

 顔の希望はだいたい、草食っぽくて色白っぽい感じの綺麗系の男子が人気あります。ランキング1位が高橋一生。年上だったら『西島秀俊がいいです』みたいな。そういう条件を出してくるのが、橋本環奈ちゃんみたいな子ならまだしも、見た目も普通だし、年収も普通だし、おっぱいが大きいわけでもない女性。女としての際立った魅力はないのに上からいくというのが、婚活女性の特徴なんです」

顔、年収、人柄、二つ捨てて一つ選べ

 なかなか耳が痛いが、2018年9月公表の国税庁の調査(民間給与実態統計調査)によると、年収が1000万円を超えている男性の割合は、労働人口のたった6.9%。ここに「30代」で「イケメン」という条件が加わるとなると、さらに希少な存在になることは想像に難くない。

 ちなみに同調査によると、30代前半男性の平均給与は461万円、30代後半男性は、517万円。佐藤さんの結婚相談所の会員女性が望む年収の約半分だ。女性たちは、いったいどうやってこの現実と折り合いをつけていくのか。

「女性が結婚相手に求めるのって、だいたい『顔』と『年収』と『人柄』の三つなんですけど、まずは、それを一つに絞ることがすごく重要なんです。二つ捨てて一つ選ぶ。それがうまくいくコツ。もちろん賢明な人は『人柄』を取るんですよ。

 でもDVされてもなんでも、『顔』が最優先っていう人もいるんです。とにかくイケメンがいい、子どもをイケメンにしたいって人がいる。もちろん絶対に『お金が重要』っていう人もいます。それでもいいんですが、三つじゃなくて、どれか一つに絞ると難易度が下がりますね」

 条件を減らせばマッチングの可能性が上がるのは当然だが、それでも、「一つに絞れ」といって残り二つの条件をあっさりと諦めきれるものなのだろうか。

「そこについては、きちんと説明をするというか、どうしても『顔も……』っていう方には、手を繋げるかどうかで判断してもらってます。手も繋げない生理的にダメな顔ってあるじゃないですか。そういう人とはたぶん一緒に暮らすのは辛いと思うので、手を繋げそうかどうかというのだけ基準で見てくださいって。

『お金』っていう人には、金持ちって変な人が多いし、ケチなことも多い。女性が思い描いているような金持ちは、いないって伝えます。実はわたしの元婚約者の男性は、年収数十億もある人だったんです。マンションも6棟持ってるお金持ち。けど、人に謝れない人で、『この人はダメだ』って思って破局した過去がある。だから『金持ちとは?』っていうのをちゃんと教えたりしますね」

 そもそも、佐藤さんが結婚相談所を始めたのは、女性を幸せにしたいという思いからだった。若い頃からエステティシャンや水商売、占い師といった“女性の世界”にずっと生きてきたことや、自身が所持するメンタルヘルスのカウンセリング資格を活かした仕事に就きたいと思っていたこともあり、共同経営者とともに女性向けに特化した結婚相談所を設立したのが4年前。

 会員数は常時40人ほどで、小規模だが、LINEで常時相談を受け付けるなど、きめ細かなサービスで定評を得た。お値段は、入会申し込み金が8万円で、月々会費は1万円。それを払えば、毎月30人まで専用サイトから男性にお見合いの申し込みが出来る上に、結婚相談所サイドからも20人、相性の良さそうな男性を見繕って紹介してくれるサービスがついていたという。

 しかし、佐藤さんの運営する結婚相談所の会員は、基本的には女性のみ。マッチングさせる男性たちはどこから調達してくるのか。実は結婚相談所には、いくつかの連盟が存在している。その大手の団体に加盟金を支払って加入することで、それぞれの結婚相談所が持つ会員を共有する仕組みになっている。

 では、佐藤さんの運営する結婚相談所に登録していたのは、どういった女性たちなのだろうか。

男性が女性に求める意外な条件

「うちに登録していたのは27歳から50手前くらいの女性の方。ゾーンとして一番多いのは、アラフォーの女性です。この年代は『結婚したら子どもが欲しい』っていう男性から避けられてしまうので、なかなか難しい。20代ならば割とすぐに結婚できるんですけどね。

 うちの相談所に登録していたある20代後半の女性なんですが、彼女も最初は、男性に求める条件をかなり厳しく設定していたんです。そこを少しずつ変えていったら、100人くらいから申し込みがあって。結局、年下で背が高くて、すごく彼女の理想にマッチした男性と成婚しました。20代だったことが大きいと思います。

 逆に、とある大企業に勤めているアラフィフ女性は、条件を30代後半から45歳までで、医師、弁護士クラスの年収2000万以上を希望されていたんですが、1年間で2回しかお見合いできなかったんですよ。そのうちのひとりは、若い男性だったんですけど、年収が低いからって断っちゃって。やっぱりすべての条件を満たす相手とっていうのはなかなか難しいんです」

 結婚相談所の婚活では男女とも、圧倒的に“若さ”が優位になる。これは紛れもない事実のようだ。

「男性が婚活で女性に求める条件は、まず『若さ』。具体的には20代から34歳まで。あとは年収が『300万以上』。そして『髪が長いこと』ですね。

 なぜなら、結婚相談所では、プロフィール写真で『この人と会ってみよう』って思ってもらわないとスタートラインにすら立てない。その写真が、例えば髪の毛がショートカットだと、まずダメなんです。ショートカットは写真映えしないので。長澤まさみさんだったらそれでもいいんですけど、長澤まさみさんではないですしね。

 うちの相談所にも、ショートカットの女性が数人いて、みんな顔は可愛い方だったんですけど、なんせ顔立ちよりも大事なのは写真映えなので、『髪の毛は伸ばしていきましょうね』ってお願いをしていたんですが、撮影当日に刈り上げてきた方がいて……『すっきりさせてきました!』って。

 なんとか説得して、カツラをかぶっていただきました。そうしたら、たくさん応募が来たんです。本当に単純なんですが、髪は長いほうがいい」

 男性が結婚相手の女性に求める条件として、「年齢」と「収入」を示されるのは、ある程度予測がついていたとはいえ、「髪の毛の長さ」もそこに入るとは、少し驚いた。女性が望む条件――収入が1000万、30代、高橋一生に比べれば、「髪が長い」という条件は、ずいぶんとゆるいともいえるが、だからこそ滑稽にも思えてしまう。

 一生を共にする相手を髪の長さで選別していいのだろうか。しかし、「だからこそ、誰もが成婚できるチャンスがある」と佐藤さんは言う。

こだわりを捨てて、自らを変革させよ

「結婚相談所の出会いでは、顔が綺麗とか美人っていうのはあんまり関係なくて、可愛い感じが重要なんです。髪の毛はふわっとしていて、服は白や薄いピンク、パープルなんかのパステルで、口紅はピンクがいい。もちろん、顔がいいほうが有利ですけど、そこまで重要じゃない。体型が細い太いも関係ない。なので、まずはプロフィールの写真の雰囲気がどうであるかです。

 そして、実際に会ってからは、中身が問題です。婚活では若さが有利なのは事実だけど、アラフォーだからって絶対に無理っていうわけではないんです。ただし、アラフォー女性にとって一番大切なのは、相談所のカウンセラーの言うことをちゃんと聞くこと。

 なのに、アラフォーの女性は、とにかく自分を変えたがらないんです。でも変わらないと、結婚は出来ない。婚活って、自分を変えることで、自分への理解を深めて、そしてどういう人と一緒になれば幸せになれるのかってことを知って、相手を見つけて結婚することが、ゴールラインだと思うんです。

 なので、目処として2年以上、結婚相談所に登録していても、成婚できなかったら、1回辞めたほうがいいですね。時間とお金の無駄。そのままじゃ、いくら婚活を続けても、どうにもならない」

 婚活に必要なのは、これまでのこだわりを捨てて、自らを変革させること。そもそもの意識を変えることで、「妥協する」という後ろ向きの気持ちになるのではなく、「新たな基準を手に入れて前向きに取り組む」というマインドセットを手に入れる――なるほど、婚活する場合に、何が大切なのかが少し理解できたが、そうやって、数々の女性を成婚へと導いてきた佐藤さんだが、なぜ結婚相談所をたたんでしまったのか。

「女性たちからの相談事が、だんだんと負担になってきて。なんせ、みんな我が強いんです(笑)。『なんでこんな男性からしか、申し込みがこないの?』とか、『こんなにやってるのに報われない』とかLINEで頻繁に届くのが、しんどくなってしまったんですよね。アットホームでやってしまったのが裏目に出てしまった。

 あと、いくらアドバイスをしてもまったく言うことを聞かないアラフォーの人に対して、いい続けてお世話するのが嫌になっちゃったんです。高橋一生みたいなのを探してる人とか、医者にしか申し込まない人とか『いっぱいチャンスはあるのに』って。

 もちろん、高橋一生がいい、医者の妻になりたいっていうその気持ちはよくわかるんですけど、そこに付き合っていくうちに、かなり疲弊してて、そのうち、髪の毛が禿げてきちゃったんですよ。半分くらいなくなっちゃって。ストレスって本当にこわいなって思いました。

 悩みを聞くのって、こっちも受け取っちゃうから、ずっと具合が悪かったですね。だからもう、人の恋愛話は聞きたくないですね(笑)」

大泉りか(おおいずみ・りか)
1977年東京生まれ。2004年『FUCK ME TENDER』(講談社刊)を上梓してデビュー。官能小説家、ラノベ作家、漫画原作者として活躍する一方で、スポーツ新聞やウェブサイトなどで、女性向けに性愛と生き方、子育て、男性向けに女心をレクチャーするコラムも多く手掛ける。『もっとモテたいあなたに 女はこんな男に惚れる』(イースト・プレス 文庫ぎんが堂)他著書多数。2017年に第1子を出産。以後育児エッセイも手掛け、2019年には育児に悩む親をテーマとしたトークイベント『親であること、毒になること』を主催。

2019年9月24日 掲載