観光・防災で一石二鳥だけど…進まない無電柱化
重点対象は、条例施行前から無電柱化を進めてきた東京23区の中央に位置する「センター・コア・エリア」から環状7号線の内側エリアまで拡大した。
優先的に整備する道路は「歩道幅員が2・5メートル以上」などの条件を満たす全都道で電柱撤去に着手。自治体庁舎や災害拠点病院につながる道路も優先する。
埋設は電線共同溝方式が基本。コストは1キロメートル当たり5億3000万円とされるが、事業者と連携した技術開発による部品の小型化や埋設の工夫などで、整備コスト3分の1カットを目指す。
コスト低減のため、都は都市開発諸制度という制度を創設。高層ビルなどの大規模開発に伴い、近隣の道路を無電柱化した場合、建物の容積率を最大200%の割り増しを認めることで、民間による取り組みを後押しする。都内の電柱数は16年度末時点で都道で約5万7000本、区市町村道で約62万9000本となる。
リサイクル業者―廃電線の高値取引に期待
回収された銅線は歩留まりが高く、高価なリサイクル原料として期待される
無電柱化の工事の拡大は、廃電線を回収するリサイクル業者にとっては商機だ。電線の導体に使う銅は純度が高く、銅精錬業者などに買い取られて歩留まりの高い原料として再利用されるためだ。
径の太い廃電線は、「(電線を剥離〈はくり〉解体する)剥線機にかけて被覆材をはぎ取れば、市中で高値で取引される」(都内のスクラップ問屋)と、高価なリサイクル原料の発生に関連業社は期待する。
一方、細い廃電線は、剥線機にかけられず処理コストがかかるため、買い手が少なく市中での滞留が課題だ。背景には、これまで受け入れ先となっていた中国が、環境対策のために低品位スクラップの輸入規制を強化していることがある。
このため、「廃線を破砕して被覆材を分別する設備の導入や、前処理をする人員の採用などが必要だ」(同)と対策を急ぐ声も聞こえる。無電柱化の工事は、国内のリサイクル体制の整備を加速させるきっかけにもなりそうだ。
(文=福沢尚季、大阪・錦織承平、大塚久美、田中明夫)

