相手に喜んでもらう方法はシンプル!? 藤田晋が懇願「こんな気づかいはやめてほしい」
ビジネスパーソンとして日々必要となる「気づかい」。仕事の場のみならず、飲み会や接待の場でも、多くの人がさまざまな「気づかい」をしています。
しかしそんななか、「ヘンな気づかいはやめてほしい」と懇願する男がひとり。

【藤田晋(ふじた・すすむ)】1973年生まれ。福井県鯖江市生まれ。1998年にサイバーエージェントを創業。2000年、史上最年少(26歳)で東証マザーズ上場を果たした。趣味は麻雀。子会社が運営するメディアである『新R25』の記事は「全然見てない」らしい
サイバーエージェント代表取締役社長・藤田晋です。
「俺の話は面白くないからあまり取材は受けたくないんだけど、この話ならしてもいい」
ということなので、社長室を訪れてみました。
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
「ハッキリ言って好感度を気にしてる」
天野:
藤田社長の「755」(SNS)を見たんですが、「やめてほしい気づかい」の例について投稿してますね。

出典 https://7gogo.jp
藤田:
うん。これについてはすごい言いたいことがあってさ。
ヘンに気をつかって、俺のことをエラい人みたいに扱うのはやめてほしいんだよ。

天野:
なぜ「エラい人のように扱われること」を気にするんでしょうか?
藤田:
俺が威張ってるみたいに見えるじゃん。好感度が下がるのよ。
天野:
社長の口から「好感度」という言葉が出るとは…
ぶっちゃけ、好感度って気にしてるんですか?

藤田:
ハッキリ言って…気にしてるね。
今の時代の好感度って何かっていうと、ウソがないこと。言い換えれば、その人の“人となり”がまっすぐ伝わることなんだよ。
天野:
今は“ウソがバレる時代”ってよく聞きますしね。
藤田:
だから、俺は本当は威張ってないのに、威張ってるように見えたらイヤなわけ。
堀江(貴文)さんも、ああ見えて好感度高いじゃない?

どう見えてですか?
藤田:
それは堀江さんが本音で喋ってて、実体とのブレがないからだよね。
天野:
なるほど…
藤田晋が「やめてほしい気づかい」たち
天野:
ここに書かれてる以外にも「やめてほしい気づかい」ってありますか?

藤田:
最近イヤなのは、立たせてもらえないこと。
天野:
立たせてもらえない?
藤田:
ちょっとでもオレが立ってると、「社長、お掛けください!」ってイスに座らせられるのよ。
天野:
そうしちゃう気持ちはわかりますが…
藤田:
こんなこと言ったらイヤミに聞こえるかもしれないけど、こっちは20代のころからどこ行くにも社用車がついてるわけ。
だから、ちょっとは歩かせてもらわないと足腰がダメになっちゃうんだよ。

全然共感できない理論だな…
藤田:
あとはさ…社員と飲み会に行くと、まずみんな生ビールを頼むじゃん。
天野:
はい。
藤田:
で、端の席から順番にビールが置かれていくと、お店の人に「最初に社長に出してください!!」とかいう社員がいるわけ。
天野:
それはなにか問題が…?
藤田:
全員分そろって乾杯するころには俺のビールの泡がなくなってるじゃん。
天野:
たしかに…
藤田:
こんな話ばっかりしてると、俺がちっちゃいヤツみたいなんだけどさ。
天野:
そうですね…ちょっと…

ビールの泡にまで言及するとは…
「決まりきったマナーを守ってればいい」と思ってる人は想像力がない
藤田:
いや、別に泡なんてちっちゃいことなんだけど、俺が言いたいのは「絶対に社長のビールから出せ」というのが、逆に気づかいになってないってことなんだよね。
俺が立ってるとまわりが座らないときもそうだけど、「みんなを立たせとくのも申し訳ないから座らなきゃいけないな」って、結局こっちが気をつかうことになる。
天野:
それじゃ逆効果だと。
藤田:
そういう人って、誰かにマナーとして教えられたことを覚えた通りやってればいいと思ってるんだよ。
「頭働いてないんじゃないか?」と思っちゃうよね。

耳が痛いです
藤田:
あとさ、たまに名刺を誰よりも下から出す人とかいるじゃん?
そういう人が実際に仕事で腰が低いかというと、全然そんなことなかったりするしね。
天野:
たしかに、やたら名刺を下から出してくる人っていますね。
藤田:
相手がさらに下から出そうとしたら、自分はもっと下から出そうとして、最終的に地を這うような姿勢になってるみたいな。
それで下から渡したって、相手を「負けた」って気持ちにさせてるだけじゃん。
天野:
たまに見る光景…!
藤田:
つまり、気づかいとかマナーって「こうすれば正解」と思い込んでると傲慢なものになる。相手の気持ちを想像してないんだよ。
これ真理なんだけど、こうやって言葉にすると当たり前でつまらないでしょ。だから今までどこにも書かなかったんだよね。

社長はどんな気づかいをしてるんですか?
天野:
逆に社長も「気づかい」をする側になると、対応に悩むことはありますか?
藤田:
あるある。会食に手土産持っていくかどうかだって、いつも悩むもんね。
ある有名芸能人の奥さんが、「夫が毎回持ち帰ってくる手土産の処理がストレスで気が狂いそうになった」って話を聞いたことがあって。
天野:
そんなことがあるんですね…自分、ふだん手土産をもらうことなんてほぼないので…
藤田:
毎回手土産をもらうような立場の人ってしんどいんだよ。捨てるのもツライしさ。

「相手は心を込めて選んでくれてるかもしれないんだけど、お菓子とか大抵ほしくはないわけだから」
天野:
じゃあ社長は、手土産は持っていかないんですか?
藤田:
毎回秘書と相談して“個別判断”にしてる。
天野:
毎回考えるんですか?
藤田:
そうだね。たとえば、今回は先方がお店を手配してくれたから手土産を用意しようとか、この人とはもう何回も会食してて親しいからいらないだろう、とかね。
1人1人との関係を考えて毎回ジャッジしてるわけ。
それでも「ああ、今日持ってくればよかったな」「いらなかったな」って後悔することもある。
天野:
社長も常にそんなことを考えてるんですね。
画一的な「こうすべきだ」という振る舞いがダメな理由がわかってきました…!

言いたいことをだいたい言えたのでもう満足げな藤田社長。もうちょっとお話しさせてください!
僕らが大物と対峙するとき、気をつけるべきことは?
天野:
僕らのようなふつうの会社員でもたまに大物と会う機会があるんですが、そういうときになにか気をつけたほうがいいことはありますか?
藤田:
ヘコヘコしすぎないほうがいいよね。ヘコヘコした時点で小物確定。
天野:
小物確定!
藤田:
SHOWROOMの前田裕二くんはそのへんがすごくうまいよね。
生意気じゃないし、気をつかいすぎてもいない。やっぱり相手に対する想像力があるんだと思う。

藤田:
ただそれも、自分のキャラや“価値”をわかってるかどうかが大事。
「コイツだったらちょっと失礼でもいいや」っていう人もいるじゃん。
同じことしてても、人によってOKかNGかは違うんだよ。
天野:
それはありそうです…
藤田:
残酷なようだけど、「自分の市場価値」を適切に俯瞰して見られてないと振る舞いを間違えるんだよね。
自分が若いころを思いだしても、「藤田ならいいや」ってお目こぼししてもらったことがけっこうあると思う。
天野:
なるほど。
でも難しいですね…結局どうすればいいんだろう…
藤田:
一番カンタンなのは、自分がその場を思いっきり楽しむことだよ。

藤田:
大物になればなるほど、自分で何かを買ったり食べたりして喜べる“程度”なんてたかが知れてる。
それより、相手が喜んでくれることが一番うれしいんだよ。会食だったら「おいしい、楽しい」と思ってもらえる、それだけで十分。
天野:
社長も若いころは、自分が楽しむことを意識してたんですか?
藤田:
そうだね。どんな商談でも会食でも「この人といると楽しい」「この人の会社が好きだ」と思うようにしてた。
人って、自分のことを好きそうな人のことを好きになるからさ。
天野:
今度そういう機会があったら、自分が心から楽しんでみるようにします…!
勉強になる話をありがとうございました!!

新R25に対してはいつも塩対応の藤田社長ですが、今回は本人も「話したいことがある」と言っていただけあって、R25世代に役立ちそうな教えを聞き出すことができました。
ヘンに気を回すことなく、その場を楽しむことが大事。
“手土産のセンス”とか言われたらめちゃくちゃ困ってましたが、楽しむだけなら自分でもできそう…。
真の気づかい上手に、一歩近づいた気がします!

「どうせヘンな写真しか使わないんでしょ」と言いながら撮影に応じてくれました
〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=福田啄也(@fkd1111)〉
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